優しい話 短編10話【12】
1
今日の夕方、バイト先で店長に呼び出されて注意されたんだ。
歩合制のバイトなのに、お前の成績が悪くてふじこふじこ。
合わないなら今すぐ辞めろ、みたいな言い方されて俺ショボーン・・・
どこが悪いんですか?アドバイスもらえませんか?と聞いても
合わない奴は合わないんだ、みたいに言われて八方塞。
いつもは助け舟を出してくれるアドバイザーも知らん顔。
正直言って半泣きだった。
そしたらバイトの帰り道でたまたま
同期で入った年配の方と一緒になってさ。
「こんなひどい事言われたんですよー」って話してたら
私なんてねぇ、もっと酷いこと言われたのよー!
でもね、こんな仕打ち初めてで、すごくくやしくて。
何クソ負けるかー!って思って続けてるの!
アナタも若いんだから頑張りなさいよ!一緒に頑張るわよ!
って言われて握手。
落ち込んで弱ってた時だったからすごくありがたかったんだ。
明日も頑張ろう、自分からは辞めないぞ、って決めた。
まぁクビになるかもしれないけどなw
2
今日コンビニから出るときに速足でドアに向かったら足を滑らせちゃって、勢いづきながら倒れかかったら、ちょうど入店した男性にぶつかり合う形になったけど受け止めてくれて助かった。
弾みで落とした品々も拾ってくれて嬉しかった
謝ったら逆に、こちらこそすみません、胸触っちゃって…と謝ってきて、恥ずかしくなって逃げるように帰ってしまいました。
店員にもおもいっきり見られていたので恥ずかしくてしかたなかった。
あの時はしっかりお礼も言えずゴメンなさい…
3
腰痛が悪化して日常生活に支障をきたすレベルになってきた昨夜
よろよろ歩いてたのが邪魔だったんだろうが、横をすり抜けようとした人の、肩にかけたボストンバッグに突き飛ばされた
絶妙に重心を崩す位置にヒットし、気を失いかけるほどの衝撃が腰に走った
そして気がつくと、オフィス街+繁華街の帰宅時間、混み合う駅のど真ん中、orz状態で小便漏らしてた
痛いし動けないし情けないしで、そのまま地面に額つけて泣いちまった
で、そんなキモイ状態の俺を助けてくれる人っているのね
小便まみれの俺に肩貸して移動させてくれて
痛みが落ち着いてなんとか動けるようになるまで30分もついててくれて
「こんなんで電車のったら迷惑ですよねー」なんて途方にくれてたら
「ちょっと待ってて」とか言って2,3分でズボンとパンツ買ってきてくれて
「そこのスーパーで買ってきた安物だし、サイズわかんなくて大きめで選んだからかっこ悪いだろうけど、緊急だから我慢してね」なんて言って
あのぽっちゃり系なお姉ちゃん、ホント天使だったんじゃなかろうか
お礼言っても、ズボン代払うからせめてこれをって5000円渡そうとしても、ちゃんとお礼したいから連絡先をって言っても、全部「いいの、いいの」でスルーされちゃって
結局テンパった「ありがとう」でしか感謝を現せなかった自分がものすごく不甲斐ない
4
産婦人科医院で働いていた時のこと。
Aさんの夫は営業というお仕事柄とても愛想が良くてさわやかで、
同室の人たちにお見舞いのお菓子を配ったりして、病院内でも評判が良かった。
それに対してBさんの夫はちょっとこわそうな近寄りがたい雰囲気の大工さんで、
こちらが挨拶をしても無言でペコッとするだけで、無愛想な人だった。
やがてAとBがそれぞれ退院。
退院後、忘れ物がないかベッドサイドの棚やクローゼットの中を点検していると、
以前からガタついていた引き出しや開きにくくなってた扉が
いつのまにか修理されていることに気づいた。
5
小5の時、ちょっとだけ登校拒否みたいにになった。
ほんとは元気なのに朝になると母にはお腹が痛いと言って休んでた。
母は夜まで仕事だったので、ズル休みだということは知らない。
当時大学生だった姉は「そうだ、パフェ食べに行こうか」とか「遊園地行こうよ」とかいって色んなことしてくれた。
なんかそんな感じで過ごしていたらだんだん心も元気になって学校行くようになったんだけど、
今考えたら姉はバイトしてなかったしお小遣いからやりくりしていたのかな…とふと思って、今日おごるつもりで食事に誘って、
あのときはホントありがとうと言ったら「いいよ、○○がジェットコースターで得意げな顔してるのは私もいい思い出(^_^)」って言われてちょっと泣きそうだった。
ねえちゃん、あのときはホントありがと。
6
彼氏は都内勤務、私は地方で就活中。
彼氏の職場の近くの企業のインターンシップに参加することになって、
前の晩に彼氏の家に泊まることにした。
彼氏が仕事終わる時間に待ち合わせして、彼氏の家に帰ろうとしたとき、
「明日行くとこ下見してく?迷って遅刻したら大変だし。」
仕事でくたくたのはずなのに私が行く企業まで連れてってくれた。
しかも私のキャリーケースを持ってくれて。
企業の最寄の駅前に着いたら、
「よーし〇〇、地図を見せてごらんなさい!」と意気込んで
一緒に場所を探してくれた。
