墓場まで持っていく話 短編10話【11】まとめ

墓場まで持っていく話 短編10話【11】まとめ

 

 

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墓場まで持っていく話 短編10話【11】

 

1

検察官だけど万引き常習犯な自分。
捕まった時に確実に新聞に載るだろうと思いながら万引きするスリルが止められない。
窃盗犯の取調べをしながら
「自分が捕まった時の取調べはこんなもんじゃすまないんだろうな」
と思う(検察の面子丸潰れってことで峻烈なものになるだろう)
でも万引きしてる自分はしてない同僚より
更正するよう諭すのがうまい、味がある、と言われる。
そりゃあね、犯罪者の気持ち分かりますから…と言うより犯罪者ですから(w

 

2

去年、業者会の忘年会に上司の替わりに出席した時のこと。
そこで行われたビンゴゲームで残念賞を貰いましたが、多分?手違いだと思いますけど、紙袋の中身が旅行券やらビール券、商品券が何百枚も入っていました。
それに気付いたのは会場を後にした時だったので、どうしようか迷いましたが猫ばばしました。
2~3日落ち着きませんでしたが、金券ショップで換金しました。
80万円くらいになりましたが、今月そのお金でバイクの頭金を払いました。

200人くらいの参加者全員に少しづつ配るはずだったんだろうなぁ。

 

3

病気で自宅療養をしていた祖母が、先日亡くなった。

晩年は自分で満足に呼吸も出来ない状態だったので、
呼吸器をつけて生活していたのだが、
夜中にそれが外れてしまった為呼吸困難に陥り、帰らぬ人となった。
正に不幸な事故であったのだが、夜中に呼吸器が外れていた事を、
俺は密かに知っていた。

祖母の介護は主に母親がまかなっており、
食事の手伝いや下の世話、痰取りなどを全て1人でこなしていた。
俺や親父もたまに手伝ってはいたが、

「おばあちゃんも女の人やから」

という母の配慮により、デリケートな面での手伝いは拒否していた。
しかしそんな母を最も苦しめたのは、夜も満足に寝かせてもらえない事だった。

半分ボケかかっていた祖母は夜中に暴れ、
そのせいで呼吸器が外れる事が多く、
外れた事を知らせるセンサーのけたたましい音に悩まされ、
睡眠を取れない母は日に日にやつれて行った。

そんなある夜、祖母の部屋で鳴り響くセンサーの音に、俺は眼を覚ました。
部屋まで様子を見に行くと、案の定祖母の喉から呼吸器が外れている。
だがいつもならすぐに起きて呼吸器をつけ直す母が、
日頃の疲れに熟睡しきっており、一向に目覚める気配は無かった。

俺はその姿を見て、これ以上母を苦しめるのはかわいそうだと考え、
苦しむ祖母を放置して、そのまま自室に戻った。

祖母の葬儀の間、母はしきりに自分を責めたが、
非難する者は誰も居なかった。
ある親戚の人は、「もう死んでくれて良かったのかも知れんよ」と、
母を慰めていた。

 

俺は今でも、あの時祖母を見捨てた事を後悔していない。

 

4

もう25年近く前になるだろうか、小学3年生のときに河川敷の茂みで犬や猫の死体がたくさん見つかった、
第一発見者は自分、実はその犯人も知っている。死体が見つかる前日、あの川原によく屯してエアガンとか木刀振り回してた
中学生集団がどこかから子猫つれてきて、エアガンで撃ったり石投げてた。
中学生集団の笑い声と子猫の悲痛な叫びが混じって怖くなって逃げた。

次の日高校生の兄と適当な理由をつけて見に行ってみたら死体の山に遭遇、その子猫も居た。
でも、仕返しが怖くて中学生のことは言えなかった、あくまでも偶然見つけた事にした。
後になってわかったけど、有名私立の中学生が連続して変死または不幸な目に遭っていることを知った。
顔はよく覚えてなかったけど、制服のデザインから察して多分猫を殺したのはそいつらだと思う。

今のところ何も起きてないけど、あの時大人を探して言えば良かったのにそれをしなかった自分も同罪だろう。

 

5

高校の文化祭でバンド演奏の機材を運んでいたとき、
誤ってワイヤレスマイクの受信機をぶっ壊して
危うく3年生バンドの演奏を中止させそうにしたのは
実は俺。

 

