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【山にまつわる怖い話】『廃道』『はやく来いぃ』など 全5話|洒落怖名作まとめ – 山編【26】

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【山にまつわる怖い話】『廃道』『はやく来いぃ』など 全5話|【26】洒落怖名作 - 短編まとめ 山系
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山にまつわる怖い話【26】全5話

 

 

廃道

4年前、友人と、神奈川県にあるとある山に登りに行ったことがあった。
もちろん心霊目的である。自分を含めて3人、男ばかりで山に登った。

友人を、仮に鈴木と佐藤としておこう。鈴木はチャックのYシャツ姿でリュックを背負い、首から一眼レフのカメラをかけた、真面目系の眼鏡君である。

佐藤は茶髪で黒いTシャツを着ており、ほぼ手ぶら。チャラ男とまではいかないが、鈴木とは対照的な感じの男である。鈴木が、地図を見たり写真を撮ったりしながらゆっくりと歩くのに対し、佐藤は行き先も何も分からない癖に、どんどん先に進もうとする。しかも「後ろから誰かついてくるぞ」「おいっ!なんだあれ!?」などと悪ふざけをして、俺たちをビビらせて来る。ただ、佐藤は根っから悪い奴ではないし、そうこう言って盛り上げてくれる楽しい男なので、俺も鈴木もまんざらではなかった。

目的地である心霊スポットは、山の頂上を目指す登山道を途中まで歩き、途中から、今はもう使われていない廃道を行き止まりまで進むと、突き当たりにあるという水道橋の跡である。登ってみると思ったより結構薄暗い山で、山というより鬱蒼とした森という感じであった。傾斜もところどころ急なので、かなり不安に思って引き返そうともしたが、地図でみれば大した距離ではなさそうだし、時間もまだ昼だったのでまぁ大丈夫だろ、頑張って見るだけ見てみよう、ということになった。

だいぶ歩いた感じがしたのだが、廃道に入るための目印となる分岐点が見つからない。登山道を行ったり来たり、登ったり降りたりしながら、それらしきものを探すのだが、今はもう使われていない道であるというだけあって、どれが道なのか確証を持てない感じでいた。俺と鈴木が地図を覗き込んでいると、佐藤が「ちょっとあそこにいる人に聞いてくる」といった。登山客なんかに聞いて分かるのかな、と思ったが、やがて「どうもありがとうございます」という声がして、佐藤が「こっちだってさ。行こうぜ!」と、足早に俺たちを先導し
た。「おいおい、そんなに急ぐなよ」と鈴木が後を追ったので、俺もそれに続くことにした。

佐藤は、廃道を進むというより、山の斜面を滑り落ちるかのようにしてどんどん進んでいく。「おいおい…これは人が歩くようなものじゃないぞ」と言うと、「でもここが一番近道らしいぞ」「もともとそういう場所に行くんだしさあ」などと言って返し、なおも休まず進み続ける。「結構迷っちゃったし、佐藤の奴、シビレを切らしたかな」と、少し申し訳なくも思ったので、俺と鈴木は我慢して佐藤にならって山の斜面を滑り落ちるように進んでいった。

「おお!すげ~ぞここ!」佐藤の足が止まったかと思うと、山から突き出したかのような、広くて明るい場所に出た。断崖絶壁とまでは行かないが、かなり高さを感じさせるように、山の下が一望できる場所である。佐藤は嬉しそうにはしゃいで、また悪ふざけで鈴木を揺さぶって下に落とすマネなどをした。

「ねえねえ、ここ見てよ」俺は、ふと、その場所から見下ろしたところに、水道橋の跡らしきものを見つけた。「ああ、あそこが水道橋なんだ」と鈴木がいい、佐藤にも見せてやろうと思って、俺と鈴木が同時に佐藤の方を向いた。

