『憑きもの』|洒落怖名作まとめ【憑物系】

『憑きもの』|洒落怖名作まとめ【憑物系】 短編

自分、四六時中「身体が痒い」と掻き毟りだして、しょっちゅう風呂に入るのはいいんだけど、必ず塩を突っ込んでたらしい。
ろくに寝なかったのが昼間もちょくちょく眠るようになり、その際に必ず自分の数珠出して握りしめながら眠って、仏壇に蝋燭立てて火を灯してた。
で、自分、数年前、母親からもらった金の土台のルビーとダイヤの指輪が着けずにあるんだけど、ある日突然それを探しだしてと喚き散らしたらしい。
鞄に入れて保管してあったのが何故か見つからなくて、家中ひっくり返して、やっと母親が見つけたその指輪を自分、「替わりにする替わりにする」とか言い出して
填めだしたらしいw

もう自分の行動がオカルト過ぎて、兄妹すら近づかなくなってる時、最後の抵抗(?)みたいな事があったそうだ。
突然椅子を持ち、それを投げつけて「バカにするなふざけるな@;;:「00@^-p;;。・」「@;・。p「!!!!!!!!!!!」
ナイフで自分の首切ろうとしてたのを母親が止めて、持ってたそのナイフを母親に投げつけて「何で何で何で何で死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!!!!!!!!」
他にも、生まれた時から今までの嫌な出来事とかトラウマを持ち出して「お前もついてこい」とか言って母親に向かってたらしい……

とうとう精神科か寺かって時に、自分は母親の側で寝ながら仏壇の掛け軸(曼陀羅的な何かが書かれてる)に向かってぽつりと
「神様弱い子供でごめんなさい」

って言って、泣きながら眠ってしまったらしい。
次の日に丁度、自宅に坊さんが来るから(必ず月に一度坊さんが御経上げに来る)寺に預けようと思って、母親も寝たらしい。

ここから先はハッキリ覚えてる。

□ □ □

で、その坊さんが来る日の朝方。

自分、寝てた所をぱっと起きた。
起きた方向を見たら、死んだ父親が側に居て「あー何くっついてんのよ お前馬鹿で無いか」つって、ちょっと笑った後、すげー怖い顔して睨み付けてきた。
そこでハッと気付いたら、自分の背中から無数の蛇みたいな物が(自分の身体の倍くらいは出てたと思う)
ブワッて出てきてるのが解って、「私は私だ」とは辛うじて返せるんだけど、何故か背中から出てる奴らに
「出て行け」とは言えなかった。

そこで現実で、目覚めた。

で、目覚めた時に「あれは自分の気持ちだ」って思った瞬間、頭の中がスパーンとスッキリしていくのが解った。
直ぐさま起きあがって仏壇に火つけたら、蝋燭の左側がブワァーとあり得ない位、綺麗に上に上がって、手合わせた。
上手く言葉に出来ないけど、とにかくそこで全部解った。

もう自分でもよくわからないけどとにかく「負けてたまるか」的な気持ちが沸き上がってて、
そこから寝てた布団片づけて、風呂場に行ってこのクソ寒い中、裸になって冷水頭から被った。
健全な精神は肉体から、健全な肉体は健全な環境からと言わんばかりに、家中掃除して、家中の床をバケツと雑巾持って拭き回った。

いつの間にか起きて状況みてた母親は、余りのシャッキリっぷりに、今度はどの変化が起きたのかと気が気じゃ無かったらしい。
で、昼ちょっと前に坊さんが来て、馴染みの坊さんなんだけど、言わなかったけど、家の中をやたらキョロキョロしてた。
御経上げ始めて、ついでにまだ残ってるのも上げてって貰おうと思って後ろに着席。
いっつもより御経長くて、読経中、左上をやたら見て、首振ったり頷いてたりしてた。

で、読経終わるなり自分の方暫く見て、黙って頭撫でて帰ってった。

そこでもう恐怖の10日間は終わり。

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