『怖がる弟』|洒落怖名作まとめ【長編】

『怖がる弟』|洒落怖名作まとめ【長編】 長編
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怖がる弟

 

一部脚色はあるが、ほぼ実話。
俺には弟が2人いる。
んで1番目の弟が体験した本当に笑えない話。
仮に1番目の弟をA、2番目の弟をBとする。

Aは高2で、俺に似ずに結構カッコイイ。それで女子にもチヤホヤされているらしい。
Bも中3で、俺から見ればAには劣るが、そこそこである。
つまり俺は自分よりカッコイイ弟を2人持つ微妙な立場の兄なのだ。
それはおいとく。
2週間くらい前、Aは深夜PC前でスコスコやっていた。
まぁ年頃のガキだから当然の行為だ。
いつものサイト(俺のお気に入りw)で楽しんでいて、いつもの通り出し終えてふと時計を見てみると1時。
明日も学校だからもう寝るか、とPCの電源をオフしようとした時、後ろから視線を感じたらしい。
兄貴(俺)かBかな?なんて思い何気なく振り向くと誰もいない。
気のせいだと思い、改めて電源をオフした。
そして使い終わったティッシュを処理しようと、トイレに向かう途中で、今度は忍び笑いが聞こえたらしい。
振り向くと、やはりそこには誰もいない。
霊類を信じないAだったが、妙に寒気がしたらしく、ティッシュを手早く処理して早足で自分の部屋に戻った。
もう早く寝よう、そう思い即行で電気を消して布団にもぐった。
しかしAを眠らせてはくれなかった。
布団に横になって5分くらい経ったくらいか、コンコンとノックの音がしたのだ。

先ほどのこともあって、少しビビッていたAは扉の向こうを確認しなかった。
しかしノックは鳴り止まない。
30秒くらい鳴り続けていたが、急にピタっとノックが鳴り止んだ。
そのことに安心したAは再び眼を閉じて寝ようとした。
だが、そこでAは思った。
もしかしたらBか兄貴だったのかも?というかそれしかないだろ。
違う、と内心思いつつも確認してみようと布団から起き上がった。
そうすると、またノック音が聞こえたらしい。
「兄貴か?」
音の発生源にAは尋ねた。
するとノックがみるみる激しくなっていく。
ドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!・・・
恐怖を感じたAは頭から布団ををかぶって震えた。
しかし音は鳴り止まなかった。
ドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!・・・
だんだん恐怖で頭がおかしくなりそうだったらしい。
恐怖の極地に達したAはついに叫んだ。
「おい!誰だよ!ふざけんな!」
するとドアの向こうからも叫び声がした。
「兄ちゃん開けて!ホント。マジ無理!頼むからホント!」
それはBの声だった。
Bと知ったとたん、Aは怒りがこみ上げてきた。
ぜってー殺す。
Aは心底そう思ったらしい。
どうしてくれようかと、電気をつけて、ドアのノブを握った。
「おいふざけんじゃねぇ・・・」
「早くして!お願いだから!」
Bは何かに怯えた様子だったが、Aはその時頭に血が上っていて全く気づいていない状態だったらしい。
ドアを開けるとそこには・・・

そこには・・・当然Bがいたわけだ。
「なんだよ!?うるせぇな!」
「いいから部屋いれて!絶対鍵閉めて!」
非常に激怒していたAもBの様子を見て頭が冷えた。
AはBを部屋に入れて、言われたとおり鍵を閉めた。
「・・・で、なに?俺もう寝ようとしてたんだぞ?しかもあんなうるさくしやがって。」
「兄ちゃんさ、1つ聞くけど、リビングでなんかなかった?」
Aには思い当たるフシがあった。
しかし、気のせいだと思いたかったのであえてそのことは話さなかったらしい。
「なんかさ、喉渇いたから麦茶飲もうとして台所行こうとしたら、声聞こえたんだよね。で、怖くなったからやめて
部屋戻ろうとしたら視線感じんの。振り向いたらなんか赤く光ってて。それがだんだん近づいてきたから、逃げてきた。」
Aはそれを聞いてさっきのことを思い出した。
みるみる恐怖がこみ上げてくる。
Bの話を聞いてさっきの出来事が気のせいではないと実感してしまった。
「でさ、部屋出るの怖いから今日この部屋で寝ていい?」
まぁBはかなりチキンだから、知っていたAもそれを聞いて同意した。
1人で怖い目に遭うよりは2人でいたほうがいいと考えたらしい。
布団は1つしかなかったが、そんなことは仕方がない。
AとBは寝ないようがんばっていたが、その後たいしたことは起きず、Aは先に寝てしまった。
しかし、Aは寝る直前、不自然なことに気づいた。
それはまた後でのお話

