『また君に黙れ!って叱られたい。』ロミオメール体験談【長編- 名作まとめ】

ロミオメール体験談【長編- 名作まとめ】

 

スポンサーリンク

【長編- 名作】ロミオメール体験談

 

また君に黙れ!って叱られたい。

2年以上使ってガタがきはじめたケータイを機種変するために、バックアップ前にデータを整理してたら元彼からのメールを見つけた。
こんなの送られてきてたって気付いてなかったからすごくビックリした。
内容は、伝説級の方々に比べるとパンチが弱いかもですが…。
『また君に黙れ!って叱られたい。
君も僕を失って後悔している頃だと思います。
君の見にくいところを愛せるのは僕だけです。
今なら君の素の可愛くないところも愛せると思うので、早く帰ってきてください。
もう1人の弟より』
うちにこんな気持ち悪い弟はいません。

私の家は両親共働きで、年の離れた弟の面倒を私が見てた。
そしてうちでは私を叱る役は父だったため、いつの間にか怒ると父みたいな怒り方になるのが癖になってた。
外ではこの癖は隠してたんだけれど、元彼と喧嘩中、ついカッとなって「うるせぇ!周りに迷惑だろ、騒ぐんじゃねぇ!」って怒鳴っちゃってた。
フラれることを覚悟したけど、元彼は「かっこいい」ってむしろ肯定してくれた。
それが嬉しくて、その時は仲直り。

その日以来、元彼はやたらと私を怒らせたがるようになった。
しかも、あの口調にならないと怒っても不満そうにされる。
人前ではあまり見せたくないコンプレックスなので本当はすごく嫌だったが、怒ればその場は大人しかったし、そのうち飽きてくれるだろうと思ってので我慢してた。

でも、元彼は全然飽きる気配がないし、どころか「くたばれ!シね!」とか過激なことを言ってしまった時も嬉しそうだったし、何より怒ってない時の私にあからさまに冷たくなって、もうダメだと思って別れを切り出した。
元彼はすっごくごねて、「弟なら見捨てないくせに!」とか言ってきたから、「ナめんな。弟だったらこの程度じゃすまねぇよ」と渾身のドス声で言ってやった。
もちろんハッタリだったけど、元彼はビックリしたのか固まってくれたのでダッシュで逃げた。
あれから数年。

元彼と別れたことはまったく後悔してないけど、もっと早くこのメールに気付いてたら、『てめぇに似合いだ』と添えてSMクラブのURLでも送ってやったのに、それだけが心残りだった

私にロミオメールの存在を教えてくれた弟に、『こんな書き込みしたよ』とLINEしたところ、『まだアドレス変えてないならすぐ変えろ』と返された。
弟曰く、『私の書き込みは他のロミオより特殊だから、奴が私はまだアドレス変えてないかもと気付いてメールしてくるかもしれないぞ!』と。
『ははは!まさか、もう何年も経ってるのに今さら』…と、打っていたところで、来ましたよメールが。

そうだった。弟から伝説の方々のまとめを見せてもらっていたのに、ロミオの頭はタイムカプセルだとすっかり忘れてた。
『寂しい』とか『会いたい』とか、細かくぶつ切りにしたメールが何十通も来て、通知音がうるさいのなんの。
なぜぶつ切りなのかは、メール無精の私でも気づけるようにという説と、私に嫌がらせして怒らせようとしてる説の二つ。
弟は後者に500円賭けてた。
細切れメールをまとめると。
『色んな女と付き合ってきたけど、どれもしっくりこない』
『君みたいな地味な子は怒らせても泣くか、怒っても口調が変わらない』
『元から気の強い女は怒らせると怖い』
『君くらいがちょうどよくて理想だった』
『就職競争に負けてフリーターで辛い』
『情けない僕を君に叱って欲しい』
『弟でなくていいのでまたお付き合いしよう(土下座の顔文字)』
ここらへんを言い方変えつつローテーションしてる感じ。
そもそもお前は他人だと前にも書いたはずだけどね。
すぐにアドレスを変えてもよかったけれど、一言くらい言ってやらないと気が済まなくて、メールの一つに『おやめください』と返信してやった。
そしたらくるわくるわ。
『いつもの君じゃない』とか、『そんなお叱りは欲しくない』とか、『昔の君は死んだ!?』とか、不満げなメールがざくざくと。
ちょっと満足したのでアドレス変えた。
付き合ってたけど奴は私の地元も最寄り駅すら知らないし、そもそも引越してるから居場所を知られることはないし、連絡手段も絶ったのでもう安心。

 

【傑作選】ロミオメール体験談 一覧

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ロミオメール長編
kaidanstをフォローする

コメント

error: Content is protected !!