『血の繋がりはありません』など短編5話【71】 – 感動する話・泣ける話まとめ

『血の繋がりはありません』など短編5話【71】 - 感動する話・泣ける話まとめ 感動

 

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感動する話・泣ける話まとめ 短編5話【71】

 

 

普通の家

俺が小学生の頃親父が原付に乗っていて交通事故にあった
頭蓋骨骨折の重体だったけどなんとか一命はとりとめた
でも大好きだった原付にも車にも乗れなくなったみたいで大分ストレスが溜まってたみたい

それで子供達には優しいんだけど夫婦喧嘩は日常茶飯事
すぐに手が出る親父だったから堪えかねたお袋が一人で実家に帰っちゃった
その時何も知らされてなくて「母ちゃん遅いね」なんて兄弟3人で暢気に話してた気がする
で、何だかんだあって離婚してお袋は子供3人連れて引っ越ししたんだ

時は経って俺はちゃんと高校まで通わせて貰った
当時は兄が俺の一つ上で大学生、妹が俺の二つ下で高校生という状況
俺は家の経済状況が母子家庭で収入もないって事は薄々承知してたから高校出た後は迷う事なく就職の道を選んだ
ちなみに引っ越した当初は家具は一切なく布団だけ、荷物を詰めた段ボールを裏返してテーブルにするというなかなかの極貧生活を送ってた

で、俺が18だったか20だったかの時にお袋から「重要な話がある」と言われた
それは親権関係の書類で保護者の欄?はお袋の名前にするか親父の名前にするかというものだった
お袋が言うには親父に書類を書いてもらうとすると、どこにいるのかも生きてるのかも分からない親父に直接書いて貰わなければいけないらしい

それは面倒だと俺はお袋に書類を書いて貰う事にした
その時神妙な面持ちで正座していたお袋がポロリと「ごめんね」と呟いた
俺は馬鹿で想像力もないから「何が?」と返したんだ
そしたらお袋が「あんたは普通の家の子みたいに育てられなかったから」と言ってボロボロ泣き始めた
どれだけ親父に暴力を振るわれようとも子供の前では泣かなかったお袋が泣いた

違うよ確かに俺の家は母子家庭だった
だけど自分の家が他と違うとは全然思わなかったんだ

俺が遠足行く時に風邪引いてたのに大好きな唐揚げをいっぱい入れてくれた事
俺がプレステが欲しいと言ったら中学の卒業祝いに買ってくれた事
俺が自分の実力以上の高校を受けた時には心配してくれた事
高校の合格発表の日に仕事の合間を縫って俺に電話してくれた事
俺の合格を聞いた日の夜に祝いのケーキを買ってみんなで一緒に食べた事
就職祝いにネクタイとスーツを買ってくれた事

どれも他の家でもやってるよ
普通の家じゃないか
そんな事一気に思い出して言葉に出来ずに俺も号泣してしまった

来週お袋の誕生日がある
あの時の味には絶対に敵わないけど今度は俺が唐揚げ作るよ
上手く作れるように頑張るから待っててな
お袋ありがとう
これからいっぱい親孝行するよ

 

 

オヤジなりの供養

ウチのオヤジも猫嫌いだったなー。
近くへ寄って来るとしかめ面で追っ払ってた。
オヤジは晩酌が日課だったんだが家族が食事が終わってもいつも一人で台所のテーブルで飲んで居た。

ところがいつの間にか飼ってた猫がオヤジの足元でツマミの刺身を貰うようになっていた。
猫が無言で足元に座るとオヤジもナイターを見ながら足元に刺身をちぎって落としてやる。
猫もさも当たり前のようにむしゃむしゃと食ってた。
食い終わってから猫はいつも一声泣いてからその場を去るようになった。

しばらくして猫は病気で死んだ。
猫がお骨になって帰って来た日も仕事から帰ったオヤジはいつもと変わらず晩酌を始た。
お袋がいつものように刺身をツマミにオヤジに出した。
オヤジが意外な事を言った。
「オイ、多いぞ。食い切れん。猫に供えてやれ」と。