そういえばBなんで俺の部屋にきたんだ?Aの部屋のほうがリビングに近いのに・・・
そう思いながらも、Aは眠りへと向かった。

朝起きると、そこにBの姿はなかった。
部屋に戻ったのか、と思いAも着替えて朝食を食べにリビングにいこうとドアノブを捻った。
ふと気がついた。
「鍵しまってるじゃん」
声に出して言ったそうだ。
ならどうやってBは部屋から出たんだ?
急にいやな感覚に襲われたAは慌ててBの部屋に向かった。
ドンドン!!
あの時Aはどうしたのかと思ったよ。
Bの名前部屋の前で叫んでノックしてんだもん。
「何?兄ちゃん?おはよう」
眠そうにBが部屋から出てくる。
「お前昨日1時くらいに、俺の部屋来たよな?」
「行くわけないじゃん。なんで?」
「なんか変なの見たとかいってただろ?」
「てかその時間は俺もう寝てるよ。」
ではあの時Aが部屋に入れたのは誰だったのか・・・?

こっからは俺の主観で。

あの件いらいAは夜までPCやることがなくなった。
霊類信じないとか言ってたのにもかかわらず、もうしっかりビビリモードだ。
PCはリビングにあるのだが、1人では絶対にリビングにいられないとか言ってた。
だから当然部屋に戻るのも早くて、リビング最後に出て戸締りとかするのは俺の当番になっていたわけだ。
(親は寝室に戻るのが非常に早いため)
しかしあれから少し変わったことがある。
幽霊とかそんなんじゃないけど、Bが・・・なんというか様子がおかしいのだ。
以前はAと俺と一緒に遅くまでTV観てたんだが、Aが部屋に戻るのが早くなってからBも部屋に戻るのが早くなった。
またなぜかよくトイレにも行くようになった。
風呂場にもよく行ってたっけ。
そして一番おかしいのは・・・なぜかすごく活き活きしていることだ。
お前らの期待外れで悪いが、やつれてきたとか顔色が悪くなったとか、目付きがおかしいとかそんなのではない。
とにかく前にもましてかなり活き活きしているのだ。
俺「なんかいいことあったか?彼女できたとか?w」
と聞くと、
B「まぁ・・・ないことはないって感じかな」
このときBはなぜかどもってたけど、そん時は「そうか~」とか他愛もない話で終わってしまった。

んで思ったことなんだけど、俺はリビングに1番最後までいるが1度も現象に遭ったことはなかった。
けどまぁ俺には霊感は全くないから当然かな、とも思った。
第一信じてもいないし。
あと、あれ以来、Bは1人で寝るのを怖がっていた。
まぁAのほうも俺に「一緒に寝ない?」とか言ってきたり・・・
ようは、まだ弟達はまだガキだということだ。
てかAは高2なのにそれはないだろうwって感じだ。
それは置いといて。
つまりAとBは一緒に寝ているらしかった。

そして4日前の夜中
俺がこの先一生忘れることができない思いをした日だった。

あの日俺が深夜までPCをやっていると、Aの部屋から叫び声が聞こえた。
「うわぁぁぁぁ!!!!!!なんなんだよぉ!!!!!」
叫び声の主はAらしかった。
親も起きだして、俺と親はAの部屋の前まで来る。
「どうした!?どうしたんだ!?」
父親がAの部屋をノックしながら呼んだ。
「Bが・・・Bがぁ!!!!」
「Bがどうしたんだ!?開けろA!!」
しかし鍵は開かない。
しょうがないから蹴破ろうかと父親と話してるとき、ようやく母親が部屋キーを持ってきた。
「おせぇよ母さん!鍵パス!」
「いつもの引き出しになかったから手間取っちゃったのよ・・・」
そんな言葉も気にもとめず俺はマッハでAの部屋の鍵を開けた。
急いでドアを開けるとそこで俺達が見たものは・・・

