山にまつわる怖い話【58】全5話
カーナビ
1
先月、旦那と二人で北海道一周旅行をしたんです。
なんせ、貧乏なのと行き当たりバッタリなんで、ワンボックスの車の後部席に布団を用意して公共の駐車場で泊まる、って感じの旅でした。
温泉巡りも目的の一つだったから、立ち寄り温泉とか探しながらね。
最近はけっこういい温泉施設が出来てて困る事はそんなに無かったんだけど、南富良野のあたりは温泉が無くて「今日は風呂は入れないかな~」って思ってたら【観光案内所】を発見。
近隣施設のパンフレットで、近くの「ナントカ国民保養施設」(忘れてしまった。。)にお風呂があり電話をしたらまだOKだったんで、そのTEL番号をナビで場所を探し目的地に登録して急いで出発しました。
ナビに指図されるまま山道をどんどん登って言ったんだけど、なんだか道が細~くなってきて「あっ!あれかな?」って思った建物は近付いてみると火葬場だったので二人とも無言でスルー。。。
しばらく行くと登り道が終わり「あっ!ひらけた所に出た」と思ったらお墓だったんです。
するとそこでナビが「目的地付近でーす」とか言いやがって、おかしいやら怖いやらで…
行き止まりだったのでお墓の中でUターンして【観光案内所】まで戻り、地図で確認すると
方向が全然違うし距離もかなりありました。
ナビ!どうした?!
2
東北方面だけど、やはり車中泊しながら温泉巡りをしていました
よくある温泉巡りマガジンみたいの見て、その夜都合のいい時間に立ち寄れそうな温泉施設を決めました
ナビ設定して向かったんですが、着いた目的地にはそんなもの無い
しかしナビは目的地を指している
正式名称きちんと入力して再設定してもやはり同じ
そのあたり何度もぐるぐるしたあげく、埒あかないので施設に電話して所在を聞いてみた
電話で案内してもらったら(非常にわかりにくい道筋ではあったが)全然違う場所だった
到着してみると、マップ上には施設名がちゃんとのっている
検索するときに入力したのと全く同じ名称だ
ナビは最新型、ありえねー、ナビにやられちゃったなーなんて言ってたけど……
ほんとは気味悪かった
旅は車中泊が定番スタイルの私たち、明かりひとつない深夜の山道もガンガン行くし、
怪しげなさみしいとこでも車とめて寝ちゃうことが多いので、オカルト方面に考えがいっちゃうとそういうことが今後できなくなる
私たちは暗黙で深く考えないことにして笑いとばした
でもやっぱり思い出してもちょっと気持ち悪い出来事でした
似たような事、あるんですねー
残酷な光景
次にお話させて頂くのも、引き続きAさんの体験談です。
これも戦前の体験だそうですが、この話をしていた時のAさんはしたたかに酔っていました。ですので、実際の体験とは異なる部分が入っているかも知れません。
前回の話から時は流れ、Aさんは17,8歳位になっていました。
そんなAさん。ある日用事があって山道を歩いていました。昔の人というのは凄いもので、峠の5つや6つは休み無しでも平気で歩いたそうです。
初夏の日差しを浴びながら『もうひと踏ん張りで峠の頂上だ…』と考えていたのですが、その時妙な音が聞こえてきました。
何やら、後ろが騒がしい…足を止めて後ろを振り返りました。音からすると、誰かがこちらへ駆けてくるようです。
ガシャ、ガシャ、ガシャ…何かがぶつかり合うような音…何の音だろう?
