– しみじみ - グッとくる話 短編10話【1】
最高の祖母
都心だったけど超がつくほど小さな古い木造屋。
でも、いつ行っても(驚かそうと突然行った事もあるのに)
掃除整理整頓が行き届き、狭いのに物が出てなかった。
小さな玄関は片付き、トイレも風呂場もピカピカ。
祖母は朝から地味な着物に白い割烹着をぱりっと着て朝食作ってくれた。
添える糠漬は小さな台所で漬けてるのに臭くなく、お米はガス炊きで美味。
食器は食後すぐに洗い棚に全部戻るのに、幼児用のお茶碗もきちんと出てくる。
朝食後は毎日掃除洗濯、昼も夜もご馳走出してくれて
彼岸には季節の菓子を手作り、冬には半纏を縫ってくれた。
整理整頓、清潔さ、きちんとした生活習慣、すっきり着物を着てた佇まい、
食材とか形に残らない所にお金かけてくれてた精神を見せてくれたのが
今思い出すと本当にありがたい手本で、最高の祖母だったと誇れる。
父の火葬の時
父の火葬の時、家族は他の参列者とは別の車に棺と一緒に乗った。
いつも家族で食事に行ったり、出かけるときにそうしていたように
兄が、「みんな揃った?」と聞くと、三歳の姪が「おじいちゃんがいない!」と言い出し
一同が一瞬・・・となったが、運転手さんがおじいちゃんはちゃんと先に乗って待っていたよと棺を見せた。
姪は「ああ、そういえばそうだった」とあっさりと納得し、皆、ちょっとだけ笑った。
ビリヤードに来る
ビリヤード場の店番のバイトしてるんだけど、オーナーがよくビリヤードしに来るんだよね。
毎回ジュース買ってくれたり、重いもの持つと心配してくれる。
今日はテレビに大好きなアイドルが出てたからニヤニヤしてたら、オーナーが話しかけてきて、しばらく一緒にテレビ見ながらお話してた。
私の実の父親はクズ野郎で両親が離婚してからはずっと会ってないから、
お父さんがいたらこんな感じかなーって、なんか胸があったかくなったよ。
畑が荒らされるようになった
16年間飼っていた犬が死んだら、実家の畑はサルやタヌキに荒らされるようになった。
犬は夜中に無駄吠えばかりするバカ犬だと思っていたが、彼は実は毎晩戦っていたのだ。
死んでから分かって申し訳ない。
妻に「愛してる」と言ってみた
ここ読んで、昨日嫁さんに久しぶりに言ってみた。
したら腹のあたりさすりながら、
「この子にも言ってあげて・・・」
初めて嬉しくて膝から崩れ落ちるっての経験したよ。
今日一日職場でも、思い出して何度も嬉し涙出そうになった。
世界で一番愛してる
風呂上がって、意気揚々と冷蔵庫を開けたらビールが入ってなかったときの絶望感わかるか?
すごいダメージだよな
でもな?
そのまま嫁さんのところに行ったらな?
冷蔵庫なんて比べ物にならないくらい、キンキンに冷えたビールが出されるわけだ
ビールサーバーなんてそういや持ってたな
嫁さんがノリノリで「おつぎしまーす♪」なんて言っちゃってさ
俺もリアルに「おっとっと」なんて言ったの久しぶりだよ
で、グイーっと喉に流しこむの
嫁さんはずーっとそれを見てるわけさ
ニコニコ笑いながらな?
何が面白いのかな?と思いながら、嫁さんにビールつぎかえすのよ
で俺と同じようにグイーっと呑むの
俺、気づいたらそれじーっと見てんのよ
ニヤニヤしながらさ(俺キメェw)
だってさ、すごく美味そうに、幸せそうに飲むんだもん
そりゃ見ちゃうよ
でそんな視線に気付いて嫁さんははにかむの
「もー、恥ずかしいなーw」なんて言いながらね?
