短編 洒落にならない怖い話 全5話
終電
先月短期の出向に行き、そこの歓迎会で聞いた話
A部長が若手Bを連れて出張にでかけたときのこと
初夏だというのになんだかうすら寒い夜、
仕事もうまくいき、一杯引っかけた二人は上機嫌で終電を待っていた
田舎の駅で、自分たち以外はもう乗客はいなかった
程なくして電車がホームに入り、二人は乗り込んだ
直ぐに違和感に気づいた
おかしい、なにかおかしい
妙に古めかしい配色のシート、
灰皿がある 喫煙している客すらいる
まばらに座る乗客の服装が時代遅れ
中吊りの広告はあきらかに昭和のそれだ
部長は自分が小学生のころ乗った電車の光景とそっくりなことに気づいた
いやな予感がし、降りるか?といった瞬間ドアが閉まった
ドアの閉まる音を聞き、パニック状態になった二人は
そばのボックス席の窓を開け、加速する電車から飛び降りた
乗客が車内から驚いた顔でこちらを見ていた
幸い軽いキズですんだようだ
ほら、これがそのときのキズ、といい、脛のキズあとを見せてくれた
あのときは死ぬかと思ったな、やせてて良かったと心から思ったよとわらいながら語った
当時者の部下はもう極力電車は乗らないようにしてますよ、、と言っていた
冗談やウソを言ってるようには見えませんでした
夢の中の穴
家族にいっても信じてもらえないし、かといって一人抱えてるのも限界なんで聞いておくれ
空気読まずに駄文長文さらに怖くも無い上に多分スレチスマソ
数年前から定期的にある夢をみるようになったんだ
頻度は大体月一、おおくて二回
幅広い長方形の部屋に自分がいて、後ろには扉、
足元には深さ3,4mくらいの正方形の縦穴があるんだ
ちょっと説明しにくいんだけど洗濯用洗剤についてるスプーンみたいな感じ
柄の先端が扉で、反対側の洗剤すくう所が穴ね
縦穴の壁にはひとつだけ出入り口みたいな縦長の穴があって、
床も壁もくすんだ白色のコンクリみたいな質感
ちなみにその出入り口?からは外が見える、雑草?と地面だけだけど
夢の中の自分はその縦穴を覗いてる、そして気がつくと目が覚めてる
大抵穴の中はからっぽで、この夢をみるとすごく目覚めがいい
でもたまに穴の中に物が置いてあるときがある、
物はロープとかナイフとか大きいものだとベッドとか自動車とか
この夢の時はすごく目覚めが悪い
んで去年くらいに気づいたんだけど、穴の中に物があると二週間後くらいに近親者が死ぬんだ
しかも死因が穴の中にあった物に関係する。
ロープだと首吊り、自動車だと事故、ベッドだと老衰とか病死とか
たまに誰も死ななくて安心してると高校の同級生の○○が~とか聞いたりする、知り合いも有効範囲みたい
昨日、穴の中に物が転がってた
ビニール傘が落ちてたんだけどさ、人ってどうやったら傘で死ぬのかね?
コンビニの袋の時は友人の息子がコンビニ袋で窒息死したけどさ
かくれんぼ墓地
昔だけど墓地で遊んでてかくれんぼをしようって事になった。
(隠れる場所なんて殆ど無いのによくやったなと思う)
普通はみんなでかい墓の後ろとか茂みとかに隠れるけど
ヒロって呼ばれてた馬鹿が納骨堂の扉をあけてその中に隠れて入ってたんだわ。
結局いくら探してもヒロが見つかんないから「帰ったんじゃね?」って事で
みんなで帰っちゃったんだ。
墓地から100mくらい離れた時だったかな。
いきなり墓地の方から物凄い叫び声が聞こえたんでみんなで振り返って墓地のほうを見たんだ。
「今の悲鳴?」「ヒロかな?」「見に行こうか」って話をしてたんだけど
戻ると坊さんに見つかりそうでヤバイって流れになってそのままそこで待とうって事にした。
でも、10分くらい待っても誰も来ないから俺たちはそのまま帰った。
次の日さすがにみんなで帰っちゃったのはまずいよなーなんて思いながら学校へ行くと
ヒロはいつも通り教室にいた。あまり元気がないような感じもしたけど
俺たちが帰っちゃった事を怒っている様子でもなかった。
「あのさ、ヒロどこに隠れてたんだよ」って聞くと
「ほら、扉がついた小さな家みたいなお墓あったじゃん。あの中」って答えた。
「お前馬鹿じゃねーの。お母さんに聞いたんだけどあれ、その家の先祖とかの骨壷が
たくさん置いてあるとこなんだぞ」って怒ったら
「あー白い壷とか置いてあったわ」ってそっけなく答えられたんで俺は
頭にきて「信じられねー」って捨て台詞吐いて自分の席に戻った。
そうしたら俺とヒロのやり取りを見てたのか、一緒にかくれんぼしてた他の友達が来て
「何?やっぱり昨日のあの叫び声、ヒロだったの?」っていきなり聞かれたんで俺は
「え?」っと思わず言っちゃったんだ。一瞬何を聞かれたのかわからなかったんだけど、
「ああ、そうだ」って昨日のあの墓地から聞こえた叫び声を思い出した。
「やっぱりヒロだったの?」
「・・・いや、忘れてた。聞いてないや」って言ったら
「何だよ・・・あいつさ俺たちが聞いても『知らない』ってとぼけてんだよ」
「あれ絶対ヒロだよな」
俺は昨日の出来事を思い浮かべながらヒロのほうを向いたらヒロと目が合った。
ヒロはなぜか目をそらして下を向いてしまった。
その日、俺たちとヒロは何だか妙な関係だった。
お互いに話したいことがあるんだけれど何だか近づいちゃいけないような。
学校が終わって俺たちはヒロを除いていつも通り帰ったんだ。
友達と別れて一人で歩いてると駄菓子屋さんの脇にヒロがいた。
