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【山にまつわる怖い話】『崖の声』『奇妙な杉』など 全5話|洒落怖名作 短編まとめ – 山編【18】

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【山にまつわる怖い話】『崖の声』『奇妙な杉』など 全5話|洒落怖名作 短編まとめ - 山編【18】 山系
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山にまつわる怖い話【18】全5話

 

後部座席の声

恐怖というほど怖くなかった体験談をひとつ。

6年ほど前知り合いから走り屋使用の中古車を譲ってもらい
楽しそうだから峠へ行ってみた。
下手なので誰も来ないような山(色々といわくのある)へ行き、
ドライブを楽しんでいた。
2往復してきて、帰ろうかと思ったら、運転席の後ろで、
「この子 にぶい。」
とはっきり声がした。女の声で・・・
勿論、音楽やラジオなんかかけていないし、そもそもスピーカーは
前にしかない。

もしかして、途中から後部座席に乗ってたのか?
俺がいつまでたっても気づかないから、にぶいとかいったのか?

今となっては、気づいて驚いてやればよかったなと思っている。

 

崖の声

私が知ってる山のお話をします。

私の高校の知り合いの話。
彼は一人で山に登るのを趣味としていました。
ある日、いつものように土日を使って山登りをしていた時のこと。
その日は天気も良くて、彼は昼の休憩の時に飲んだビールの酔いもまわったせいか
かなりご機嫌で山道を歩いていたそうです。

そのうち山道が少し狭くなって片側が急な崖になって突き出している所にさしかかりました。
下の方には大きな岩盤があって、
知り合いは酔っ払い特有の好奇心で何となしに崖から身を乗り出して見たそうです。
で、結果彼は足を滑らせて下に落ちました。

右足と胸のあたりからものすごい激痛が走って体がしびれた様になって動けず、
声もろくに出せない状態でしばらく岩盤に横たわっていたそうです。
そのまま時間は過ぎて日はどんどん傾いていきます。
上の方で登山者も何人か通っているはずなんですが、気配も感じられず
どうやら彼がいる場所が見えにくいらしく誰も覗き込んできたりしてくれないままです。

するとどこからか複数の人の話し声が聞こえてきたそうです。
「これが最後のチャンスだ」、そう思った彼は必死にかすれ声で助けを呼ぼうとしました。
しかし奇妙な事に気がつきました。
話し声が聞こえてくる方向が明らかにおかしいのです。

本来なら彼のいる岩盤の遥か上の崖の上から聞こえてくるはずの話し声、
それが岩盤の下の方から聞こえてきたのだそうです。
岩盤の下はまた急な崖になっていて細い川が流れているので
人が通れない場所のはずです。
段々話し声が近くなってきたことに恐怖感を感じた知り合いは
怪我をしてない右手を動かして、リュックの脇に付けてあったお守りをぎゅーっと握り締めて
「こっちに来ないでくださいこっちに来ないでください」と心の中でひたすら呟き続けたそうです。
しかもそのまま気を失ってしまったそうです。

気がついた時彼は病院のベッドにおり、
崖の上から写真をとろうとした人に助けられた事がわかったそうです。
あんなに握り締めていたお守りは、手の平に爪が食い込んで傷になっていたくらいだったのに
どこかにいってしまっており、病院の人に聞いてもそんな物持っていなかったと言われたそうです。

この話を病室で聞いたとき、私は思わず
「それってその人達の声だったんじゃん?」と突っ込みました。
すると、彼は「発見してくれた人は一人だった」と言った後に
少し黙り込んでからこうつぶやいたのをよく覚えています。
「すっごい怖かったのが、その話してる人達の声ははっきり聞こえるのに
何を言ってるのか全然わからなかったんだよ」
日本語なのはわかるのに意味がわからず
方言みたいな、頭に響いてくる言語ですごく気持ちが悪かったと言っていました。

奇妙な杉

五、六年前くらいのことだろうか。
その日も俺は、いつもよくいく近場の山へ登りに行った。
ふと、今日は違うルートで遊びたいなと思い、道もついてない雑木林へと足を踏み入れた。
ところが杉林が延々と続くだけで、一向に眺望は開けてこないし、歩きは辛いし、正直、馬鹿なことを考えたものだと後悔して、もうやめようと思った。

しかし道を引き返すのも面倒で、川に沿って下れば適当な場所に降りられるだろうと、たかを括って降り始めたのだが、笹の藪につきあたり道のりは険しさを増すばかりだった。それでもかなりの距離を歩いていたので、ほどなく里に行き当たる筈だと、強引に進み続けた。

そうしてしばらく歩きつづけると、笹も杉林もまばらな少し開けた場所に出た。
そしてその少し開けた場所の中央に奇妙な杉が生えているのを発見した。

十本ばかりの杉が円筒状に生えていて、その杉どうしの隙間が20センチくらいしか離れていず、隣合った枝どうしが癒着しているものを想像してほしい。
俺が見つけた奇妙な杉というのが、そんな姿だった。

