優しい話 短編10話【10】
1
日本で一番有名だと思われるテーマパークに隣接するショッピングセンターでの話。
自分は少し前から実家を離れて一人暮らししてるんだけど、
先日の母の日、お菓子好きな母に何か送ろうと和菓子屋さんに行った。
母に贈りたいんですと言って店員さんにお勧めを選んでもらい、発送伝票を書いていると、
「よかったらお使いください」と店員さんがメッセージカードをくれた。
面と向かって言うのは恥ずかしいけど、このカードのおかげで素直に母に感謝の気持ちを伝えることができた。
届いてすぐに母は電話をくれました。
この店としては当たり前のサービスかもしれないけど、店員さんのちょっとした気遣いが嬉しかったんだ。
遊園地板よりこちらに書きたかったので書かせていただきました。
2
昨日、動物病院にうちの犬を検診に連れてった時のこと。
若い兄さんがボロきれ抱えて入ってきた。よく見ると犬っぽいが、
犬種や元の毛色も判然としないくらい汚れていた。
「すいません、この犬怪我してるみたいなんで診てもらえますか」と受付に。
「診るのは構いませんが…失礼ですが、飼い主様ですか?」
「いえ、道端で見かけただけの者です」
「そうですか。心苦しい話ですが、診察には費用が伴います」と
受付の人が言いにくそうに伝えると、
「構いません。行きずりで困っていればそれが犬であれ、見捨てる訳にはいきません」
きっぱり言い切った。もうすごい男前だった。待合室にいた数人から感嘆の声が上がった。
うち一人の爺さまが受付に近づいていって、
「あなたは犬好きの鑑だ。その心意気に私も加えて貰えないか」と費用折半を提案。
兄さんは困惑してたが、我も我もと名乗り出て、結局待合室にいた人+病院で出し合う形に。
「もしあの犬が気に入ってくれたら、面倒みたいと思ってます。」
「勿論、全ての野良犬にこうしてあげる訳にはいかないけど、自分の手の届く範囲でなら
出来るだけの事はしてやりたい」
診察を待ってる間、そんな事を話していた。
非常識な飼い主もいるが、一方でやはりこういう人もいるんだなあと嬉しくなった。
3
六ヶ月の乳児をベビーカーに乗せてバスを待ってた時。
バスが来たので子供を抱き、ベビーカーを畳もうと片手で操作してたら、後ろに並んでた上司と部下らしいサラリーマン三人組の二人が、さっとベビーカーを、ひとりは荷物を持ってバスに乗り込んでくれました。
子連れでの外出はとても大変なので本当に助かりました。
この人達を育てたお母さんを見習って、私も思いやりのある人になってもらえるよう、子育てしたいと思います。
4
知り合いの男性の車を運転してて、自分の不注意で前の車にぶつけてしまったんだけど
ぶつけてしまった相手の方がまたすんごく親切というか優しい男性で
警察その他への連絡もてきぱきと済ませてくれて
「保険で全部済むから大丈夫だよ」と笑って言ってくれて
こちらの車の状態まで見てくれて
更に怪我などないかとわたしの身体のことまで気に掛けてくれて
自分は全然平気だから、と爽やかに去っていってしまわれました。
なんて優しい人なんだろう、と感動しつつ知り合いの男性に連絡を取ったのですが
今度はまたこの彼が優しくて
保険やさんへの連絡からレッカーの手配までてきぱきと済ませてくれて
車の修理費は当然出すつもりでいたのにたいした金額でもないからいいといって
今度なんか旨いもんおごってくれればそれでいいと笑ってくれて
やっぱりわたしに怪我がなかったかと気に掛けてくれました。
世の中には優しい人が満ち溢れていると思った一日でした。
5
お好み焼きを食べに行って入り口付近のカウンターに座った。
連休の昼メシ時で店内は満席、外も2、30人まち。。
目の前でお好み作ってるおじさんも汗だくで、ひとりで10枚以上焼いてる。すげー
外で並んでる子供が、焼いてる様子をじーっとガン見してたんだけど、
おじさん忙しいだろうに、子供と目があうたびににっこりしてた。いい人だなーと癒された。
6
昨日夜中に公園に行ったら、セミの幼虫がひっくり返って身動き取れなくなってた。
脱皮の為にベンチを登ってたら落ちたらしい。
気持ち悪いけど可哀想だからなんとか掴んでまたベンチの壁にくっつけてやった。
そしたらまた途中で落ちてひっくり返った。
学習能力のないダメな奴だとかわいく思えてきたから今度は木まで運んで木にくっつけてやった。家に帰ってからもそいつが心配で、今日その木を見に行ったら、くっつけた場所に抜け殻だけが残ってた。
なんかもの凄く嬉しかった。
7
高校の時、クラスでいじめにあってた俺だが、一人だけ普通に接してくれるヤツがいた。
殊更親切にするでもなく、憐れむでもなく、ごく普通に。
しかし、俺と接点があるというだけで彼もまたいじめの対象になりつつあった。