Aさんは気にせずに先を急ごうと思ったのですが、音が気になってしょうがありません。
「鍋釜を背負って夜逃げでもしてるのか?でも今は昼間だから夜逃げじゃねぇよなぁ…」
暢気な想像をしていたAさんの前に、その音源の主が姿を現しました。
「なんだ、ありゃ…」
思わず呟くAさん。無理もありません。彼の目の前に現れたのは全身を甲冑に身を包んだ男だったのです。外見を見る限り、Aさんとそれ程違わない年齢…いや、あどけなさが残っているので、1歳か2歳年下かも知れない…の男性が、やはり同い年ぐらいの女性の手を引きながら、こちらへ駆けてきます。
「そんなに急いで、何処へ行く?」
Aさんは声を掛けましたが、2人はその声を無視して、と言うよりまるで聞こえない感じで走ってきます。やがて、Aさんの前を2人が通過しました。
「人を無視して、なんだあいつ等は。女連れて歩いてるからって調子乗りやがって」
少々嫉妬が混じった独り言と共に2人を見送ったAさん…と思った瞬間、今度は凄まじい速さで数人の集団がAさんを追い抜いていきました。
「危ねぇな、コノヤロー!」
突然の事にビックリしてと叫ぼうとしたAさんですが、その集団の姿を見て、再度ビックリしました。
先程の男性と同じく、全員が甲冑を着込んでいます。手には日本刀だの槍だの、物騒な物も持ってます。
「物騒な連中だなぁ。あんな物で何をするつもりだ、オイ」
少々好奇心が出てきたAさんは、峠の頂上まで一気に駆け上がりました。そして下を見下ろします。頂上からは真っ直ぐな一本道が続いてます。そこからは、さっきの2人組の男女、それに甲冑集団も見えました。
集団は男女を取り囲んでいました。そして、槍や刀を2人に向けています。
「尋常じゃないぞ、これは…一体何が起きたんだ?」
そう呟いた瞬間。槍を持った1人が女性を一突き。
「あっ!やりやがった!」
思わず叫ぶAさん。が、包囲した集団は情け容赦なく、今度は男性の方に槍や刀で襲い掛かります。男性は僅かに抵抗したようですが、これまた槍や刀でメッタ刺しにされ、斃れてしまいました。
『寄ってたかって酷い事しやがる!』そう思ったものの、Aさんとて安心はできません。殺害現場を見た以上、自分だって殺されるかも知れない。こんな山の中じゃ助けも呼べない…。
が、Aさんの心配とは裏腹に、誰もAさんの事を気にしてる様子はありませんでした。彼等は既に虫の息となった2人を、尚も槍や刀で刺し続け…最後に、なんと首を切り落としてしまいました。
昼間の惨事を目の当たりにして、呆然とするAさん。やがて、その集団は首を乱暴に掴むと、こちらへ引き返してきます。
『逃げないと…』
そうは思うものの、体が動きません。甲冑集団の人々は、顔や鎧に飛び散った血を拭こうともせず、こちらへ歩いてきます。
やがて、Aさんの目の前まで来た彼等は、Aさんには目もくれず、さっさと峠を下って行ってしまいました。
「何だったんだ、あいつ等は…そんな事より警察だ、警察に知らせないと!」
そう思い直し、再び峠道を見下ろします。しかし…
「あれ?あの2人はどこへ消えた?!」
ついさっき、集団に寄ってたかって殺されて首を刎ねられた筈の2人の遺体が消えていました。急いで峠を下りて、先程の惨事が起きたであろう場所に駆け寄ります。
現場には死体はおろか、血の一滴も残っていません。
「首の無い奴が1人で歩き回る筈は無い。それに、さっきの奴等は首しか持ってなかった。じゃあ、俺が見たのは一体…」
この惨事は、夜中や明け方ではなく、白昼堂々と行われました。また、甲冑の音を覗いては走る音も叫び声も一切しなかったそうです。
この不可解な出来事に関しては、Aさんなりに結論を出しています。
彼が言うには、村からそう遠くない所に、小さな城跡がある。ある時、何らかの理由で城から女性を連れて脱走した者が居るのではないか。
追撃隊まで組んで追いかける程だから、何か重要な情報でも持ってたのだろう。もしくは、逃げられては困る人物だったのかも知れない。
そして、数百年の時を超えてその時の光景が何度も繰り返されているのではないか。それをたまたま、Aさんが目撃してしまった…。
上の件については、私も独自に調べました。ただ、ネット上で調べただけなので限界があります。
まず、Aさんの言う「村からそう遠くない」というのは、人それぞれだと思います。私にとっては「結構遠い」と思える距離でした。また、城跡にしても「青葉城址」や「久保田城址」のように立派なものではなく、本当に小さなもので、県内の田舎に小山(と、言うよりは丘)がポツンとある感じです。