下生えの枝は、癒着したもの以外は、ちゃんと刈り込まれていて、あきらかに人偽的なものと見て取れた。
そういえば、前にテレビでこんな風に木を曲げたり枝を癒着させたりしている、外国の園芸家だかアーティストがいたのを思いだし、多分これも、それに類したものだろうと思った。
「カメラを持ってくれば良かった」と思ったが生憎、その日に限って持って来なかったことが今でも悔やまれる。

円筒形の内側を覗いて見ようと思い、枝の隙間から覗いて見たが、なにぶん暗い森林の中、午後も暮れかけようという時間なので暗くて闇を覗きこんだだけだった。

枝の密集を足がかりに5メートルくらい登ってもみたのだが埒が開きそうもない。
もっと詳しく観察したかったのだが、日も暮れる時間も間近ということで観察もそこそこに山を降りた。

結局、断崖につきあたり、来た道を引き返し本来の登山道に戻る頃には陽も暮れて、闇の中、懐中電灯の明かりだけを頼りに山道を降りることになった。

もういちど、あの場所に行きたいと思っているのだが、なにぶん険しい道のりなので、未だに見にいってない。

 

夜中のバス停

直接山ではないのですが、峠道ってことで…

今から15年くらい前の若い頃、オートバイで北海道ツーリングをした。
網走の隣にある東藻琴村に住む友人を訪ねたのだが、予定時間を大幅に
過ぎ、彼の家に着くのは夜中になってしまった。

途中途中で(携帯なんて持ってない頃だし)公衆電話から連絡を入れていた
ので、気のいい友人は起きて待っていてくれた。
東藻琴村への山道は、バスも通っているらしく、田舎独特の小屋掛けされた
バス停がある。
その一つを通過した時、沢山の人がバス待ちをしている気配がした。
小屋の中は薄明るく、初老の農夫や女子学生らしい姿の数人が
何かはなしている様子だった。
もちろん瞬時に通り過ぎたので詳しくは見えなかった。
その時感じたのは「田舎なのにこんな遅くにバスが走るんだな…」
ということくらい。

友人の家に着き、久しぶりの再会を懐かしみながら酒を飲んで、眠った。

翌日、網走に出るために北道を再び通った時、何か気になって昨夜の
バス停をのぞいてみた。

時刻表を見ると、夜9時以降の記載はない。
小屋の中には照明などもちろんなく、夜中に中が薄明るく見えることなど
あり得ないのに気付いた。

あの時見たバス待ち風の群衆は、なんだったのだろう…。

 

水の中の光

ある時期、毎月登っていた山には、湧き水があった。
水道からポリタンクに注いだ水を持ってそこまで行き、そこで水を捨て、
湧き水に入れ替えるのが習慣だった。
ポリタンクは直方体に丸い口がついている形で、容量は1リットルから
2リットル程度。
必ず、どんな時でもそこでは小休止を取った。

週休二日など夢物語だった頃、仕事を片付け、一人で夜の山道を歩いていた。
翌朝の出発地まで、できるだけ早く着いて、眠りたかった。

休憩したのは、そこがいつもの場所だから、大変うまい水が
湧いている場所だからに過ぎない。
とはいえ、ぽつんと一人。
さっさと水を入れ替えてしまおうと、ポリタンクから水を捨てて
藪を掻き分け、湧き水の流れにポリタンクを沈めた。

ふと気付いた。
手元が明るい。
見回すと、漆黒といって良い闇。
手元に目を落とすと、やはり明るい。

ポリタンクが、というよりポリタンクの中で水が光っているのだ。
ゆらゆらと揺れる水に合わせるように光が揺れている。
小さな流れからポリタンクの口に触れ、流れ込んだ水が
光を発している。

不思議な思いで水を眺め、ポリタンクを目の高さに掲げた。
半透明のポリタンク越しに光る水の水面上、何かが光を
はね返してきらめいている。

虫だろうか。
光はともかく、虫や木の葉が入り込むのは、それほど珍しい事ではない。
ポリタンクの口から中を覗いた。

合戦中だった。
小さな小さな船にのぼりを立て、もっと小さな人間同士が刀と槍で戦っている。
声は聞こえず、赤と黄色の二手に分かれた小船の集団同士が船を寄せ合い、
小さな人々が船から船へと跳び渡り、突き合い、斬り合っている。
服装は色鮮やかだが、それ以上はよく分からないほど人々は小さい。
もっとよく見ようとポリタンクを傾けると、船が湧くように現れる。
水面が揺れると、その小さな突起が形をなし、小船が現れるといった按配だ。
斬り合いに負け、船から転げ落ちた小人は、しぶきも上げず、そのまま
水に溶けてゆく。

何かを積み上げ、それに火を放って火の玉のようになった小船が水面を走り、
それに体当たりされた小船は、ひとたまりもなく砕け、沈んでしまう。
ポリタンクを揺らし、水面が揺らめくと、沈んだよりも多いかと
思えるほどに、小船が湧き上がる。
際限のない殺し合いを目の前で見ているにも関わらず、美しかった。
間違いなく、美しかった。

ぴちっと水がはね、俺の目に当たった。
目をつぶり、目を開き、まばたきをした。
闇だった。
水の流れる小さな音が聞こえた。
ポリタンクに口をつけ、水を飲んだ。
うまかった。

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