ある時、これ以上迷惑はかけられないから、もうほっといてくれと言ってみたが、
「人と普通に話すだけで迷惑なんて話があるか。周りの事を言ってるんだろうが、
俺は俺が正しいと信じたもののみに従う」と言ってきかない。
思わぬ嬉しい言葉だったが、それだけに余計巻き込みたくなかった。
俺が我慢すれば済むから、仕方ないんだと言うと、
「何が仕方ないだ。そんな事あるか。誰の言葉か忘れたが、命を大事にしすぎて人生を
粗末にする事ってあるんだよ。今のお前みたいに。無事なら何でもいい訳じゃない。
時には、例え死んでも立ち向かわないといけない事があるんじゃないか」
この言葉を聞いて衝撃を受けた。恥ずかしながら、この時はじめて「何とかしないと」と思った。
「今、お前を取り巻く状況の直接の原因はお前にはない。だからお前は悪くない。
しかし、お前が立たねばまた意味もない。立ち向かうなら、及ばずとも力を貸す」
この辺で俺は泣いていた。どうしてそこまでしてくれるのかと。
「俺が正しいと信じたからだ」
ようやく決意した俺は、ヤツを巻き込みつつ(むしろ巻き込まれたか)教室で小競り合いを
した後、なし崩しにいじめはなくなった。
ヤツが俺に言ってくれた言葉は、どれも決して忘れられない。
卒業後、改めてヤツにどうして助けてくれたのか尋ねたら、ヤツの兄貴は
いじめを苦に自殺していたからだった。
8
事務作業中に指が切れてウギャーーーヽ(`Д´)ノーーーシヌシヌ!ってなってたら、
いつも意地悪でデブでキモくて煩くてダメリで救いようの無い上司が
昭和50年代くらいに買ったと思われる粘着部分のベタベタさえ消滅した絆創膏を
よれよれの四次元カバンから取り出して、撒いて、ガムテープで張ってくれた。
その後、命の恩人だと言いふらして回ってって恩着せがましい。・゜・(つД`)・゜・。ありがとう
9
家の近所にコンビニがあってよく買い物に行くんだがそこにイケメンな兄ちゃんが働いてるんだ。
深夜の時間に働いててもう一年くらい通ってる。
んで昨日いつものよいに深夜に買い物に行ったんだ。
客はおっさんが一人雑誌立ち読みしてただけ。
適当に買い物してレジに行ったんたが店員がいないんで声出して呼びかけたんだ、
そしたらあの兄ちゃんが出てきた。
が、様子がおかしい、兄ちゃんが号泣している。
嗚咽をあげながらレジを打っているwww
私びっくりしてポカーンとなってたwww
勇気を出して理由を聞いたら、妹さんが重い病気にかかってずっと入院してたらしい。
で、大手術を受けてずっと生死の境をさ迷ってたらしいんだが意識が回復したらしい、
近いうち退院も出来るそうだ。
母親から電話がかかってきて涙が止まらないらしい。
バイト帰らしてもらえばいいのにって言ったら「誰もいなくて帰れないんです(;_;)」だってwww
私は感動してたんだけど、そのあたりで雑誌読んでたおっさんがいきなり缶コーヒー一本もって
レジに来た。
そして無口のまま無愛想に120円を取り出しレジに出す。
私は内心おっさん邪魔だな~とか思ってたんだけど、次の瞬間おっさんが財布からごそごそと
二枚のディズニーの一日乗り放題券?みたいなのを二枚取り出して
「退院したら妹さんつれてってやんな」とだけぶっきらぼうに言い放ち、兄ちゃんに押しつけるように
チケットを渡すとすぐに立ち去ってしまった。
おっさんGJ!!!と心の底から思った。
この兄ちゃんといいおっさんといい、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと思った出来事でした。
10
ついさっき遭遇したいい人。
電車の優先座席でDQN高校生がジュースとかお菓子とか散らかしながら騒いでたんだ。
みんなうるさいなーって顔で時々そっちの方見たりしてたんだけど口には出さない。
そんで終点について高校生どもスーパーの袋とか散らかしたままにして降りてったんだわ。
そしたら近くに座ってた大学生くらい?の女の子がささっと無言でその散らかったゴミ片付けて持って降りて行ったんだよ。
けどその終点駅テロ対策かなんかでゴミ箱設置してないんだわ。
女の子はその辺行ったり来たりして、そうしてる間にもベンチに置いてある空き缶とかペットボトルとか拾って、最終的に元の場所に戻ってきたんだわ。
んで乗り換えの電車が来て、乗り込む女の子。そして俺。
女の子はその後2駅先のゴミ箱が置いてある駅で降りてゴミ捨てた後次の電車待ってたわ。電車の窓から見えた。
こういう小さなことを普通にできる子っていいよな。
と思って俺は途中の駅で目の前の席が空いたときその女の子に「座られますか?」と訊いたんだが、
「あ、大丈夫です。ありがとうございます」と笑顔で返されたわorz 重そうな荷物持ってたのに大丈夫だったのかな…
コメント