嫁が見たもの
これは一昨年の夏の話なんだけど、ウチの嫁さんと二人で美味しいラーメン屋さんに行ったんだ。
腹も膨れ、俺はそのラーメン屋さんが夜景スポットに近い事を思い出し、帰り道にドライブがてら寄って帰る事にした。
何年も行ってなかったので少し迷いながらも夜景スポットへ向かってると、どうやら道を間違えたらしく、ドンドン山奥へと進む羽目になってしまった。
山奥へ進むにつれて助手席の嫁が無口になっていくのを見て、俺は嫁の霊感が強い事を思い出した。
Uターンする程の道幅も無い細い道になってしまい、先に進むしかない道を真っ直ぐ行くと、《○○霊園》への案内看板が目に入り、助手席の嫁は俯いたまま全く喋らなくなってしまった。
今までも薄気味悪い所や霊的な物を感じる場所では無口になっていた嫁なので、今回もヤバそうな雰囲気を悟った俺は、気を紛らわせようと大きな声を出し、明るい話題で場を和ませようとした。
しかし、嫁は相変わらず黙って俯いたままだった。
俺も気味が悪かったが、仕方なく車を走らせていると、道が広く開けた場所を見つけ、すぐにUターンをして来た道を急いで戻って帰った。
ある程度戻った所で、見た事のある景色になり、そこがまさしく目的地だった夜景スポットだと気付き、嫁に言うと、夜景なんていいから早く帰ろうと言うので、結局その日は夜景スポットへは行かずに帰路に着いた。
市街地まで戻り、ネオンで明るくなった所で、俺は恐る恐る嫁に聞いてみた。
「ねぇ、ずっと俯いて黙ってたけど、さっきの所ってやっぱり何か居たの?」
すると嫁は、
「え? 見えてなかったの? 細い道沿いの両脇に人がズラリと並んでジッとこっちを見てたのが…」
それ以来その場所には行ってない。
3回目は
これは僕の友達のお姉さんが体験した話です。
仮にAさんとします。
Aさんはとても霊感が強く、よく幽霊とか見えるそうなんです。
夜とかもよく見えてたりして、もう慣れてしまったらしいのですが、その日の夜は違いました。
ある日、Aさんが寝ていると何か胸騒ぎがして、目が覚めたところ、閉めたはずのカーテンが開いてたそうです。
そしてその先には、ベランダの鉄ごうしのところから女の人がまるで牢屋から出してくれ、といった感じでこっちを睨みつけていたのです。
Aさんはまたかと思ってまた眠りはじめました。
そして次の日の朝、ニュースを見ていると、Aさんの住んでいる所で通り魔があったというニュースが流れていました。
そして被害者の顔が写しだされた時、Aさんは愕然としました。
それは昨夜見た女の人だったのです。
Aさんは少しの間恐怖感でいっぱいでしたが、夜には忘れ、またいつものように眠っていたそうです。
するとまた胸騒ぎがして、目を覚ますと、今度はAさんの部屋の隅で女の人がAさんを睨みつけていたそうです。
Aさんは布団にもぐり、「消えろ!! 消えろ!!」と思いながら一睡もすることなく布団にもぐっていたそうです。
そして次の日の夜、Aさんはまた胸騒ぎがして目を開けた時…。
今度は、横になっているAさんの目の前に女の人がいて睨みつけていました。
Aさんはそのまま気絶し、気付いたときはもう朝でした。
その日の朝、ニュースを見ていると、通り魔が捕まったと速報でやっていたそうです。
Aさんは今までにない恐怖感に襲われました。
その通り魔は、Aさんと同じ同姓同名の女の人だったのです。
危険な魔除け
このお話は、私が中学2年の時のお話です。
時期もちょうど今頃の夏休み。
AちゃんとBちゃんとCちゃんとで、Aちゃんの家でお泊り勉強会をすることになりました。
その日、私はただ勉強するだけじゃと思い、「稲川淳二の怖い話」の本を持って行くことにしました。
実はこの本は、読書感想文のために買ったまだ未読の本。
Aちゃんの家で4人、夏休みの宿題をこなしていました。
お互い分らない所は教え合い、かなりはかどりました。
