【優しい話】『あなたのおかげで明日も頑張れそうです』など短編10話【20】 – 心温まるちょっといい話 まとめ

【優しい話】『あなたのおかげで明日も頑張れそうです』など短編10話【20】 - 心温まるちょっといい話 まとめ 優しい話

 

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優しい話 短編10話【20】

 

 

1

19になったばかりの頃に、交通事故を起こした事がある。
事故の内容は、お正月で混んでいた道路を原付で走っていた私が
家族連れの乗った車に後ろから突っ込んだというもの。
幸い相手家族に怪我は無く、私の原付の傷と、乗用車のへこみが
被害だった。

実は私の父は、学生時暴走族の一員だった事が自慢という結構なDQNで、
私が一方的に起こした事故だというのに
「子供が起こした事故なんだから、『いいんだよ~』と見逃して
立ち去るのが大人ってもんだ」というとんでもないDQN理論を振りかざし、
被害者家族に「こんな子供を脅してなんのつもりだ!」と絡む始末。

結局父と殴り合いになりながら母の協力を得てなんとか全て保険で処理。
お詫びのお菓子を宅急便で送った後、それが届いたと被害者家族のお父様と、
車の持ち主(乗っていた子供のおじいちゃん)から個々に電話があった。

内容は
「お菓子が届きました。家族皆でおいしくいただきました。」
「車の修理も済みましたよ。」
「事故は残念でしたが、あなたにも怪我が無くてよかった。」
「女の子だし、大事な体なんだから、これからは気をつけてね。」
どちらもこんな感じ。

加害者なのにかなりのDQN対応をし、おまけに日数もかなり引っ張ってしまって、
首が痛いとかなんとかいって人身事故にしてしまう事もできたのに、
それどころかこんな優しい言葉をかけられて、涙が止まらなかった。
私もこんな人たちになりたいと思った。

今でも運転はしてますが、交通事故は二度と起こすまいと気をつけています。

 

2

田舎から上京して大学に通い始めて2年目。
学生生活とバイトに追われる平凡な学生なのですが、
今日バイトが終わり原付を駐輪場に取りに行ったら、私の原付に七夕の飾り付けがされてました。
短冊には
・口蹄疫が早く沈静化しますように
・頑張ってください。あなたが関係者ではないなら関係者に頑張って!とお伝えください。
等々激励の言葉のみ。
誰一人自分の願いは書いていませんでした。

私の原付のナンバーは“川南町”

一つ一つの短冊や七夕飾りを眺めていたら、
遅いのを心配した友人とバイト仲間が集まってきて、
最初は『悪戯されたん?』と言ってた彼らと4人で原付を囲んで涙を流しました。
宮崎出身は私だけで、残りは東京、奈良、広島出身なのですが、
奈良の男は支えてないと一人で立てないくらい泣いてました。

40枚以上あった短冊に私たちの知ってる筆跡は一つも無かったので、
私のナンバーを見た通りすがりの誰かが何人かに声をかけて始め、最終的にあの形になったんだろうな。
と思います。

私の実家は直接関係はないけど、遠い親戚や同級生に関係者はいます。
短冊書いてくれた方々、ありがとうございました。
皆さんの優しさを、必ず彼らに伝えます!

 

3

この前彼女とのデート中横断歩道を渡った。
結構人はいたけど混雑ってほどではない。
それなのに彼女がやたらゆっくり歩く。
理由は前のおばさんがすんげぇ歩くの遅かったからだった。
追い越して行こうと思って彼女の手を引くと
「ゆっくり行こう」だって。
途中俺らを追い越そうとした何人かとぶつかったけど無事渡り終わった。
すると前のおばさんが振りむいて
「ありがとう」
って言った。
俺ポカーン
彼女「お気をつけて」
何が起こったか良く分からなかった。
ただ、おばさんが杖持ってたから足が悪いんだろうと思った。

後で彼女に聞いたら
おばさんが持ってたのは視覚障害の人が使う杖だったらしい。
彼女と街を歩くと知らなかったものがたくさん見える気がする。

 

4

こないだ、ドラッグストアで買い物して店前のバス停でバス待ってたらさ、
ちょっと先の交差点でカラスが轢かれて死んでるの。
俺も文鳥飼ってるからさ、鳥類ってだけで親近感わくんだ。んで、どーしよどーしよ思ってたら
その道に合流しようと黄色いSSが脇道から出てきて、なんとなく、そのライダーもカラスみてた気がする。
そのまま行っちゃったんだけど、すぐ折り返し戻ってきて、ドラッグストア入ってバイク停めた。
んでリュックからビニール袋出してカラスの方に駆け寄って、赤信号で車止まったの見計らって
亡骸をビニール袋で回収してた。

