ほっこりする話『最高のおもてなし』など短編5話【3】 – 優しい話・体験談まとめ

ほっこりする話『最高のおもてなし』など短編5話【3】 - 優しい話・体験談まとめ ほっこりする話

 

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ほっこりする話 短編5話【3】

 

 

親父と手

昔、子供の頃
よく親父と手を繋いで歩いた・・・
親と手を繋いでみてください・・・
40年ぶりに親父と手をつないだ
なぜか・・・少しやさしい気持ちになれた
なぜか・・・少し心がゆたかになって
なぜか・・・少し感動した

ちょっと前
八歳になる息子と
イルミネーションを見に行った
イルミネーションのトンネルの下で
息子と手を繋いで歩きながら色々と考えた・・・
「今年もここに息子と来ることができてシアワセだな・・・」
「来年もこうしてここで手を繋いで歩けるかな・・・」
「来年はまだ三年だから手を繋いでくれるかな・・・
でも、
再来年は四年生になるからだめかな・・・」
「こいつが二十歳になったら一緒に酒呑みたいな・・・」
次の瞬間・・・気がついた・・・

「親父も俺が子供の頃同じように思ったんだ・・・」

考えてみると
まだ一度も二人で呑んだ事はない・・・

もちろん小学生の頃から手を繋いだ事もない・・・

48歳になる自分でも
80歳になる父とっては
永遠に子供・・・

きっかけを作り
「手を繋いでみよう・・・」と思った

親父の好きな八代亜紀を見に行き
その後居酒屋で呑んだ
酔った親父を介抱するふりをして
階段で手を繋いでみた・・・

40年ぶりの親父の手は
やわらかくて
小さくて
しわくちゃになっていた・・・

ふと子供の頃を思いだした・・・
その瞬間涙があふれてきた・・・
ぬぐっても・・・ぬぐっても・・・
自分でもわけがわからないくらい・・・

自分はあの日から
少しやさしい人間になれた気がする・・・

あと何回息子と手を繋げるだろう・・・

あと何回親父と手を繋げるだろう・・・

親と手を繋いでみてください。

 

最高のおもてなし

ある日、東京のリッツ・カールトンの予約センターに、一本の電話がかかってきた。
そのお客様は、故郷の年老いた母が上京するのでぜひ、リッツで泊まらせたいと。
「母は若い頃、東京の浜松町で仕事をしていました。最後の東京見物に、娘として、母の誕生日に東京での滞在をプレゼントしたい」
電話を受けた担当者は、さらに話を聞きました。

するとなぜ、そのお客様がリッツを望まれまのかがわかった。
ある雑誌に「東京タワーが見えるホテル」として紹介されていたのです。
リッツでは予約の電話を受けた際に15分~20分も時間をかけることがある。
その会話の中からホテルに対して、お客様が何を求めていらっしゃるかを可能な限り先読みするためです。
調べてみると、あいにくその日は「東京タワーの見える部屋」は満杯でした。
東京タワーの見える部屋と言って指定されたわけではありません。
でも予約係は、こう答えたそうです。

「申し訳ありません。
お客様にお薦めしたいお部屋は、あいにく全て埋まっております。
しかし芝公園にご希望にぴったりのホテルがあります。
そのホテルの担当に知り合いがいますので、そちらの方からお客様にご連絡させて頂いてもよろしいでしょうか。
お母様にお喜び頂けるお部屋をご用意して下さると思いますよ」

そして、そのお客様がお泊りになる当日、リッツ・カールトンのグッズと一緒に次のようなメッセージを届けます。
「このホテルのお部屋からは東京タワーだけでなくリッツ・カールトンも見えますので、手を振って下さいね」

元ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長の高野さんは言います。

「心からお客様に喜んでもらうとはどういうことか。
そのお客様にとって最高の時間を過ごしていただくために自分にできることは何か。
心の制約を外して考えれば、お客様の視点に立った提案ができます。
今回はリッツをご利用されないという結果になっても、お客様との間には見えない信頼が生まれます。
それを信じてお客様に尽くすという事。
一見遠回りのようですが、それがお客様との絆を築いていく近道でもあるのです。
意識するのはライバルではない」

 

 

猛暑の中での嬉しい出来事

所用があり、車で出掛けて帰宅する途中、
タイヤがバーストしてしまったんだが
1キロも走れば自宅に着くという変な安心感から、
無知な私はそのまま車をのろのろと
自宅に向かって走らせていた。
あまり人通りの多くない細い路地に入ったら、
白いシャツに紺のスラックスをはいた
営業マンっぽい30代後半くらいの男性が
私の車を見た途端、慌てた様子で「車を止めて!」
というジェスチャーをしたので、言われた通り停車した。