すると、佐藤の顔からみるみる血の気が引いていき、顔が真っ青になっていくのが分かった。佐藤は鳥肌を立て、目を見開きながら放心状態になって、棒立ちのまま水道橋の方向に一直線にスタスタと歩き始めた。俺はまた、佐藤が悪ふざけし始めたと思った。「おいおい!危ない!」鈴木が静止するが、どうも様子がおかしい。日頃ならこの辺で悪ふざけをやめそうなものを、佐藤は真顔で真っ青な顔のまま、吸い込まれて行くかのように水道橋の方に向かっていく。

「やめろやめろ!マジで危ないって!」「おい!佐藤!やめろ!」俺と鈴木が必死になって佐藤にしがみついて止めようとすると、佐藤はそのまま顔面からモロ地面に手を着かずに倒れこみ、泡を吹いてしまった。

その後、俺と鈴木は、取るものもとりあえず携帯電話で連絡をし、近くの林道まで救急車に来てもらった。病院でしばらく手当てを受けて休んだ後、佐藤は両親に車で迎えにきてもらって、家まで帰っていった。

その後回復した佐藤から話を聞くと、俺たちが廃道に入るための目印を探していたとき、山の斜面から工事作業員風の男たちが列をなして這い上がってきたため、ヤバイ!と思って、俺たちにそのことを知らせようとしたところまでしか覚えていないという。もちろん、そんな男たちの姿など、俺と鈴木には見えなかったのだが…。

 

お姫山

宮崎県西臼杵郡日之影町の北、見立谷にお姫山と云う山がある。
昔、隣の大分県南海部郡宇目村藤河内の老人が、ここで狼を連れた髪の長いお姫様が通るのを見たという。明治二十年頃のことらしい。
山姫は狼のような鋭いおらび(叫び)方をして鳴くという。
また、傾山を中心とした山域には山姫と狼の話は多い。

昭和元年の頃、宇目村木浦の人が山に入って夜撃ちの狩りをしていた折のこと、大切峠から天神原山にかけての篠竹の笹原の中で潜んでいたところ、急に目の前に十五、六才位の女の黒い影が現れ、その人に向かって立った。

突然の恐怖に身動きも継ならず、銃を構えることも出来ずに息を殺していると、忽ちかき消すように消えたという。
丁度明るい月夜のことで、黄色い篠竹の笹原が照り輝いていたために、その姿は有りありと今も目前にあるという。

また別のある人は、西の新百姓山で不思議なものに出会っている。
十二、三才の子供ほどの大きさのもので、草の色に紛らわしい黄緑色をしたもので、人の背丈ほどの笹原の上を歩いて行ったと云う。
日中の出来事で、50m先の木の株に座りながら見ていたが、まったくこちらには気付いていなかったと云う。

はやく来いぃ

数年前の夏、バイクでG県のK川に釣りへ出かけた。
土手を走りながらポイントを探して、
いいポイントを見つけたのだが、土手は急で鬱蒼とした薮に阻まれ、
辿り着くには更に進んだところから、降り戻るしかなかった。
ポイント迄、巨大な岩に阻まれ何度も後戻りしながらも、辿り着いた。
絶好のポイント!僕は釣りに没頭し日暮れかけているのも気付かなかった。
辺りは真っ暗”さて帰るか”と思ったが、困った。真っ暗で何も見えない。
後ろを見ると、おじさんが一人夜釣りをしてる。
”釣れますか?”と尋ねると”今日はだめやぁ。もう帰るわ”
しめた!このおじさんに付いて行けば土手の上に出られる。
帰り支度を素早く済ましおじさんに訳を話し、後に続いた。

しかし、このおじさん、歩くのがもの凄く早い。
必死についていったがやがて見失った。
おろおろしてる僕に”おーい。こっちだぁ”とおじさんの声。
助かったぁと声の方へ。しかし、おじさんの姿はない。
”こっちだぁ”と再びおじさん。
どうやらその声は、土手の薮の中から聞こえる。
最初に降りた場所より遥かに及ばない所だ。
近道なのかな。と声のする方へ僕は急な土手を上っていった。
しかしそこは道というには、あまりにお粗末な道。
ふと静かなのに不安を感じ”おじさん”と、問いかけると
”こっちだこっちだ。はやくしろぉ”とおじさんの声。
ほっとして進むが、あまりに道が酷いので、思わず尋ねた。
「おじさん、ここから、本当に上に出られるの?」
・・・・・・
?返事がない。

