後味の悪い話【3】『宅間』『優先席』など 短編5話収録

後味の悪い話【3】『宅間』『優先席』など 短編5話収録

 

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後味の悪い話【3】 短編5話

 

コレクション

私は夫のコレクションを捨ててしまって後悔した立場でした
鉄道模型でしたけど

かなり古い模型がまさに大量(線路も敷いてて一部屋使っていた)という感じでした
結婚2年目ぐらいから「こんなにあるんだから売り払ってよ」と夫に言い続けたのですが
毎回全然行動してくれずに言葉を濁す夫にキレてしまい
留守中に業者を呼んで引き取ってもらえるものは引き取ってもらいました

帰ってきた夫は「売り払ったお金は好きにしていい」「今まで迷惑かけててごめん」と謝ってくれました
残っていた模型も全部処分してくれたのですごく嬉しかったです

でもその後夫は蔵書をはじめ自分のもの全てを捨て始めてしまいました
会社で着るスーツとワイシャツや下着以外は服すらまともに持たなくなり
今では夫のものは全部含めても衣装ケース二つに納まるだけになってしまって

あまりにも行きすぎていて心配になり色々なものを買っていいと言うのですが
夫は服などの消耗品以外絶対に買わなくなってしまい
かえって私が苦しくなってしまいました

これだけ夫のものがないと夫がふらっといなくなってしまいそうですごく恐いのです
こういう場合ってどうしたらいいんでしょう

 

もう一回

横浜での話だったと思う
中学生くらいの男の子と母親が信号待ちをしていた
見るからに大切に育てている息子
でもマザコンチックであったり、教育ママ的でもなく、
微笑ましい関係が見ただけで判る、そういう親子

信号待ちをしていた親子に車が突っ込んだ
車は息子だけを轢き、母親は呆然と立ちすくんでいた

周囲の人々が、車の下敷きになった息子を助け出し、救急車を呼び、
辺りは人々が取り囲み騒然とした

息子の腕はちぎれ、足は関節がいくつも出来たように折れ曲がっている
その顔は苦痛に歪んでいる
助かるかどうかは判らないが、とりあえず今は生きている

すると母親が突然叫んだ
「殺しましょ、ね、殺しましょ。このまま生きていても苦しいだけだし、
腕もどっかいっちゃったし、足も変だし、殺しちゃいましょうよ、ね、ね、ね!!」

周囲の人々に訴えかける。
救助活動をしていた市民が母親に「お前それでも母親か!」と言っても
「殺しましょ。もう一回車で轢いてよ!」

その後は救急車が来て、どうなったかの顛末は判らない

宅間

裁判長「判決の前に、被告は何か言いたい事はありますか?」

宅間「えー、発言してもよろしいか?・・・なら話すわ。
まあ、まだ判決はでとらんのやけども、もうすぐ出るし、
わかっとる事やから、最初に言うとく。
どうも死刑にしてくれて、ありがとう裁判長さん。
感謝するわ!わし、死にたい思うてたから、ほんま助かる。
やっと死ねるんやなーと思うとほっとしたわ」

・・・どよめく室内。怒号が飛び交う・・・

裁判長「静粛に!・・・被告は裁判を誹謗しないよにしてください。
これ以上、不穏当な発言を続ければ退廷させます。いいですね」

宅間「今のは、誹謗とか批判ではのうて、純粋のワシの心から出たほんまの気持ち。
わかってもらわんでもええ。言いたい事はまだある。それは、殺してしもーた子供達にや!」

・・・どよめく室内。まさか?謝罪するのか?との期待感・・・

宅間 「わしが殺したガキどもは、わしの自殺の為の踏み台の為に生きていたんやな!
ほんま、感謝しとる。あのガキが8人死んでくれたから、俺が死ねるんやから
感謝せなあかん!死んでくれてありがとう!!
でも、死刑になるだけやったら3人で十分やったな。残りの5人はおまけで感謝しといたる!」