時間も随分たち、今日はもう勉強は終わりにすることになりました。
私は、待ってましたと言わんばかりに「淳二」を出しました。
そこでCちゃん、それだけじゃつまんないからと言って、ある物を持って来ていました。
Cちゃんはオカルト好きで、よく休憩時間、教室でネットで見つけた怖い話をしてくれるような子でした。
Cちゃんが持ってきてくれた物は、
1.ロウソク5本
2.ライター
3.正方形の白紙
4.白い粉(たぶん塩)
C「ネットで怖い話をするときの魔よけ見つけた」
と言っていました。
怖がりのBちゃんは
B「なんか怖いからやめよ?」
と言いましたが、Aちゃんの
A「みんな居るから大丈夫だって」
の一言でしぶしぶ承諾しました。
その方法は、部屋の四隅にロウソクを立てて、白紙の中央に赤ペンでトリイ?(神社の入り口の赤い門?)を書いて、その上に盛り塩をしてロウソクを立てるというものでした。
5本のロウソクに火をつけ、部屋の電気を消して、私の向かいには火を付け終えたCちゃんが座りました。
いよいよ始まりました。
私は読書感想文を兼ねていたので、「淳二」を1話からじっくり朗読してみんなに聞かせました。
はじめはみんな真剣に聞いていましたが、4話目を過ぎた頃から
「あれでしょその話」
「あ、知ってる」
とか茶々を入れるようになってしまいました。
そこで、Cちゃんが名乗りをあげました。
その話もネットで拾ったらしいお話。
その話は、オチがすれ違いざまの通行人が一言言うヤツ。
話も終盤にかかり、Cちゃんが
C「…こっちに向かってくる人が居ました。すれ違う瞬間、その人は…」
『呪ってやるぅぅぅぅぅ!!!』
Cちゃんが声を荒げてキメ台詞を言いました。
その瞬間でした。
Bちゃんの後ろのロウソクの火が消え、私たちはいっせいに悲鳴を上げました。
気が付くと、Cちゃんと私はAちゃんに抱きついていました。
A「……B…Bちゃん?」
Bちゃんは暗闇を背に、盛り塩のロウソクを見つめていました。
A「Bちゃん!」
Bちゃんがすーと顔を上げました。
その瞬間です。
Bちゃんの後ろの部屋の隅から、いっせいに
ゴッゴッ
ぎぎぎ~
ゴッざざゴッゴッゴッ
ぎゅぎゅぎゅ~
ゴッゴッゴッ
大勢が壁をたたく音、引っ掻く音が鳴りました。
再び私たちは悲鳴を上げました。
次の瞬間、ドアが開きました。
Aちゃんの両親でした。
Aちゃんの両親は部屋の雰囲気を感じ取り、私たちの親を呼び、お泊り会は解散となりました。
その後、私は両親に外出を許してもらえず、彼女たちとは電話でのやり取りのみとなりました。
しかし、私はあの日のBちゃんを思い出すと、Bちゃんには電話出来ず終いでした。
もちろん、AちゃんもCちゃんも。
出禁が解け、夏休みが終わり、始業式。
Bちゃんは欠席しました。
その日、A・C・私の3人でBちゃんの家に行きました。
いくらピンポンを押しても誰も出てきません。
3人は諦め、帰路につきました。
C「あ!」
Aちゃんと私はCちゃんの指先を見ました。
白いカーテンの架かった2階の窓。 誰も居ません。
それから暫らくして、ホームルームで担任の先生が、Bちゃんの転校をつげました。
そして先生も親も、Bちゃんの行き先については何も教えてくれません。
Bちゃんは何処へ行ったんだろうか…。
今思うと、子供の頃の好奇心が恐ろしく感じます。
今書いてて気が付いたことがあります。
白紙に書かれたトリイの向きが、Bちゃん側に向かって入り口だったのではないかと…。
寮
これは実際に私が体験した事です。
私は高校時代に寮生活をしていました。
最初の一年は五人部屋、二年の時は二人部屋、三年の時は一人部屋です。
これは一年の時に体験したことです。
霊感があると母から言われて、初めて霊を見たのは小2の時でした。
