短編 洒落にならない怖い話 全5話
呪われた家
私の家の近所、数軒先に先日まで空き家だった家があります。
もう築30年程たつ古い家です。
昨年、前の持ち主が他界されたので売りに出されておりました。
その家にまつわる話です。
前の前の持ち主、Kさんはごくごく一般的な家庭。
両親と中学生の娘の3人暮らしでした。
娘さんは少々神経過敏なところがあり、中学にあがってから親と衝突が絶えなかったようです。
そして15歳になった夏、いつものように親子ゲンカした娘は
風呂場で手首を切って狂言自殺を図ろうとしました。
風呂に入り手首を切り…そして貧血のため意識を失ったようです。
30年前ですから、今のようなお湯を入れて終わり、という風呂ではありません。ガス風呂です。
娘は真っ赤に染まった風呂の中で湯だった状態で発見され、体中ふやけていたそうです。
Kさんはその事件の後、すぐに引っ越されました。
Kさんが引越した後、今度はIさん一家が引越ししてきました。
Iさん一家は両親、大学在学中の兄、中学生の娘の4人一家。
兄は市外の大学だったため、夏休み以外はほとんど家に帰ることはなかったようです。
中学生の娘は大人しく、親に従順な子だったそうです。
その娘が15歳の夏、体育の授業で跳び箱に失敗し頭から落ち、脳内出血で亡くなりました。
原因は友人が壊れていた跳び箱をよくおさえていなかったからだと、
母親は娘の友人を恨んでいたようです。
このころ私の母親も、I家を訪れる娘の友人の姿をよく見たそうです。
そして半年後、今度は母親が骨肉種を患い、最後は眼球、鼻、唇など
全て侵されたため手術で切り取りまるでのっぺらぼうのようになって亡くなったそうです。
そしてその母親の死後から一年もたたないうちに
I家のご主人は友人の紹介で後家さんをもらうことになりました。
後家さんをもらったI家ですが、後家さんは中々明るい方で近所づきあいも上手。
息子ともうまくやっているようで、この家の住人も今度こそ落ち着くだろうと近所の人々は安心しておりました。
しかし、結婚して一年後。
後家さんは風呂場でガス中毒(鳥が巣を作っていたため)で倒れ、
K家の娘のように湯船の中で湯だった状態で発見されたのです。
当時私は幼かったのですが、救急車とその家との雰囲気をはっきりと覚えています。
禍々しい…異様な。
近所では噂が立ちました。
あの家に住む女性はみんな死ぬ。
亡くなった後家さんに至っては、K家の娘と同じ状態で発見されたため、
娘の呪いかもしれないと囁かれました。
いつしか噂は町内の外にもオレ、近隣住民では誰も知らぬ者は無いほどの有名な家となりました。
I家のご主人はそれからもこの不名誉な噂がたった家にずっと住み続けました。
20余年の歳月が流れ、住民の様子も変わり古くから住んでいるものも、
噂を口にすることがなくなっていました。
そして昨年、I氏は亡くなりました。
息子さんが家を売りに出したのは今年になってからでした。
古いということと、家の雰囲気がどことなく暗いことから買い手がなかなかつかない様子でしたが、
今年の夏町内の貸家に入っていた一家の引越しが決まりました。
一家は4人。家中の明かりを点して、今まで暗かった空き家にすっかり活気が戻ったように見えます。
しかし…。
古くから住んでいる町内の者は皆息を潜めて事の成り行きを見守っているのです。
なぜなら、一家の娘は現在14歳。来年は15歳。
あの家に住んだ娘は16歳になれないからです。
おかあさ~ん
子どもの頃の話。
子どもの頃、僕は2階建ての借家にすんでいた。
母親も仕事をしていたので、学校から帰っても自分一人のことが多かった。
ある日、夕方遅く学校から帰ってくると、家の中が暗い。
「おかあさ~ん」と呼ぶと、2階からか小さな声で「はあ~い」と
応える声がする。もういっかい呼ぶとまた「はあ~い」。
自分を呼んでいるような気がして、2階へあがる。
階段をあがったところでまた母を呼ぶと、奥の部屋から「はあ~い」と声がする。
奇妙な胸騒ぎと、いっこくも母に会いたいのとで、奥の部屋へゆっくりと
近づいていく。
そのとき、下で玄関を開ける音がする。母親があわただしく買い物袋をさげて
帰ってきた。「しゅんすけ、帰ってる~?」明るい声で僕を呼んでいる。
僕はすっかり元気を取り戻して、階段を駆け下りていく。
そのとき、ふと奥の部屋に目をやる。
奥の部屋のドアがキキキとわずかに動いた。
僕は一瞬、ドアのすきまに奇妙なものを見た。
こっちを見ている白い人間の顔だった。
電気つけて!