「おじさん?いるの?」
「ああ、こっちだぁ」
「この道で出られるんだね?」
・・・・・・
「おじさん、この道でいいんだね?」
「そうだぁ。はやく来いぃ」
「もう土手の上に、いるの?」
・・・・・・
「おじさん!?」
「はやく、こぉぉ~いぃぃ」
間延びした嫌な声…何か変だ…”
土手の上に出れられるのか”と尋ねると口を閉ざす。
人が通ったにしては草が倒れていない。蜘蛛の巣にもひっかかる。
嫌なものを感じた僕は、急に恐ろしくなって転がるように土手を降りた。
すると”ちっ”上の方で舌打ちが聞こえた。
僕は背筋の凍る思いで、とにかくがむしゃらに走った。
何とかここへ来たとき降りた場所に辿り着き、
急いで駆け上がりバイクに乗り来た道を帰った。
土手の上を走るバイクの軽快な音。
もう大丈夫とほっとして、なにげなく薮の方を見降ろした僕が見たものは、
薮の合間にある無縁仏と、その脇でこっちを睨んでいるおじさんの姿だった。

 

ヒル

去年の今頃、仕事で山へ入った。前日には雨が降った。
暑かったけど長袖シャツに軍手。首にはタオルを巻いて、帽子を被った。
その上で、防虫スプレーを全身に振りかけ、脚絆の隙間には塩を塗る。

歩き始めて15分くらいして、足下の地面が波立つようにざわめき始めた。
道に落ちている落ち葉が、下から持ち上げられたかのように細かく震えている。
皆がそれを確かめるまでもなく歩みを早めた。
止まればあいつらに襲われることを知っているから。

あいつらというのは、吸血性のヒルだ。
体長10mmくらいの茶色いヒルが数百匹、数千匹、地面から霜柱のように伸び上がり、
木の葉の上からも様子を伺うように、ゆらゆらと体を揺すっている。
やっかいな毛皮のないヒトはヒル達の格好の餌食だ。
通りかかるヒトに飛びつき、柔らかい皮膚に到達したら円形の口腔で血を吸う。
血を吸って丸々と太ったヒルは、やがて皮膚から剥がれ落ちるが、
穴を穿たれた箇所からは、出血がなかなか止まらず、これが非常に痒い。

この日は2箇所くらい噛まれた。
同僚は10箇所くらいやられ、痒い痒いと脂汗を流していた。
別に生命に危険はないけれど、私が夏山で一番警戒するのはこいつらだ。

 

おいで、おいで

春先、相棒とふたりで沢の水質を調査するため山道を進んでいた。
町からそう遠くない低い山ではあるが、辺りには雪が残り空気も冷たい。
ふと、相棒が足を止めた。
どうしたんだ、と尋ねる間もなく、相棒は『向こう』といったふうに顎をしゃくる。

見ると、十数メートル程先の低い木の枝に手が乗っている。肘から先だけだ。
しかもその手は、おいで、おいで、をしている。

さて、どうしようか。戻りたい。でも仕事はまだまだ終わらない。
結局、(何も見たい、知らない!)と強引に突っ切ることにした。
ふたりで駆け抜ける。

その下まで来たとき、木からパサリと何かが落ちた。
反射的に振り向く。
それは、ただのゴム手袋であった。淡いピンク色が丁度人間の肌の色に
見えたようだ。おそらく、山菜取りに来た人が忘れていったのであろう。

しかし、手袋は木に引っかかっていたのではなく、枝の上に乗っていた。
手先を上にして。しかも、そよ風ひとつ吹いていなかった。
狐にでもからかわれたようだと思ったという。

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