俺はバス来てたんだけど、気になってそのライダーに駆け寄ってさ、手伝いますつって
買ったもの出してビニール袋に飛び散った羽を一緒に拾った。
信号青になったけど、どの車もクラクション鳴らさずに待っててくれた。

駐車場に戻って、「ありがとう」ってそのライダーに言ったんだ。
「いえ、うちもインコいるから、このまま車に踏みつけられるのが居た堪れなくて…。
この子、時期的にも体格的にも、まだ仔なんでしょうね。ほら…」
つって上を指差した。仰ぎ見ると、電線にカラスが2羽止まってこっちを伺ってた。

「多分、親でしょう。飛びなれない内は高度が取れず、それで轢かれたんでしょう…。かわいそうに。
カラスは知性があり、情に厚い鳥なんです。家族で群れて行動するのも珍しくないんですよ」
と目をうるませて教えてくれた。

「うちの庭に埋めましょう。コンクリートの上に放置したり、ゴミとして処分されるには忍びない」
そう言ってリュックにしまおうとしたから、俺はもうひとつのビニール袋を差し出した。
「ありがとうございます」袋を二重にして、ライダーはリュックにしまってエンジン掛けた。
「うちにも、文鳥いるんですよ」なんか知らんが咄嗟に言ってしまった。
「…いいですよね、鳥って」シールド越しにニコっと笑って、バイクは走り出していった。
2羽のカラスが追いかけて行った。

俺は買った物をどう持って帰ろうか思案しつつ、バイクと2羽を見送った。
ドラッグストアでまた袋貰ったんだけどさ。

 

5

この季節になるといつも思い出す小学校5,6年の頃。
小学校裏の山の中腹あたりに、潰れたのか途中で建てるのやめたのか、とにかく
荒れ果てた廃ホテルがあって、そこは俺らの格好の遊び場だった。
サバゲーとかするにはもってこいなんだが、やはりどことなく不気味な雰囲気は拭えず、辺りが暗くなれば尚更。
いつも10人前後で遊んでいたが、ある日、俺とBが共謀してドッキリを仕掛けてやろうと。

Bがそこらに打ち棄ててあったカーテンを纏い、持ってきた包帯を適当にぐるぐると巻きつける。
俺は赤ペンキであちこち汚して流血を演出。
いつも通り遊んでいる中を抜けだし、準備を済ませ、俺の絶叫でスタート。

皆が駆け付けるとそこには、階段の上で腰を抜かした俺と、その俺を見下ろすB扮する化け物。
皆叫び喚きながら逃げようとする中、只一人Cだけは
「きさんこらぁぁぁ!A(俺)になんしよるんじゃあああ!?」
足元の木切れを拾い上げて怒声を張り上げる。
腰を抜かして呆然とする周囲の奴らに
「ここは俺が何とかするけん、誰か人呼んでこい!早く!!」
とケツひっぱたいて追いやった。

凄まじい形相で階段を駆け上がるC。「ちょ、待った、待っ」と静止に入るも間に合わず、
木切れ一閃、Bの脳天を鋭く打ちすえる。
痛がるBの様子にようやく違和感を覚えたC、正直に白状して更なる怒りを買った事は言うまでもない。

「何で一人だけで挑んだの?全員でやればよかったんじゃ?」と尋ねると
「狭い階段でおまけにこちらは下、地形が不利すぎる中で多人数は逆に動けん。
それに、危ない目に合わせる訳にはいかんやろ」

今でも付き合いのある俺らだが、集まる度にこの話で盛り上がる。
俺らのCへの信頼度はあれから揺るぐ事はない。

 

6

スポクラ窓口でバイトしてます。ついさっき出会ったいい人の話。

人格から全否定されるような凄く理不尽なクレームをくらって久々に泣きそうになってた。
しかし窓口業務だし、一人で夜勤だったから誰かに話を聞いて貰うことも出来ず、必死に
涙を堪えていたら気持ちが悪くなってきた。
それでも他に人はいないし、ただただ早く仕事が終わって欲しいと思いながら仕事して
たら、お客のおじさんに声をかけられた。

「大丈夫か?泣くなよ?あんたはちゃんと頑張ってるんだから」

どうやらクレーマーの声は更衣室まで聞こえていたらしく、おじさんはその声を聞いて、
わざわざ窓口まで励ましに来てくれたらしい。
でもまさかそんなこと言ってもらえるとは思ってなかったから凄くびっくりした。
それまで本当に泣きそうだったのに、おじさんに声をかけてもらったら全部引っ込んだ。