それからというもの、たまに夜になれば部屋の外になぜか人の姿が見え、怯えていたのを覚えています。
ですがまだその頃は、はっきりとした姿を見ていません。
寮に入って三か月過ぎた頃。
隣りのAさんと夜遅くまで話していて、ふと廊下の窓を見ると女性がたっていました。
私はAさんを怖がらせないように話を終わらして、寝るように言いました。
その時はまだなにもなく、安心していましたが。
夏休み過ぎて部屋替えがあり、階が違う部屋に移りました。
そのときはもう前の事は忘れていて、なにも気にしていませんでしたが。
部屋替えをして、一か月。
なにもない夜でグッスリ寝ていましたが、急に息苦しくなり目が覚めました。
辺りは真っ暗で、体を起こし辺りを見ましたがなにもなく、みんなも寝ていたので、また横になって目をつぶろうとすると、全身が麻痺して体が動かなくなりました。
金縛り? と疑問に思っていると、横から急に
「大丈夫?」
と知らない声が聞こえてきました。
怖いと思いましたが、なぜかその声に安心を覚えました。
じっとしていると、手を握られ寝ているベットから降ろされました。
落ちて背中が痛かったですが、声も出ずにただ天井を見るしかなく、また「大丈夫?」と声がして顔が出てきました。
その人は楽しそうに私を見ていて、たまにさわってきたりしていました。
急に安心していたのが怖くなり、出ないと分かっていても声をあげました。
すると、女の人は首をしめてきて笑って
「大 丈 夫 だ か ら 。 気 に し な い で」
と手に力をこめました。
苦しくなり、私は気絶しました。
翌朝、起床の放送がなり目を覚ますと、首にしめられた感覚が残っていて、鏡を見るとうっすら後が残っていました。
それ以来なにもなかったですが、あの時だれも起きなくてよかったと思っています。
人形劇の人形
自分がガキの頃あった不思議な話。
俺の昔の家は母親、父親の部屋があり、その横の部屋はタンスやら鏡やらあって、よく風呂上がりに着替えたりする場所として使ってた。
もちろんガキの頃だからその部屋は広く感じたわけで、よく近所の友達と暴れたりしてた。
その部屋で遊ぶのが好きだった。
しかし、ある1日をきっかけに俺はその部屋が怖くなった。
普段通り、夕方に友達が帰り、その部屋でゴロゴロしてた。
母親は飯作りに行ってたし、父親はもちろん夜まで仕事。
余談だが、俺はよくその部屋のタンスの開けっぱなしで怒られてた。
いつもみたく、タンスを開けては閉めての繰り返しをやって、ガキながらイタズラ心で遊んでた。
すると、もの凄いスピードで手を掴まれた。
中には人形劇に使う、手にはめて劇をするヤツみたいなのがタンスの中から顔を覗かせ、俺の手を引っ張った。
言っておくが、冗談でもなんでもなく鮮明に覚えてる記憶の一つだ。
その恐怖で、母親を泣きながら呼んだことも覚えている。
その後、焦った母親が来て手を離されたのも覚えてる。
それから3年後、ふと兄貴と一緒に教育テレビの某アニメを見ていた。
すると名前は出せないが、人形劇が始まった。
正直なところ、タイトルを言ってしまうと誰でもわかる。
まぁそれはさて置いて、俺はテレビを見て泣いた記憶がある。
もちろん恐怖で。
だって、手を引っ張ったヤツが映っている。
俺はその人形の髪型、鼻の色、目付きなども完璧に見たことがあった。
いや、その人形劇の第一話がある前から知っていた。
だから、ガキながら『俺はこいつと会ったんだよ』などとくだらないことを言っていたらしいが、俺は今でも覚えている。
その人形劇はアメリカの番組であり、日本人が吹き替えなどをしていることになる。
確かに今ではデジャヴなんじゃないか、などと疑われ笑われたりもするが、逆に考えてほしい。
祖母がこの前発した。
『人形は何処だ』
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