・・・どよめく室内。裁判長が退廷を命じる・・・

宅間(引きづられなから) 「おい、くそガキの親!おまえらのガキの8人分の命は
ワシ一人を殺して終わりの程度の価値やったんやぞ!
エエ学校に行かせて偉そうにしとったから死んだんや!
ガキどもが死んだ原因はおまえらあるんや!
せいぜい一生反省せいよ!
あの世でもおまえらの子供しばき倒したるからな!
あははははは!あははは!こらおもろい!」

・・・どよめく室内。退廷・・・

5分ほど後に、判決文が読まれた

宅間事件のすぐ後に、池田小学校にある内容の電話が殺到したのをご存知だろうか。
その内容は、以下のようなものである。

「子供が7人殺されたんですよね?それなら、定員分補充される筈ですよね!?
うちの子供は入れられないんですか?」

国立である池田小学校には、定員がある。
その定員が減ったから、我が子を入れられないか、というものである。

この話を聞いた時、事件の一報を聞いたときよりも寒気が走った。

 

優先席

今日バス乗ったら優先席しか空いてなかったんだけど
ちょっとヤバいくらいの腹痛に襲われてたので仕方なく座ってた

そしたら途中のバス停から杖ついたじーさんが乗ってきて立ち尽くす

すると同じように立ってた茶髪の若い兄ちゃんが俺に向かって
「何座ってんだテメェ!」とか言ってきて俺「ひぅっ」とか声が出たけど
俯いたまま座ってたら腕掴まれて立たされた

周りがなんか茶髪エラいみたいな空気になってじーさんも茶髪に「ありがとうありがとう」って
何度もお礼言ってる中、俺はブリュリュリュ!って音立てながらウンコ漏らした

次のバス停で降りた
死にたい

 

悪質ないじめ

俺は高校の時、DQN4人組にずっと悪質ないじめを受けていた。
チ◯ポの写メとられたり、殴られたり、クラスの前でからかわれたり
机に悪口を掘られて、そこに修正液を流し込んで、悪口を消えなくしたり
牛乳パックを投げつけられたり、本当にいろいろされて死にたかった。

俺はそれがトラウマで高校はなんとか卒業したが、大学には通えなくなった。
今は底辺ニートやってるよ。

去年、急に俺のところに高校の同窓会の連絡が来たんだ。
いままで、一回も呼ばれたことなかったのにな。
俺は24歳ニートだったからもちろん断ろうとおもったよ。
でも、しつこく誘おうとしてる奴がDQN4人組の一人だと知った。

俺は同窓会に出ることに決めた。
同窓会が盛り上がってる最中に俺に人生狂わした4人のだれかをぶん殴って
それで出て行こうと思った。

で、同窓会なんだけど最悪だった。あいつら4人は本当に最低だった。
あいつら4人は同窓会遅れていった俺の近づいて来て、いきなり誤り始めた。
「昔、いじめて本当にごめん。ずっと反省してたんだ。
一度、いじめた俺たち四人全員で誤りたかったんだ」
と言って、真剣に俺に謝ってくる。

同窓会終った後に、更に俺を呼び出して 「お前の傷が治るかわからないけど、本当に許してくれ」
とDQNリーダーは土下座までしてきた。

DQNの二人は旧帝卒のエリートになっていて、
残り二人もしっかりした仕事に就職した立派な社会人になっていた。
俺は悔しかった。DQN4人は最後まで極悪のDQN4人でいてほしかった。

なのに、会ってみると、人のできた立派な人間になっていた。社会的立場も良好だった。
逆に、俺は高校卒業からずっとニート、更にずっとお前らを憎んできて、
人間性なんて形成されずに止まってる。
社会性なんて身につきもしなかった。

俺の憎しみは対象を失って自分に帰ってきた。
同窓会の日はすごく死にたくなった一日だった。

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後味の悪い話短編
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