【長編- 名作】スカッとする話
幼稚園から中学までいじめられ続けた
私は子供の頃ひどいコミュ障&吃音で、幼稚園から中学まで男子生徒達にいじめられ続けた。
内容は日常的な罵倒、肉体的暴力(骨折1回)、学用品を盗まれる、捨てられる等。
家に押しかけられて部屋を荒らされたり、お金を盗まれたりもあった。
小学~中学はストレスでハゲて、さらにいじめられた。
渾名は「ドドハゲ」(吃音で「ど、どど」と音が重なる+ハゲ)
勉強を頑張ってやや偏差値が上の高校に進めたので、そこからいじめは無し。髪も生えた。
親の病気を機に医療大学へ進み、看護師になった。
現在独身40代看護師。
コミュ障は職場で揉まれてるうちに否が応にも完治した。
県職員だから若い頃はあちこち飛ばされつつ働き、
35になってやっと故郷の病院に配属された。
小児科に数年いて、現在内科。
当たり前だけど地元に戻ったら顔見知りの患者が多い。
かつてのいじめられっ子達を院内で見ることも珍しくない。
彼ら本人が患者になって来ることもあるし、妻子や親や祖父母が入院することもある。
そして40代になった私はちょっとだけ偉い位置にいる。
たいていの元いじめっ子は私を見ると「あっ」って顔をする。
可愛いわが子を担当してると知ると青ざめる。
私はもちろん患者に危害なんか加えない。他の子と同様に接する。
ただ親御さん達に話しかけられても、元いじめっ子だけをさりげなく無視したり
そいつの周囲をたまにニヤニヤしながら意味なく歩き回ったりする。
たまに奥さんの目を盗んで話しかけてこようとする奴がいるので、
そういう時は睨んで舌打ちする。
奥さんにはもちろん愛想よく接します。
患者のお子さん達は幸い皆なついてくれるし、職務は果たしてます。
内科に異動してからは、入院する奥さんに付き添う元いじめっ子や、
母親の見舞いに来た元いじめっ子と遭遇。
なぜか皆青くなる。
私が患者に対し何かすると邪推するらしく、
腕を掴んで物陰に引っ張ろうとした元いじめっ子も数人。
しかし入院病棟に「完全に人目のない物陰」なんてないので「何するんです!」と大声を出すと
周囲の患者が皆突き刺すような目で見てくれる。
患者さんである母義母さん本人が見ていたケースもあって、
義母さんと妻にゴミを見る目を向けられていたいじめっ子を見た時は正直スっとした。
元いじめっ子が先手を打って奥さんや母親に「あいつはロクなもんじゃない」
と吹き込んでいた(らしい)ケースもあったが
誠心誠意お世話すれば患者さんはすぐわかってくれる。
私を悪く言った元いじめっ子の方が、ごく自然に立場をなくす。
でも別に私は何もしません。元いじめっ子の方角を見てただニヤニヤするか、
目が合ったら睨む他は何もしない。
元主犯格の奴だけはさすがにふてぶてしく、私を見た瞬間
「あ、てめードドハゲじゃねえか」とニヤつきながら寄ってきた。
ちなみに患者は要手術の奥さん。奥さんが見てる前で(だからこそ?)
「また泣かしてやろうか?ん?」などとメンチを切って来る元主犯格。
奥さん「何してるの、ちょっと、やめてよ」と止める。
元主犯格、意気揚々と私にかつて11年間どんないじめをしたか語る。場所は患者が六人いる大部屋。
奥さん「やめてよ!アンタ頭おかしいんじゃない!」元主犯「は?」元主犯の子供ドンビキ
他の患者さんがナースコールしたらしく、男の看護師が飛んでくる。
元主犯、周囲の白い目に気づき、男の看護師にうながされて出て行く。
奥さん私に平謝り。私「気にしないで下さい」
元主犯、奥さんが手術の前日、私の胸倉をつかんで「×子(奥さん)に何かしたらブッコロス!」とわめく。
再度ナースコール。男の看護師飛んでくる。奥さん平謝り。私「気にしないで下さい」
奥さんの手術、無事終了。
元主犯、病室に来ず。ずっと来ず。退院の日も、来たのは子供と奥さんの親だけ。
最後に「本当にご迷惑をおかけして」「もう二度とご迷惑はかけさせません」と深々と頭を下げられた。
「夫婦間を見直すいい機会になった」とまで言われた
夫婦間で何かあったようだが、私の関知するところではないので笑顔で「そうですか」とスルー。
逆恨みされるかと防犯ブザーと警棒を用意して待ったが、以後2年間何もなかった。
風の噂では元主犯、離婚されて子供にも会えず、
鳶の現場から落下して怪我したけどうちの病院に来たくないとゴネて
腰を再起不能にさせてしまったとか何とか。
私は内科だから、怪我で会うことなんてないのに馬鹿だねーとしか思えず、カケラも同情は無い。
コメント