『モラハラの典型的な手口』スカッとする話【長編- 名作まとめ】

【長編- 名作】スカッとする話

 

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【長編- 名作】スカッとする話

 

モラハラの典型的な手口

10年以上前の話です。
当時大学生でサークルの副部長をやっていました。
部員A子は同じく部員のB男と付きあっていました。
B男はクールで理知的、A子はおとなしいタイプ。

そのA子がある日「相談にのってほしい」と言ってきました。
「B男と別れたいが、B男は“おまえは今理性的じゃない”、
“感情に支配されている時決断するものじゃない”
“頭で物を考えられるようになってから話を聞く”と言って取りあってくれない」

私が「なぜ別れたいのか」と聞くと
A子は「頭から押さえつけられているようでつらい」と泣きだしました。

そしてB男の普段の様子を話しました。
それは今思えばモラハラの典型的手口で「おまえのためを思って」
と言いながら支配するやり方だったのですが
恥ずかしながら当時はモラハラやDVなどにまったく知識がなく
「A子のためを思ってB男は言ってくれてるんじゃない?
とにかく片方の言うことだけ鵜呑みにできないから
次はB男と一緒に来て」と頼みました。

A子は「B男と同席するのはイヤです」と言って帰りました。
次の時、A子は「B男とのやりとりを録音しました。
第三者の目線から聞いてください」とMDを持ってきました。

盗み聞きみたいでイヤだと断ったのですが、どうしてもと引かない。
仕方なく聞いて驚きました。
つねにクールで理知的なB男が超音波を発していました。
スーパーなんかで子供が「キィヤアアアアアアアアァァァ!」って声を出してるあれです。

口調もガラっと違って
「おまえのッ、そうやってッ、いつものヒステリッ、ヒステリーだアァァ(だんだん超音波になっていく)ァァァァ!」
すごい早口でほとんど聞き取れないし、あせってる?のか単語が重なるし、
「子宮で物を考えるな」「理性的になれないのか」という内容の言葉を言いながら
「キィヤアアアアアアアアァァァ!」と超音波を出し続けるB男の声は非常にシュールでした。

私は正直、内容よりその声に圧倒されてしまい「こいつはヤバイ」と認識。
「部長と相談したいから」とMDを借りて
部長(男性)の所へ行きました。

そしてB男がすでに男性部員には
「A子がノイローゼ気味。感情的で手が付けられないがそんな彼女をほうっておけない」
「すぐ別れるだの死ぬだの言いだすが、真に受けないでくれ」
と根回し完了していたことを初めて知りました。

半信半疑な部長にMDを聞かせると、部長も唖然。
「これB男?ほんとにB男?加工してない?」と何度も繰り返し聞いていました。
音の加工に詳しいやつに聞いてみようと別サークルの部員に聞かせると「加工してない」との答え。

しかしこの彼に部長が口止めを忘れたことから噂が広まり、
噂を聞きつけた部員が話を大きくし……結局サークル全体を巻き込む騒ぎになりました。

最終的にA子B男を含む部員全員の前でMDが再生され、
B男が「こんなのッ、嘘に決まってッ、アァァ(だんだん超音波)ァァァァ」の生声を披露し
(不謹慎ですが、うわあ生だとちょっと感激しました)

皆に「おまえおかしいよ」「おまえが落ちつけ」となだめられながら、B男はA子と別れることを了承。
その頃すでにストーカーという概念が定着していたので
「今後A子につきまとわないよう部長がしばらく監視する」と言い含めました。

その後ネットが発達して録音が当たり前になりましたが
あの時もしA子が録音してなくて、あの超音波を聞かなかったらB男の肩を持ってしまったと思います…。

 

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