なんと下半身裸状態のAと、対して壁に崩れ落ちているBだった。
父「どうしたんだ!?」
A「Bが・・・なんか俺の○○○を握っててて・・・それでなんかズボンが・・・」

レイプされた女ってこんな状態なんだろうか。
冷静な今ならそう思える。
今、Aに殴られた。
話戻す。

Bはなんかこの世の終わりみたいな 顔して、
「あ~・・・ダメだ。もうだめだ・・・」
とかずっと呟いてて。
母親はなんか納得した様子で頷いてるし。
父親と俺は何が起こったか全くわからない状態。
Aに至っては完全に錯乱状態。
なんていうか・・・別の世界にいるような感覚だった。

その日の朝、家族会議が行われた。
Aは相変わらず怯えたまま。
対するBもいまだ上の空の状態。
父は母親に何かを聞いたらしく落ち着いていた。
でも・・・空気が重かった。というか俺はあの場にいたくなかったなぁ。
10分くらい沈黙が続いたのかな?母がようやく口を開いた。
「B・・・そろそろ話したら?どっちみちこうなっちゃったんだし。」
その言葉にBが反応した。
BはAや俺を見て、はぁ、とため息をついてから重い口を開いた・・・

「俺さ・・・兄貴達には内緒にしてたんだけどさ、あれなんだよ・・・えっと、あれ実は女に興味が持てない性格なんだ」
要するに・・・
「ゲイってことか?」
ゆっくり泣きながらBは頷いた。

「私には相談してきたんだよ。けど・・・まさかBがAとはねぇ」
母が困った顔で呟いた。
「ゲイは否定はしないが・・・兄弟はどうかという話だよ」
父親もやはり困った顔をしていた。
Aはやはり黙ったままだった。
ふと時計を見た。たしか7時50分。
「とりあえずさ、帰ったらまた話そう。俺とAもうすぐ学校行かなきゃ。いけるかA?」
Aは反応を示さなかった。
余談だけど、Aと俺は同じ学校だったから行く時は兄弟揃って登校してたわけね。
「とりあえず・・・Aは学校休みなさい。Bも無理でしょ?」
母親のナイスフォロー。
父親も、「今日は俺も早く帰るから・・・」
と言っていた。
できればこの空間に帰ってきたくなかったんだよなぁ、あの時・・・
1日が妙に早く感じられたし。

で、その日の夜。
すごく会話が飛び交ったので詳しくは省略で。
というか覚えきれてない。
とりあえずまとめで。

まず、Bはゲイだったこと。
そして毎晩Aの部屋に行き、一緒に寝て、寝ているAの身体を堪能していたこと。
母親はBが中1の頃にその話を聞かされたこと。
ここ最近になって、誤ってAに感情を持ってしまったこと。
顔が微妙にいまいちな俺には感情が沸かなかったこと・・・w
幽霊騒ぎはBのでっちあげだったということ。
視線や笑い声はBがAに対してだけやっていたこと
など、さまざま聞かされた。
そのことに対してAは大変憤慨して、止めるのが大変だった。
「俺はお前なんかぜってー無理だかんな!」
とか
「このホモ野郎!次手ぇ出したらぶっ殺すかんな!」
だとか言ってて今にも殴りかかりそうな勢いだった。
横で、そうだったか?と、Aは言っているが俺から見ればそんなとこだった。

なお、母親はいつかは俺達に話そうとしてたらしい。
でもBのことが心配でなかなか話せなかったらしい。
まぁそりゃそうだ。

以上が俺の体験したホント洒落にならない話。
お前らには期待外れでホントすまん。
考えてみてくれ、家族にゲイがいてそれでしかも兄弟に気があるなんて。
そんな状況、普通おかれないだろ?
でも俺は愛の形はいろいろあるからとも思うので、否定はしない。
俺が被害に遭うのはごめんだけどw
だからBとはこれからも変わらず接していくつもりだ。
Aも昨日Bと話して和解。
「頼むから他の男にしろよw」
と苦笑して言ってた。
あんなことあってもBを許せるAはすごいと思う。
まだ少し溝はあるかもしれないけど、きっとそのうち慣れるだろう。
どうでもいいけどうちの家族って心広いなって思った一件だった。

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