後味の悪い話【2】『電気屋』など 短編5話収録

後味の悪い話【2】『電気屋』など 短編5話収録

 

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後味の悪い話【2】 短編5話

 

サプライズ

超ハマってたゲームなのに、友人と奥さんにゲーム機ごと売られてしまいました。
私の同僚(男)の話です。

先日、彼の結婚式(披露宴)に招かれました。
会場は都内のすばらしい式場で、新婦も美人。
新郎の幼いころからの友人もたくさん駆けつけ、感動的な披露宴でした。

ただ、仲の良すぎる悪友(?)たちが「ちょっとぶっちゃけ気味かな?」という感じでした。
大変な盛り上がりの中で披露宴はお開きになり、参加者は二次会へ流れ、アトラクションが始まりました。

「あるものを売った値段を当ててください」というクイズです。

そして、会場のスクリーンには、悪友が彼の家からプレステ3とソフトをこっそり持ち出して、
「ブッ○オフ」で売りさばく映像が……。

彼はウイニングイレブンというサッカーゲームにハマっていて、
アジアNo.1に輝くほどの腕前だと披露宴でも紹介されていました。

しかし、そんな栄冠をあざ笑うかのように、映像では淡々と買取査定が行われ、
ゲーム機は店の奥に消えていきます。
当然のことですが、買い取られたゲーム機のデータは、
日本一だろうが世界一だろうが「完全消去」されます。

大爆笑が渦巻く会場の中で、一人言葉を失ったままスポットライトを浴びている新郎……。

どうやら新婦は彼の“ゲーム漬け生活”を快く思っていなかったらしく、
そこへ悪友がこの“サプライズ企画”を持ちかけたようです。

企画の決行は奇しくも昨日、彼が今日という日に備えて式場に前泊している間でした。

 

盗難

俺も3年前に自宅前から単車を盗まれたことがあるが、半年位経ってから警察から電話があり
「見つかったから来て欲しい」と言われて、早速行ってみると、単車がボロボロに壊れていたので
警官に聞いたら、このバイクを盗んだ少年が事故を起こしましてお亡くなりになりました。と言われた。

その瞬間怒りは消えて「あははっざまぁ~みろ!」と言ったら警官にすごく怒られた。
でも俺は「他人の財物を盗んで盗んだ物で命を絶ったのだから自業自得でしょ」と
言ったらそれ以上は何も言って来なかった。

盗んだ奴の遺族に単車を弁償してもらうので住所を教えて欲しいと言ったら、
最初は「親御さんの事を考えて損害賠償を請求する事は控えて欲しい」と言われたが、
「私は泣き寝入りしろという事ですか?」と強く粘ったら、盗んだ奴の住所を教えてくれた。

俺はその親に内容証明郵便で単車代を請求したら、あっさり満額支払われた。
オマケに盗難保険も入っていたので二重取りでウマー
俺の単車を盗んでくれた××君どうもありがとう。あの世でいつまでもツーリングを楽しんで下さい。

献花

よく通る道に花が手向けられている電信柱があり、
通る度に供えられた花の種類が変わっていたので
よほど大切な人を亡くしたんだろうなと気になって見ていた。

ある時、その電信柱の前を通ったらその花が荒らされていた。
次の日通ると花は綺麗に新しくなっている。

その日の夕方に通るとまた花が荒らされていた。
その後荒らされる→新しい花→また荒らされるというのが暫く続いた。

猫や鳥にやられたのかな?と思いつつ通り過ぎていたが、
ある日偶然にもその花を荒らしている最中の人を発見。

俺はとっさに車を降り、
「何してるんですか!」と咎めた。
するとこちらを向いた40~50代位の女性に女性が
「○○ちゃんを返して~」と号泣。

虚をつかれうろたえながら彼女を宥めつつ話しを聞くと、
彼女は娘さんをここで亡くした。

娘さんは歩いていて、車に突っ込まれた。
運転していた男性もこの電信柱にぶつかった衝撃で亡くなった。

この花は加害者の男性の家族が供えている。
その花を見る度に娘を思い出してしまい、いたたまれなくなって
花を荒らすようになってしまった。
といった感じでした。

「もうこんな事はしませんから・・・」
と泣きながらふらふら帰っていく彼女を見て
やるせない気持ちになり暫くそこに立ち尽くしてしまいました。

 

電気屋

小さいころ新聞に折り込まれた広告を見ると近所に出来た
電気屋さんの開店セールのチラシが入っていた。

そのチラシには「開店記念、ホットプレートで作った焼きそばを無料配布」の文字が!
焼きそばが大好きだった俺は、タダで焼きそばか食べられるのかとワクワクしながら
弟と一緒に電気屋の前まで行ったが電気屋の近くまで来た時に目にした光景は
閑散とした客誰一人としていない店頭で一生懸命呼び込みをしながら
焼きそばを小さなホットプレートで  焼きつづける電気店主夫婦・・・

子供の目にもあまりにも寂しい雰囲気だったので「焼きそば下さい」と
店の前まで行く勇気が湧かず弟と一緒に遠巻きに電気屋を見て、そのままそそくさと帰宅した。

それから月日は経ち電気屋は無くなった。

 

嫌だった

バイト先に彼氏いない歴25年らしい大人しい子がいた。
局の子にお昼おごらされたり、
派遣社員の子から高額なマルチ商法の商品買わされたりしてた。

皆が「アイツはお人好しだから何言っても絶対断らない」と
学生のイジメのようにバカにして嫌な事押し付けたりしていた。

もともとその子を優しくて良い女だと好感を抱いていた上に
この子なら断らないかもと思った俺は彼女を休日に食事に誘ってみた。
生まれて初めて女性からOKをもらい、嬉しくて店を色々調べて下準備し、
当日は思いきりお洒落してピカピカに洗った車で迎えに行き、
頑張って話を盛り上げてご飯を御馳走し、家まで送り届けた。

とても楽しくて何度も誘った。彼女も楽しんでくれていると思った。

段々好きになって今度告白しようと決心して食事に誘った時、
「本当はずっと嫌だった。もう誘わないで欲しい」と言われた。

彼女の顔は気の毒になる位必死だった。きっと決死の思いで言ったのだろう。

「ほら~!麻衣、ちゃんと断れるじゃないですか!
今度から嫌な事 頼まれたら、今みたいにビシッと言えよ!
俺、ずっと麻衣が何言っても断れないの、心配したよ!」
と、俺は泣き出しそうなのをこらえて出来るだけ明るく元気に取り繕った。

彼女はとてもホッとしたような顔をして何度も俺にお礼を言った。
俺から好かれている訳じゃない事がわかって、そんなに嬉しかったのかな。

昨日の話です。もう色恋は諦めますた。一生童貞でかまいません。

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後味の悪い話短編
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