6

中学ん時生徒会役員の選挙があって投票係だった
まぁ選挙っつっても田舎だし競争なんてもんは実質無くて
半数が×を書かなければ自然に上がるようなものだった
しかしある一人の女の子だけあと二票×がついたら落選というまで×があった…

先生に墓場まで持ってけと言われた

 

7

拾ってきた猫を親には
「へその緒がついたまま捨てられてた。他の兄弟は死んでたから埋めてきた。
この子は最後の1匹だったんだ!助けてあげて!」
と号泣して説得した。
しかし実際は中学の同級生の友達宅で生まれた猫。
親は騙されて猫の生い立ちをいろんな人語っていた。
その猫も3年前に死んだ。13歳の夏だった。
あの子はうちに来て幸せだったのかな?と時々思い出しては泣いてしまう。

毛皮着替えて早く戻ってきてほしい。
とは言え12歳で親を騙したあの事は誰にも言えない。
墓場まで持っていくつもり。
そしてあわよくば、猫も一緒の墓に入れてほしい。
飼い主のエゴかな。

 

8

浮気された腹いせに、出会い系で相手探して浮気仕返した。
だが、浮気したことは結局誰にも言えず、仕返しにならない。
さらに、エイズノイローゼになり、3ヶ月後に検査にいく羽目に。幸い陰性。

 

9

その年、幸運にも親がいないところでお年玉の一万円をくれた親父の実家じいちゃん
俺はすぐさまポケットに入れて親には黙っていた。
次の日もまた実家に行って親父がじいちゃんにお年玉の話をするとじいちゃんは「あげた気がするけどなあ…」と一万円をくれた。

恐る恐るもらってしまった
死んだじいちゃんごめんなさい。

 

10

いま24歳で販売。私には小さい時の思い出が二種類ある。
普通に本名アキ(仮)で呼ばれてて写真とかも残ってる記憶と、マナミ(仮)って呼ばれてる記憶。
アキの記憶は写真もビデオも残ってるし、小一の誕生日に小僧寿司のドラえもん型弁当食べながら『赤いの何?サクランボ?』って言ったら両親が
『そうだよ、種だすんだよ』って言う記憶とかすごい鮮明。
その時の写真もある。
マナミってのはアキの愛称じゃない。しかもマナミって私を呼んでる記憶の中の両親の顔は別人。
そして、マナミの記憶では小一の誕生日を迎えてないんだ。
病院にいたし。手の甲に点滴して運動会でたかったーって泣いてんの覚えてる。
マナミの記憶の中でテレビも見てる。でも年代が古い感じ。住んでたとこはたんぼの近くで夏は落下傘の花火した。
こんなに覚えてるのに、小一以降ぷっつり記憶がない。

オカルト的なのは『あるとこにはあるんじゃん?』って程度で好きも嫌いもない。
でもあれ、前世だったと思う。マナミは超絶ストレートで他の子よりチビでデブで、ふわふわの巻き毛とかすらっとした長身に憧れてたんだよね。今の私天パで長身細身。
残念ながら普通よりちょっと長身かな?って印象しかないんだけど。マナミの望みは叶った方かもね。

マナミ時代の家を覚えてたから今日行ったの。確かに家はあるしマナミ時代の母親らしき人もいた。でもなんかね、その人私のいる方を努めて見ないようにしてるの。そんな体の向きじゃ洗濯物取り込むの大変だろうにね。
きっとマナミは七歳になれずに亡くなって、私が生まれた。マナミ時代のお母さんは、なんでか知らないけど『アキ』 の存在とか今すぐうしろにいて見つめてることとか
全部今までの、この瞬間までのこと理解してるんだろなって感じた。

その人に話し掛けて、『マナミ』の写真を見せてもらおうと思って行った訳なんだけど、できなかった。
もう絶対動かしようのない過去で思い出したくない事実なんだろうな。なんか色々なにかがわかった気がした。
今これ書いてて、書きながらマナミの記憶がどんどんなくなってくの。上から読み返したけど、たんぼ…落下傘?って位。

たぶん輪廻ってそういうことなんだよ。みんなあるんだよ。貴重な体験してたんだなぁって思うけど、リアルじゃ言えないだろうな。

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墓場まで持っていく話
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