カウンター前にしゃがみ込んでにっこり笑いかけてくれたおじさんの穏やかな笑顔は、
たぶん忘れられない。

ありがとう、ディープ・ロイ似のおじさん。
あなたのおかげで明日も頑張れそうです。

 

7

今日、念願のバイクを納車した。思い出の一台、カエル色のZZR400。

2年前、大学受験で地元から出てきた俺は、不慣れな土地で違う電車に乗り込んでしまい、
気づいてすぐ最寄りの停車駅で降りるものの、位置状況がさっぱり分からない。
混乱しつつ駅員捕まえてしどろもどろに事情を説明していると、
「どうかされました?」と声をかけてくれたお兄さん。半分泣きながら説明すると、

「場所分かる?学校の名前は?」
「何時から?向こうに誰かいる?」
「分かった。ついておいで」

そう言って駅から駐輪場まで連れ出され、そこには鎮座ましますお兄さんの愛車、渡されるヘルメット。
「乗って。俺の腰に手をまわして」
走り出すバイク。車をどんどん追い抜いて、これだけのスピードも風も生身で受けるのは初めての経験だった。

20分前に受験予定の学校に到着。先生らが校門の所でソワソワして待っててくれた。
先生ともども、お兄さんに感謝感謝。
「気にしなさんな。本来遅れる試験に間に合ったんだ、こっから逆転だ!受かるから!頑張れよ!」
って親指立てて励ましてくれた。
名前とか尋ねたんだけど、
「本番前にいらんモノ頭にいれなくていいよ」と言って走って行かれてしまった。

お陰さまでその大学に無事合格し、バイト代貯めて近所の中古屋に探して貰った同じ色のZZR400。
俺も今日からお兄さんの仲間入りします。どこかで会えたら嬉しいです。

 

8

俺が小学校で自転車買ってもらったばっかの頃

同級生と近所の道で自転車乗って遊んでた。
ワイワイとやってたら、いじわるな上級生数人が歩いて来た。

ヤナ雰囲気感じた自分達は他の所行こうと自転車のペダルを踏んだ。
スピードが出たところで上級生が走って追いかけて来て、持ってた傘を投げた。

自分の自転車の前輪のスポークに刺さり、俺は前転して道に転がった。
小さかった俺はわんわん泣いていたと思う。

転んだのが昔あった近所の鍛冶屋の前で、一部始終見てたオヤジが出て来た。
何も言わず俺を立たせ、自転車を仕事場に持って行ってグニャンと曲がった
スポークをカンカン叩いて直してくれた。
どうにか走れるくらいになった自転車を俺に渡して、また無言のまま仕事に戻って行った。

今は引越して住宅街に住んでるけど、あの時の鍛冶屋のオヤジにお礼言いたくてたまらん。
鍛冶屋はもう無く、オヤジはとうの昔に死んじまってるけどな。

 

9

大阪の御堂筋線でコンタクトレンズ落としてあわあわしていたら
3人連れのおばちゃんが「どうしたん?なんか落し物?」と声をかけてきた。
「コンタクトが…」といった途端大声で
「ちょっと!今みんな動かんとって!!この子、コンタクト落としはったん!!」
ラッシュ時でごった返してたホームで迷惑だし
見つからない確率のが高いし恥ずかしいのもあって「もういいです…」と言ったけど
そのおばちゃんたちの声でいっせいにみんな足元探してくれ始めて。
数分後サラリーマン風のお兄さんが「これ…?」ってなんと無傷のコンタクトレンズ見つけてくれた。
その瞬間、わーっと周りから拍手。おばちゃんたちや探してくれた人たちにお礼を言って電車乗ったら
ホームでおばちゃんたち万歳三唱しながら見送ってくれた。
車内の人は何事かとじろじろこっち見てるし恥ずかしかったけど嬉しかった。
あのコンタクトレンズはもうないけどアニマルプリント見る度思い出す。

 

10

今現在臨月妊婦。
うちの市は田舎だから、道路ですれ違った小学生から挨拶されてこっちも普通に挨拶を返すような所なんだけど、
今日上の子と散歩してたら、小学5、6年くらいの男の子がすれ違いざま挨拶した後に近付いてきて、
「これとったんですけど、どうぞ」って、四つ葉のクローバーを一つくれたw妊娠してるからだって。
小さなことだけど、すごく温かくて嬉しかった。四つ葉のクローバー見つけるのも大変なのにね。

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