俺はなんて声をかけていいのかわからんかったから
「何で先に帰っちゃうんだよ」って言ったと思う。
そしたら「○○(俺のあだ名)だけ大丈夫だから」って言われた。
「・・・え?」
「他のみんなには言わないでね」
こいつは何を言ってるんだろうって思ったけど、たぶん昨日の事だなって思ったし
ずーっと聞きたいと思ってたから「うん」っていった。
「あのさ、昨日かくれんぼしようっていって隠れたじゃん」
「うん」
「俺さ、最初○○が朝言ってた骨壷が置いてある家みたいなとこに
隠れてたんだ」
「だけど怖くてすぐ出てさ、他のところに隠れようとしたら
ケン(鬼だった奴)が近くにいたんだ」
「うん」
「だから俺、しゃがんでケンがどっかにいくの待ってたんだんだけど
ケンの後ろにさ変な女の人がいてさ、ずっとケンの後くっついて歩いてたんだ」
「ずっとケンのこと睨んでて。俺怖くてずっと動けなかったんだ」
俺はなんかからかわれてるのかなって思ったんだけどヒロが真面目な顔して
話してるんでそのまま話をきいてた。
「怖くてずっと隠れてたら、遠くで皆の声がしてるから『みんな出てきたんだな』って
思って俺も行こうとしたんだけど、あの女の人がみんなのすぐ後ろにいて
みんなの事にらんでたから、俺動けなかったんだ」
最初は半信半疑で聞いてた俺もさすがに怖くなったんで
「何で俺だけ大丈夫なの?」って聞いたら
「○○だけはあの女の人がくっついてなかったし睨んでなかったから」って言われた。
(正直何で俺だけ大丈夫だったのか未だに不明)
「やっぱりあの時のでかい声ヒロだったの?」
「・・・うん。皆が女の人と出て行ってさ。もう大丈夫かなって思って
別の出口から出ようとしたらあの女がいて俺のこと睨んでたんだ。俺、もうどうしたらいいか
わかんなくなっちゃったから走って学校に逃げたんだ」
結局ヒロは俺たちが去ったあと学校へ戻って、先生に気分が悪いから親に
迎えに来て欲しいって頼んで帰ったらしい。
一気にその事を話し終えると疲れたのか「じゃあ、また明日ね。この話内緒ね」って
言って帰っちゃった。
長くなったんでまとめると
その後その話は誰にもしてない。そのお陰でヒロと他の仲間との関係は悪化して
俺以外の奴とは誰とも話さなくなった。ヒロはまだ何か隠してる事がありそうだったけど
高校の時バイクの事故で亡くなってしまったのであの女の事は謎のまま。
出生不明な彼女
田舎から出て来たばかりの可愛い子と、友人に紹介してもらい、彼女ができて同棲してます
過去の事はあまり話さない子ですが、こちらも気をつかい、聞かないようにしてました
彼女の名前をネットで検索すると事故で亡くなった人と同姓同名で出身地も同じでした、
気に入り調べて見ると、田舎で同じ苗字の人が多数いるが、
その地に彼女の名前は1人(名前・生年月日も同じ)しかいない事が分かりました
その地に行き聞きましたが、彼女と名前・生年月日も同じですが顔が違います
昨日、分かりました、横で寝てる人は誰なのか、昨日から恐くて寝てられません
末期がん患者の日記
私の先輩が看護師として勤めている病院であったこと
先輩のチームの受け持ち患者だった末期がんの初老の女性が急変し,亡くなった。
社交的で明るく,ナースや同室の患者とも仲良くやっている,感じのいい人だった
身よりのない人で,先輩が私物の整理をしていると,一冊のメモ帳が出てきた。
なんの気なしにパラパラめくると,日々の日記や,病院食の献立,
見たいテレビ番組のメモ等,他愛のないものだった。
「きょうは看護師の××(先輩の名前)さんと散歩に出かけた。相変わらずやさしい人。私の話もよく聞いてくれて,心が晴れた。噴水もきれいだった。」
等と言う記述があり,先輩は少しほろりと来たとか。
しかし,亡くなる前日の内容を見て,先輩は戦慄した。.
それまで黒のボールペン一色だったメモ帳が,そのページだけ赤や青などの色が使われている。
字体は汚く,字の大きさにまるで一貫性が無い。
「××(先輩のフルネーム)は以前から私の事をきらっていたようだが,最近は露骨になってきた。
注射はわざと痛くするし,体を拭くのも雑で乱暴だ。もう我慢できない。
薬の中身も先生にばれないようにこっそり変えている。
私にはわかる。いつも薄笑いで馬鹿にしている。許さない
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
想像の中で何度も練習した。きっと成功する。明日やる。血を取りにきたとき,
首を刺してそのまま横に裂く。これを書いているだけで心が晴れる。今夜は眠れそうにない。」
先輩は同室にいる同僚や患者に動揺を隠すのが精いっぱいでその後どう動いたかはおぼえていないとか。
メモはすぐにゴミ箱に捨てた。
しかし、ベッド交換を行った同僚がベッドと壁の隙間の死角からハサミを見つけた。
特に誰も気にはとめなかった。先輩以外は。
先輩は本気で退職を考えたが,思い留まった。
少なくともこの部屋には二度と立ち入りたくない,と体調不良を理由に転科を申出て,病棟業務から外れた。
先輩は当たり前だが,邪険に接したことなどないし,むしろ自分には心を開いてくれているように思っていた。
恨まれる心当たりはまるでない。
今でも思い出すと全身の毛が逆立つようだ,と言っていた。
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