それから一週間オヤジは同じことをお袋に言った。
いつも一人酒に付き合ってくれた仲間へのオヤジなりの供養だったらしい。

もうオヤジも鬼籍に入って久しいがオレのオヤジの思い出の一端。

 

安物だけどゴメンね

最近こんなことで泣いたw

俺には結婚して6年経つ妻がいるのよ。
子供も5歳の双子が居る。
子供産まれてからは2人で話す事も少なくなったし、とりあえず俺は仕事で精一杯で構ってる余裕無かったんだ。
で、平日で偶然仕事休みで家に居たのよ。
子供は保育園でいないし2人きり。

最近めっきり話す事無くなったし俺は話しかけずらくてずっと沈黙の空間だったんだ。
そしたら妻の方から(仕事忙しい?)って聞いてきたんだ
いきなり何だ?と思いながらも(まぁ今不景気だし大変だよ)と答えた。
そしたら妻の方が何かの箱を渡してきた。俺は渡された箱を開けた。
その中身は俺がずっと欲しかった腕時計だ
「あなたこの前誕生日なんて忘れてたでしょ?いつ渡そうかと思ったけど仕事忙しそうだったから言い出せなくて・・・」
「腕時計欲しいって言ってたよね?安物だけどゴメンね」

俺は嬉しくて涙が溢れたww
その日は家でゴロゴロしてようと思ったが2人で久しぶりにデートしたw
まぁ保育園にお迎えに行かなきゃいけないから時間は少なかったけどなw
これからも守っていきたいと思った。

出来すぎな話だし俺しか泣けない話かなw

 

 

仏壇の前で号泣

姉ちゃんの結婚が決まった夜
おふくろが死んでも涙こぼさなかった親父が
仏壇の前で号泣してたんだぜ?

弁護士になるのが夢で、猛勉強して進学校に入ったのに
卒業して就職しちまったよな
俺と弟達の学費出してくれていたんだろ?
いつもとぼけるけどさー
美人なのに彼氏も作らず、お洒落もせず
足の不自由な親父と俺達弟3人の面倒見てくれたよな
いつも、どんな時も笑顔で、おふくろの代わりを真剣にしてくれていたよな
俺が司法試験に受かった時
大泣きして顔くしゃくしゃにして喜んでくれたよな
あんなに泣いた姉ちゃんを見たの俺、初めてだったよ

これから親父と弟達の事は俺にまかせてくれ
姉ちゃんの代わりは出来ねーけどさ
姉ちゃん、絶対に絶対に幸せになれよ
今まで本当にありがとうございました

 

 

血の繋がりはありません

今日は息子の二十歳の誕生日でした。
息子と私たち夫婦に血の繋がりはありません。
生まれてすぐ施設に預けられた息子を私たちで引き取り育てました。
しかし、そのことを言うことができずにに今日まで過ごしてきました。
私たちが産みの親ではないと知った時、息子はどんな思いをするだろうか。
どんな目で私たちを見るようになるだろうか。
それが怖くて今日まで言うことができませんでした。
散々話し合った末、今日この日に全てを伝えようと二人で決めました。

夕方、仕事から帰ってきた息子に二人して全てを話しました。
息子は話を聞き終えるとゆっくり顔を上げ、こんなことを言いました。

「離婚の話じゃないの?」
予想外の質問にあっけに取られながらも、離婚話じゃないと言うと笑いながら
「よかった~w。ここ何ヶ月か二人とも暗い顔してたし、今朝なんか二人して真剣な顔で
今日は早く帰れなんて言うからてっきり離婚するのかと思って心配で一日仕事にならなかったよw」

まじめに話を聞くように言うと息子は、
「俺は父さんと母さんの子供で本当によかったと思ってる。今日まで立派に育ててくれてありがとう」

そう言うとニッコリ笑いながら缶ビールを開け、こちらに傾けました。
初めて息子と飲んだ塩気がきいていて
でもとても美味いこの酒に
私はこの先、出会うことはもう無さそうです。

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