『古い手紙の束』など短編5話【92】 – 感動する話・泣ける話まとめ

『古い手紙の束』など短編5話【92】 - 感動する話・泣ける話まとめ 感動

 

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感動する話・泣ける話まとめ 短編5話【92】

 

 

古い手紙の束

俺の母方のばあちゃんは、いつもニコニコしていて、かわいかった。
生んだ子供は四姉妹。
娘が全員嫁いだ後、長いことじいちゃんと二人暮らしだった。
そして、じいちゃんは20年前に亡くなり、そこから17年ほど一人暮らしだった。

ばあちゃんは3年前に亡くなった。
92歳だった。
長い間、一人で寂しかったと思う。
でも、いつもニコニコしていて、弱音は聞いたことがなかった。

火葬が終わり、親戚一同で遺品の整理をしている時に、古い手紙の束が見つかった。
母たちは宛名を見て、「戦時中の父さん(俺のじいちゃん)への手紙だ」と騒いでいた。
親戚一同で、じいちゃんへのラブレターみたいなものだと思い、やいのやいのと冷やかした。
俺の母がそのうちの一通を音読し始めた。

『○○(じいちゃんの名前)さんへ。
今日、△△(俺のおばちゃん・母の姉の名前)が風邪をひきました。
豪雪で腰まで雪が積もり、電車も動かないので隣町(余裕で10キロ以上ある)まで背負って行きましたが、お医者様はお休みでした。
大事な娘を診てもらう事すら出来ないのでしょうか。
このような戦争は早く終わって欲しいです』

母さん、最後の方、声が掠れて読めなかった。
親戚みんなも泣いてた。俺も泣いていた。
そして他の手紙も、全部、全部、娘たちの事ばかりだった。

ばあちゃんが考えていたのは、ずっと自分の子供たち(母達)の事だった。
俺は誓う。
もし俺の子供が風邪をひいたら、豪雪の中だろうと何十キロでも歩くと。
年を取ったらばあちゃんみたいな人間になると。

 

 

小包

生まれて初めて「母さんありがとう」って誰もいないところで口に出したかもしれない

 

たいしたこと書いてない手紙

このところ断捨離していて、読み込んでボロボロになった文庫本(背表紙の文字も読めない)を、まとめて捨ててる日々。

夜の丁稚奉公が終わって天下一品のラーメンキメて帰宅したら、マンションのエントランスにホームレスのおじさんがずっとこっち見て立ってた。
ちょっと怖いなーと思いながら近づくと、「すいません・・・・もんちゃん、ですよね?」と声を掛けられた。
私は高校背の頃、モンチッチそっくりなベリーショートだったので、もんちゃんって呼ばれてた。
なんでその頃のあだ名知ってんの?同級生?!と思って変な声ではいって返事したら、
「もんちゃん、いつも明け方に本を捨ててるだろう?それ、読ませてもらってる。こないだの本の中から、この手紙出てきたんだ。大したことなんか書いてねえだろと思って読んだんだけど、ほんとにたいしたことなくて、でもなんか、だからほんとに大事なんじゃないかと思って、渡したくて待ち伏せしてた」
と話してくれた。

ほんとにたいしたこと書いてない手紙で、だけどあの頃の教室の匂いで胸がいっぱいになって、おじさんに御礼を言ったら、
「もんちゃんの捨てた本読んでたら、本が好きな気持ち思い出したんだ。来年からビックイシュー売って、自立して、本屋で本を買える人間になるんだ」
と話してくれた。
頑張ってくださいね。見つけたらおじさんからビックイシュー買うからと言いながら右手を出したら、
「こんな汚い俺と握手してくれんのか?」
と、おじさんが泣き出した。
正直なとこ、ハグはできないし、部屋に入ったらすぐ手を洗うけど、それでも私はいま握手したいですって言ったら、おじさんは汚れた手を汚れたコートにゴシゴシした。
「あんまり変わらないか」
っておじさんが笑った。
私も笑った。
両手で握手して別れた。

部屋について手を洗ったあと、手紙を読んだ。
28年前の手紙。
ほんとにたいしたことなんて書いてなくて声出して笑った。
こんな手紙書いてないで、ちゃんと授業聴けよって笑った。

でも、そのあとちょっと泣いた。
おじさん、捨てないでくれてありがと。

 

 

一通の手紙

母がメルカリでモバイルバッテリー頼んで今日届いたのですが
箱がやけに重くて中を見たところ。。

バッテリーの他に
ポケットティッシュ2、
ウェットティッシュ5、
缶詰2、
スティックコーヒー。

そして一通の手紙が。
自分宛ではないものの手紙を読んで涙が出て来きました。。
送り主様まで届くといいな。

 

 

展示場内を案内してくれる彼の横顔

私はその日両親、妹と住宅展示場に来ていました
家を新築する予定となり、両親はここのところ住宅展示場巡りをしていました
私はいろいろ予定があり住宅展示場に来るのはこの日が初めてでした
家が新しくなることに家族全員がわくわくしていました

住宅展示場の家はどれも平均よりも高級で夢のような気分でした
両親もあくまでも参考にする程度で知識としていろいろと見ていたのだと思います

そんな時に突然、背後から名前を呼ばれました
私が振り向くとそこには私と同じ年齢くらいの男性が立っていました
「久しぶりだな~元気だった?」
私は男性の顔を見てもすぐには誰なのか分かりませんでした
男性のスーツの胸元の名札を見てはっとしました
彼は小学校時代の同級生でした

私は展示場内を案内してくれる彼の横顔を見ながら、小学校の頃を思い出していました
小学生の私は彼に淡い恋に近いような好意を持っていたのです
展示場で再会した彼は背が高く、とても感じが良く思えました
すっかりカッコよくなっていた彼の笑顔だけはあの頃のままでした

その日、私は久しぶりに小学校の卒業アルバムを開いてみました
昔の彼の写真を見て、展示場での彼を思い出していました
あの頃と同じ笑顔の彼に再会して一瞬で好きになっていたんだと思います

きっとあの展示場に行けば彼にまた会えるだろう
でも自分から会いに行くことも出来ずに数か月が経ちました
ある日1人で街中を歩いていると向こうから彼に似た人が歩いてきました

距離が近づくにつれて、お互いに気づきました
彼も1人でした

その日2人でカフェに入り連絡先を交換しました
それからメールでお互いにたわいもない話をするようになりました

展示場で再会してから約半年経った頃に初めて食事に行きました
その帰り道の彼の言葉に私は泣いてしまいました
「初恋の相手だったんだ、良かったら付き合ってください」

こんな再会があるなんて思いもしませんでした
私は彼に再会出来て本当に幸せです

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