「このコンビニの前で曲がるんだよ!コンビニの先行ったら世界の終わりだからね。」
と丁寧な解説付きでw
優しいなぁと心に染みた。今までよりもっと彼氏のことが好きになりました。
7
小学生の時の話
いつも給食を食べるのが遅くて昼休みまで1人給食とにらめっこしている女の子がいた
その日もいつものように女の子は昼休みになっても一人教室に残って給食に悪戦苦闘
自分は学級委員の仕事で相方の女の子と教室に残って作業していた
そこに男子数人登場
「まだ〇〇食べてんのかよー だっせー 馬鹿じゃねーの」などからかい始める 始めは傍観していたがエスカレートしてボールをぶつけたりしだしので思わず立ち上がり止めに入ろうとした時
「パシッ」
相方の女の子が男子をビンタ
自分呆然
女の子「ボールは外で使いなさい」
正直惚れた
8
この間バスの中から見えた和み
渋滞してて正直暇だった。
何気なく外を見ていると、あるお宅の庭でご飯中のでかくて真っ白い犬を発見。
ハスキーあたりを純白にした感じ。一瞬狼に見えた。
綺麗だなぁかっこいいなぁと釘付けになっていたら、ご飯に夢中だった狼犬がぱっと振り向いた。
視線の先を辿ると何かちっさい毛玉が…よく見たら三毛の子猫。
捨てられたのかガリガリに痩せてて、どうも狼犬のご飯に釣られたらしかった。
二匹は物凄い体格差なわけで当然子猫はびくついてる。でも目の前にはご飯が。
ご飯の前には氷山の如く聳える白い巨体が。
挙動不審な子猫を見つめていた狼犬、見兼ねたのかゆっくりした動きでご飯から離れて
そっぽ向いて寝そべった。
狼犬「もうお腹ふくれたよー全然見てないよー(`・ω・´)」
子猫「!?寝ちゃったの?食べていいの?罠なの!?でもご飯…(*゜∀゜*)」
そんな感じで誘惑に勝てなかった子猫、一度食べ始めたら無我夢中でがっついてた。
それをこっそり横目で見てる狼犬が「たんとお食べ(*´∀`*)」みたいな優しい顔してて、
物凄い勢いで和むと同時に何だか泣きそうになってしまった。
ふと気付いたら飼い主さんとおぼしき男の人までお家の中から窓越しに(*´∀`*)な顔で
二匹を見てたし。
子猫にも幸せフラグの予感と共にバスはようやく走り出しましたとさ。
たまには渋滞も悪くない。
9
児童文学の研究をしているため、よく図書館のキッズコーナーに出入りしていた。
図書館って案外知的障害の人が多くて、大半は全く無害なんだけど
時たまとても困った人もいて、怖い思いをしたこともある。
けれど、知的障害者には司書さんもなかなか注意できないらしくて、
大抵そういう困った人がいても野放し状態だった。
ある時、そういう困った知的障害者が、小さい女の子のあとをつけまわして、
服を引っ張ったり髪どめを取り上げたりして泣かしていた。
またどうせ野放しなら私が…、と思ったとき、若い司書さんがこっちに向かってきて
知的障害の人にもわかるような短文で注意をした。
少しもめてたけど障害者の人も最後は謝って、解決した。
思いきって声をかけたら、私より一つ年下の短大生で、図書館はアルバイトらしい。
彼女の、『障害者のハンディを健常者がカバーすべきなら、
間違ったことをしたときだってきちんとカバーしなくちゃならない。
注意すれば解るんだから“だめなこと”は解らせてあげなきゃ』
という言葉は、他の年配の司書さんにも聞かせたかった。
司書を目指して資格取得中らしいから、頑張っていい司書になってほしいと思う。
ちょっと、いい人・やさしい人とはずれたかもしれない。申し訳ない。
10
昨日犬の散歩をしていたら、比較的若い男(20代後半)が二人、作業着でマンホールを調べてた。
少し立ち止まってみていたら、前から泣きながら女子中学生が歩いてきた。
男二人がそれに気づいて、
男A「大丈夫?何かあったの?」
男B「ありゃ、泣いてる女の子か。苦手なパターンだ」
と声かけたんだけど、女の子は「なんでもないです。大丈夫です。」と首を振るだけ。
A「まぁ見知らぬ男に泣いてる理由聞かれても困るよね。」
B「俺らみたいなドカタじゃ尚更だろうな。でも知らんぷりも後味悪いしな。」
ナンパな気持ちじゃなく本当に心配してる様子。
女の子もそれが分かるのか「本当に大丈夫です。心配してくれてありがとう。」と中々礼儀正しい
B「んじゃ、せっかくだから良いもの見せてやるよ。A、携帯もってて」
と、Aに携帯を持たせて、女の子とAをマンホールから離れるように言うと、
ブッシャーー!!とマンホールから凄い勢いで水柱が上がった。
2mくらいの高さの水柱に女の子びっくり。俺と犬は興奮。
A「ほらほら虹だよ~綺麗だよ~」
見てみると見事な虹。水が出てたのは5秒くらいだったけど、女の子すっかり泣き止んでた。
A「泣き止んだぜ、俺ら大勝利w」
B「もうびっちょびちょ。これバレたら水泥棒になっちゃうから黙っててなw」
それ聞いて女の子が笑った。AとBも嬉しそうだった。
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