『ひょうせ・渦人形』|洒落怖名作まとめ【祟り・呪い系】

『ひょうせ・渦人形』|洒落怖名作まとめ【祟り・呪い系】 祟り・呪い系

その日の昼頃、自宅の電話に顧問の先生から電話があった。
この前の件で話があるからすぐに来いという。
昨晩のこともあった俺は、嫌な予感がして大急ぎで学校へと向かう事にした。

学校へ到着すると、生徒会などで使っている会議室に呼ばれた。
会議室に入ると、A也、B太、それにC広とD幸までいる、更にうちの学校とC広たちの
学校の顧問の先生たち、それと見た事の無いおじさんたちも数人いた。

まず顧問の先生のうち1人が話し始めた。
要約すると、E介にまた同じ症状だでたらしく、とある場所に運ばれたらしい、そして、
俺達に「昨夜おかしな事はなかったか?」と聞いてきた。
俺はすぐさま「昨夜のあれ」を思い出し、

「あのー、深夜になんか変なのが俺の部屋を覗き込んでるのが見えて…」
と事情を話した。

A也、B太、C広、D幸には特に異常はなかったらしい。
するとC広が

「そういやお前(俺)さ、あの家の中で階段の上眺めながらボーっとしてたよな?あれ関係あるんじゃないか?」
と言い出した。

そういえば…

俺はあのときの事を思い出し、皆に「あの時さ、変な笑い声みたいなのと、
なんか子供の姿見たよな?」と聞いてみた。
しかしみんなは、声はずっと聞こえていたけど子供の姿は最初のドアのところで
見ただけで、家の中では見ていないという。

俺達がそんなやり取りをしていると、さっきまで黙っていたおじさんが事件の詳細を話し始めた。
非常に長い話だったので要約すると。

俺達がであったのは、「ひょうせ」と呼ばれるものらしい。
これはあの土地特有の妖怪のようなもので、滅多に姿を見せないが、稀に妊婦や不妊の家の
屋根に現れて笑い声をあげるらしい、そうすると妊婦は安産し不妊の夫婦には
子供が産まれるという、非常に縁起の良いものだそうな。

ただし、理由は全く解らないが、数十年に一度なぜか子供を襲い憑り殺してしまうという厄介な存在でもあった。

ちなみにあの家は全くいわくも何もなく、ただ「ひょうせ」が偶然現れただけの場所なのだが、
「ひょうせ」が子供を憑り殺そうとした場合、それに対する対抗策があり、
「ひょうせ」が最初に現れた場所に結界を作り封じ込め、簡易的な祠をつくって奉ることで
殺されるのを防ぐ事ができるらしい。
合宿所から帰る直前、俺達が見たのはその封じ込め作業だったわけだ。

 

 

おじさんは続けて。
ただ今回は何かおかしいのだという。
普通祠をつくって奉ればそれで終るはずなのだが、今回はどういうわけだが逃げられてしまって
E介がまた被害に会い、しかも俺のところにまで現れている。

それに、そもそも現れるだけでも珍しい「ひょうせ」が自分達の村とその周辺以外に
現れるというのも全く前例がないうえに、「ひょうせ」が前回子供を襲ったのは20年ほど前で
「早すぎる」のだそうな。

ただ、おかしいおかしいといっても現実に起きてしまっているのだから仕方が無い。
俺達は学校で村から来たお坊さんに簡易的な祈祷をしてもらい、
お札を貰って君たちはこれで大丈夫だろう、と言われ帰された。

ちなみにE介に関しては、暫らくお寺で預かって様子を見て、その間にもう一度祠を建てて
「ひょうせ」を奉ってみるとの事だった。

学校から帰された俺達は、各々迎えに来ていた親に連れられて帰る予定だったのだが、
話し合ってひとまず学校から一番近い俺の家に全員で泊まることにした。
安全と言われていてもやはり不安だし、全員でいたほうが少しは心細く無いと思ったからだった。

その夜、俺達が部屋でゲームしていると

コン…コン…コン…コン…
と窓を規則的に叩く音がした。

さっき説明した通り、俺の部屋は車庫の上にあり壁もほぼ垂直なので、
よじ登って窓を叩くなどまずできない。
しかも、その窓は昨晩例の子供が覗き込んでいた窓だ…

状況が状況だけに全員が顔をこわばらせていると、B太が強がって
「なんだよ、流石に誰かの悪戯か風のせいだろ?」
とカーテンを開けようとした。
俺は大慌てでB太に事情を話しカーテンをあけるのを踏みとどまらせた。

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