『ひょうせ・渦人形』|洒落怖名作まとめ【祟り・呪い系】

『ひょうせ・渦人形』|洒落怖名作まとめ【祟り・呪い系】 祟り・呪い系

階段の踊り場の少し上ところから子供の顔がのぞきこんでいる。
月明かりが逆光になっていて表情とかは何も解らないが、顔のサイズや髪型から
さっきの子供とわかった。
相変わらず

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声も聞こえてくる、どうやら声の主はこの子供らしい。
しかし何かがおかしい、違和感がある。
俺はすぐに違和感の正体に気が付いた。

子供は階段の手すりからかなり身を乗り出しているはずなのだが、なぜか頭しか見えない。
あれだけ乗り出せば肩辺りは見えても良いはずなのだが…
俺がそんな事を考えながら階段の上を凝視していると、C広が

「おい何してんだ、早く出ようぜ、ここやべーよ!」

と俺の腕を掴んでリビングへと引っ張った。
俺には一瞬の事に見えたが、どうも残りの4人がE介をリビングへ運び込み窓ガラスを割り、
打ち付けてある板を壊すまでずっと俺は上の子供を凝視していたらしい。

俺は何がなんだか解らず、とりあえず逃げなければいけないと皆でE介を担いで外へとでた。
外へ出ても相変わらず

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声は家の中から聞こえてくる。
俺達はE介を担ぎ、D幸が合宿所へ先生たちを呼びに行った。

その後、E介は救急車で運ばれた。
俺達は先生方に散々説教をされ、こんな事件があったので合宿はその日で中止となった。
帰宅準備をしていた昼頃、十台くらいの数の車が合宿所にやってきた。
中から20人ほどのおじさんやおじいさん、あと地元の消防団らしき人が
降りて顧問の先生たちと何か話しをすると、合宿所の裏に回り例の家の周りに
ロープのようなものを貼り柵?のようなものを作り始めた。

俺達は何事なのかと聞いてみたが、顧問の先生たちは何も教えてくれず、
そのままバスで地元へと帰った。
E介は2日ほど入院していたが、その後どこか別の場所へ運ばれ、
4日後には何事もなかったように帰ってきた。
後から事情を聞いてみると、E介には家に入ったところから昨日までの記憶が何もなかったらしい。

E介が帰ってきた日の夜、俺が自分の部屋で寝転がってメールしていると、一瞬

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

というあの声が聞こえた気がした。
びっくりして起き上がりカーテンを開けて外を見たりしたが、いつもの景色で何も無い、
俺は「気のせいかな?」と起き上がったついでに1階に飲み物を取りに行くことにした。

俺の家はL字型になっていて、自室は車庫の上に乗っかるような形になっている。
冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し2階へ上がると、丁度階段を上がったところの窓の
カーテンの隙間から僅かに自室の屋根の部分が少し見えた、すると屋根の上に
何かがいる…

この前あんな事があったばかりなだけに、ビビりまくった俺が窓からカーテンを少し開けて
外の様子をのぞくと、屋根の上に和服を着た子供が両手を膝の上にそろえて正座しているのが見えた。

それだけでもかなり異様な光景なのだがそれだけではなかった。
子供は体を少し前かがみにして下を覗きこむような姿勢なのだが、首のあるはずの部分から
細長い真っ直ぐの棒のようなものが1mほどのびていて、その先にある頭が俺の部屋の
窓を覗き込んでいた。

即席aaで解り難いけどこんな感じだった
__
/ \体\

頭○    │窓

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声も窓越しにわずかに聞こえてくる。
俺はあまりの出来事に声も出せず、そのまま後ずさりすると1階へ下りた。
寝ている親を起そうかとも思ったが、これで起してあれがもういなかったらそれこそ
恥ずかしい…

その時なぜかそう思った俺は、そのまま1階のリビングで徹夜した。
たしか朝4時過ぎまで「ホホホ…」という声は聞こえていたと思う。
翌朝、恐る恐る部屋に戻ってみたがあれはいなくなっており、室内にも特に変わった
部分は無かった。

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