俺、そのとき幸せってこういうことなんだ、って思った
ついでに、世界で一番嫁さんを愛してるんだ、って確証したね
もう俺、そのとき世界で一番幸せだったもん。絶対
誰がどう言おうとこれだけは譲らないね
嫁さん大好き、俺超幸せ
これ世界の真理ね
今日三周忌だったわ
お母さんを起こそうとしてる
母が心から愛していた飼い犬コーギー。その母が突然亡くなり、うちの犬が母と最後の別れをすることになった。
そしたら前日は口元をペロリとひと舐めしかしなかった犬が、
別れと言ったら立ったまま急に口元をペロペロしだした。姉がどけようとするとウーッと唸って威嚇。
舐め続ける状態が1時間続いた。それを見て婆ちゃんは涙。『必死にお母さんを起こそうとしてるね。』と。
亡くなる前日まで散歩してくれた母の愛を受け継ぎ、今までどおり大切に育てたいと思います。
みんな応援している
大学に入って涙脆くなってるから、皆さんの話からしたら全然泣けないレベルかもだけど投下・・。
今日の夕方に大学の成績表が家に届いたと実家の母から電話があった。実は1つ単位落としてた
んだけど、その授業は別に取らなくても良い授業だった。でも電話で母に
「自分で取った授業なんだから落とさないでよ!ちゃんと勉強しなさいよ!」
と厳しく言われてムッとして終始黙り込んで、電話を切る時も無言だった。この後にまた何回か
電話が掛かってきたけど、自分は基本的にチキンで、さっきの自分の態度に怒った電話だ・・と
ビクビクして取らなかった。
後で履歴見たら2回の電話の両方に留守電を残してて、メールも入ってた。そのメールの内容が、
「○○(←自分の名前)、みんな、あなたのこと心から応援しているのよ、だからこそ
厳しいことも言うのよ。○○の希望が叶うように、心苦しいけど苦いものを言っているのです。
つらいとは思うけど理解して下さい。お父さん、お母さんは○○のことが大好きだよ」
↑という文章だった。自分が電話取らないから、心配してこんなメールを送ってくれたんだと思うけど。
これを見て高校生の頃に塾とかに行かせてもらったのに希望した大学・学部に進学できなかったから、きっと母を
がっかり&心配させただろうということとか、母が毎朝明るくなる前から仏様にお参りしに行ってることとか、
一人暮らししてわかった母がやってた家事の大変さとか、あんなぶっきらぼうな態度取ったのに何でこんなに
心配してくれるの?とか、いろいろ考えて、それと最後の文章で涙腺がボロボロになった。
電話じゃ無理だから謝りのメールを入れた。
なんか離れてみて初めて、家族のかけがえのなさをしみじみ感じる・・。今までの恩、これから返しきれるのかなあ・・?
と不安になってくる。今できることは、せめて新卒でまっとうな就職をするくらいかな・・。
フワーっと入ってくるのは秋の風
昼前に猛烈に眠くなりソファに横になった。
ウトウトしている所にフワーっと入ってくるのは秋の風。
うおおおおおおおなにこの切ないような悲しいような懐かしい変な気分ーーー!!!!???
どうして急に小学生のころを思い出したりするんだろう。
学校から走って家に帰った記憶とかを唐突に思いだして、しみじみしつつちょっと幸せ。
夫婦って素敵だなぁ
両親を見ていると、結婚って良いなぁと思う。
母大好きな父、ツンデレな母。
化粧をしない母に化粧品をプレゼントしようとした父。でもオヤジ一人じゃ恥ずかしくて買えないと言って、当時高校生だった私をシャネルのカウンターに引っ張って行った父。
またこんな買い物して…と言いながら、父と出掛ける時には必ず買ってもらった口紅をしていた母。
母が大病したとき、必死に励まして一生懸命看病してた父。
夫婦って素敵だなぁ。
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