城跡に関わる歴代城主やその一族なのですが、その末裔は今でも居ますので、ここで出すのは控えさせて頂きたいと思います。
それにしても、この残酷な光景は今でも繰り返されているのでしょうか。
山のタブー
子供の頃、近所のおじいさんに聞いた話です。
そのおじいさんは若い頃一度事業に失敗し、実家の田舎に帰ったそうです。
その家には持ち山があり、色々謂れもあったらしいのですが、
若い頃に学業の為上京した彼は、その謂れなるものを全く知らなかったそうです。
さて、ある日彼が山を歩いており、ふと茂みを覗くと、一羽の兎が居たそうです。
しかし「兎だ」と思ったのは単に耳が長かったからで、実の所見なれている「兎」とは大分違う生き物であったとの事。
毛もなく目も開いておらず、簡単に言うと生まれたての子兎のようだったとか。
しかし、大きさは紛れもなく野兎のそれであったそうです。
しかもよく見ると、その兎は酷く怯えており、彼が近付いても動こうともしません。
よく見ると後ろ脚が罠にかかっているようでした。
罠と言っても、彼の見た所細い草に引っかかっている様にしか見えません。
彼は別に何の気もなく、罠を外してやったそうです。
そしてふざけて「恩返しをしろよ」と兎を見ると、先に語った姿の醜悪さな
ものですから、突然腹の底からぞっとし、逃げ帰ったそうです。
おじいさんは帰宅後、これを家の人にはなしました。
すると家に来ていた分家筋の人たちが一斉に厳しい顔になり「直ぐに出て行け」
と言い出し、彼は新妻諸共叩き出されたそうなのです。
彼はいたく憤慨しましたが、それから年経るにあたって、
なんとなく理由を理解しました。奥さんは三度流産し結局子供が出来ませんでした。
たぶん、あれは山の神様への生け贄で、自分が勝手に逃がしてしまったのだろう、
と、おじいさんは言いました。重ねて、実は村からたたき出された直後、
あんまり腹が立つので一度件の山に行ったのだと言いました。
兎の居た辺りで気配を感じ、ふと上を見上げると、錆び付いた斧が
自分めがけて落ちてくる所で、慌てて飛び退いた、と。
たぶんあの時自分が腕なり脚なりを切って捧げていれば子供は助かったかもしれない、とも。
おじいさんはとてもいい人でしたが、それでも、タブーを犯してしまった
報いを受けなければならないのだな、と思いました。ちょっと哀しかったし、怖かったなあ。
登山道のビニール紐
この前登山したときに休憩場所で一緒になったおじさんから聞いた話なんだけど
その人昆虫採集が趣味らしくて樹液の出る木だとか風の流れ的に虫が来やすい場所とかを昼間に山登って下見したりしてるんだって
でも登山道の脇に良い木があることも少ないしやっぱりそういうポイントは道を外れた斜面の方に行かないとダメらしい
流石に滑落しそうとかしたらヤバイようなとこは行かないんだけど結構遠くまで探すから迷ったらダメだってことでビニール紐を登山道の近くの木に結んで帰り迷わないように行くんだ
でそんなやり方を何年もしてきてある日いつものようにロープを回収しながら帰ってたら登山道に着かなかった
ビニール紐の始点が登山道なんて見当たらない全く別の場所に結ばれてたんだよ
携帯も圏外だしホントに迷っちゃったわけね
まあ方位磁針もってたのと途中で川みつけたおかげでそれに沿って無事に帰れたみたいだけど
これ心霊現象だったらまだ良いけどさ
もし誰か人がやったと思うと俺ならもう山登れないわ
山中異界
小さい頃、夏休みに田舎に帰った時の話。
じいちゃんばあちゃん+自分含めた家族で近くの山(あんま高くない奴)に登った。
ガキの無根拠な元気に任せて独断専行した自分。晴れてたし親も止めなかった。
頂上近くで雲だか霧だかが濃くなってきてはぐれた。
周りはシーンとしてて、怖くて声も出せなかった。
真っ白にかすむ中でウロウロしてたら、耳元で声がした。
「たきのおとがうるさい」
は?と思ったら突然ドドドドドと水の落下音。音を追っていったらかなり豪快な滝壺があった。
細かい水しぶきが顔にかかってきて、涼しいというより肌寒かったのを覚えてる。
しばらくそこで休んでたら霧が晴れてきたので、元来た道を戻った。
親発見。その後は普通に山を下りた。
帰ってから「ねー滝があるならなんで見に行かなかったの?」と聞いたら
そんなものあの山にはないと言われた。
山中異界? ガキの夢?
ていうかあの声誰だったんだろう。滝の音もそうだけどすげーリアルだった。
他にも山で変な音聞いた人いますか?
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