男性 「ちょっとあなた、タイヤがパンクしてるよ!」
私 「はい、判ってます。家がもう近くなので、
このまま帰っちゃおうかと思って…^^; 」
男性 「いやいや、このまま走ったらホイールまで
潰れてダメになっちゃうから、責めてスペアタイヤに替えないと危ないよ。」
私 「えっ、そうなんですか。でも、タイヤ交換の仕方知らないし、めんどくさいから
このまま走っちゃいます。」
男性 「だから、ダメだって。危ないって!じゃあ、おじさんがタイヤ替えてあげるから。」

その時は確か午後2時くらいで、
滅茶苦茶あっつい日だったのにも関わらず、
炎天下の中
何度も断った私に、遠慮しないでとその男性は
全身汗だくになりながらスペアタイヤに
交換してくれた。
終わった時には、もう本当に水をかぶったように
汗びっしょりになっていたので、
申し訳なくて申し訳なくて、何度もお礼を言った。
名前と連絡先を教えてくれと言っても
なかなか教えてくれなかったんだけど、
しぶとく粘ったらようやく名刺を渡してくれた。
後でお礼を…と言ったら、

「いや、いいんだ。僕もどこかで人の
お世話になることがあると思うから。
困った時はお互い様って言うでしょ?
あなたの今のその気持ちを、今度はいつか
どこかで困っている人に伝えて助けてあげて。
そういう連鎖っていいでしょ^^ 」

って、照れ臭そうに笑って去って行った。
その後、貰った名刺に書かれていた会社の
住所(本人宛)にビール券を送った。

見も知らない人に、こんなに親切にしてもらった
ことは初めてだったので、本当に嬉しかったな。

 

 

来月から無職

どうにもならない事情があって、会社に辞意を伝えた日。
これから帰るって妻にメールしたら、ちょうど近くまで車できてた妻が迎えにきてくれた。
妻が運転する車でしばらく走ってから
「きょう会社辞めてきた。来月から無職」って伝えた。
妻は「そっか」とだけ言った。

恐る恐る顔色を伺うも無表情。
伝わってないのかなと思い、今度は妻の横顔に向かってはっきりと、
「おれ会社辞めたよ」。
妻はもう一度、全く同じ口調で「そっか」。
あとは二人ともほとんど無言で、カーラジオの音だけが響いてて、おれは自分の胃がすごく冷たく感じたのを覚えてる。

家に入ると、いつものように出迎える猫。
妻は、猫を抱き上げて頬ずりし、心底嬉しそうな声で、「パパ、会社辞めたってー。嬉しいねー。やっと楽しいパパに戻るよー。」

家では会社内のゴタゴタとか一切話さないようにしてた。
ストレス溜まってても気づかれないように気をつけてたし、愚痴どころかため息すらつかないようにしてたから、辞めたことを伝えたら、驚くだろうし悲しむだろうし怒るだろうなと思ってた。
少なくとも喜ばれるとは全く思っていなかった。

隠しても隠せるもんじゃないんだな。
ちゃんとわかってたんだな。

タバコ買ってくるっつって外に出て、誰もいない駐輪場で一人で泣いた。
あのときは、こいつと結婚して本当によかったって思ったよ。

 

 

男女比率が9:1の工業高校

親友のS君が入学式当日に一ヶ月の停学をくらったんだ。
教室でHRの時間中に急に席を立ち、後ろにあった金魚の入った水槽をそのままとなりに座ってる人の頭にかけた。
クラスは静まりかえりそのままS君は職員室に連行された・・・
相手はそのクラスに一人しかいなかった女の子Mで、先生に理由は何も言わず蹴られようが殴られようが何も語らなかったんだ。
俺にも理由は聞かないでくれとだけしか言わなかった・・・・

<中略>
時は流れて3年後、卒業式の日にあの時起こしたSの停学の本当の理由が明らかになった。

Mは卒業の前にみんなに言いたい事があると話だした。
周りがみな男で、入学式の日にトイレに行きたかったのに、その一言が言えずに漏らしてしまった・・・
で、となりにいたSは異変にすぐ気付き、ここでみんなにばれたらイジメの標的になると思い、とっさに水槽の水をかけ、その子の耳元で何も言うなとささやいたんだって。

Sは現在団地住まいの2児のパパ 奥さんはそう・・・あの時のMなんだ
俺は今でも思い出せば感動するよ。

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