これは僕が三年前に体験っちゅ~か、幽霊を見ちゃった話です。
某RB社は地方社員の為に全国どこでも寮を用意していてくれていました。
僕は大阪の寝屋川市に勤務が決定しました。
寮に案内されたのですが結構古いマンションで、
雰囲気もなんとなく悪そうでした(下の階がテレクラw)
部屋の番号は305号室。
305号室には、僕と会社の先輩が二人、一緒にすんでいて(3DK)、
やっぱ寮とゆうものは怪談がつきものでして、
このマンションで自殺したひとがいたとか、マンションの前の道路ではよく交通事故が起こるとかで、
私もよく事故を見ました。
それから三年後、後輩もできたある日、先輩(Iさん)が体験した話を聞かせてくれました。
風をひいいて異常な高熱でうなされてたらしんです、、
もう一人の先輩(Kさん)が会社から戻り様子を見に部屋にいくと
Iさんがベランダから飛び降りようとしてるではありませんか、、、
必死でベッドに引き戻すとそのまま寝ちゃったそうです。
その時の事をIさんは覚えていました
「気味悪い女がオレの手を引っ張って連れて行こうとしてたんだ」って、、、。
僕はそれを聞いてよせばいいのに
「おっし!今晩怖い話大会しよー!」って事でKさんの部屋に友達集めました。
結構怖い話なんだけどなんか物足りないと思い、女の子達の反対を押し切って部屋の電気を消しました。
ものの五分もたたないうちに僕の隣に座っていた女の子が
「ねぇ!たのむから電気つけて!」って僕のTシャツをひっぱるんです。
僕「え~!消したばっかじゃん!」
女の子「いいからつけてっ!」涙声です
しぶしぶ電気をつけるとその女の子は血の気が失せた顔をしてました。
僕「どうした?」
女の子「あ、あそこ、、、」ベットを指差し
「座ってたの、、女の人が、、」
「下から緑のライト照らしたみたいに!」
それで僕とIさん以外みんなが怯えまくって中止になりました、、。
ここまではよくある話ですが、その夜から奇怪な事が起こる様になりました。
まずその夜、僕の後輩が夜中に飛び起き、トイレで嘔吐していたので聞いてみると
「金縛りになって誰かに首を絞められた」、、泣いてました。
次の日、休日のKさんが昼頃TVを見てると玄関を開ける音が、、
誰かがあがってきました、、、
ぎぃっと部屋のドアがかすかに開き振り向いてみると
5cmほど開いたドアの向こうに女の人が立ってこちらを見ていたそうです、、。
他にも僕の部屋にだれもいないのに「あの部屋、、絶対いまだれかいてる、、」気配がすごい。
僕が体験したのが、会社から一番初めに戻り、風呂にはいってると、
誰かがマンションに入ってきて、擦りガラスの向の炊事場で手を洗う音がしてたり、、、。
そして極めつけ、、、、
Kさんの部屋で一緒にTVを見てました。
Kさんは違う番組をIさんの部屋でみる為部屋を出ていきました。
当然Kさんの部屋には僕一人、、隣の部屋ではKさんとIさんの楽しそうな笑い声が、、。
僕も一緒に見ようと思い振り向いたその時、、開け放たれてる部屋のドアの右上から
長い髪をした顔が(生首とゆうには少し違和感があり、あの高さから、、)こっちを覗いていました、、、。
僕が恐怖で固まってるとその顔はIさんの部屋に入って行きました。
それ以来、怪奇現象は不思議とピタリと止みました。
Iさんにこのマンションで自殺した人って女の人?っと聞いてみましたが、中年の男性だったそうです、、。
では、あの女の人はだれなんでしょう?^^;
御巣鷹山
体験談じゃ無いけど・・・俺の部の先輩(かな?)の3年前の話
サークルの一環でオスタカヤマに登ったとの事
2人一組のチームで3チームに分かれて山小屋を目指す物だったらしい。
先輩は友人と一緒にゆっくり時間を掛けて登るルートを取った為後一時間ほどで
日没andゴールの所だった。
ふと顔を上げると場に相応しくないスーツ姿の30代の男性が立っていた。
おかしいなと友人と顔を見合わせその男と挨拶を交わそうとすると男の方から
さわやかに挨拶がきた。「こんにちは、暑いですね。」と。
確かにあたりは日が落ちたとはいえ夏場、
確かに暑いがスーツ姿は大変暑そうに見えたらしい。
だが先輩は東京出身で標準語なのでその男の姿はともかく
言葉遣いに好感を持ったそうだ。
先輩がその男に話し掛けようとしたら先輩の言葉を遮る様に
「申し訳無いけど、東京ってどっちの方向?」
となぜか照れくさそうに質問してきたと言う。
先輩の相方が磁石を見て東京の方角を教えると
「ああ、ありがとう」と丁寧に礼を述べ、その丁寧さと相反するように
すごい勢いで道も無い所を降りていったと言う。
先輩は後で気がついてゾッとしたそうです、
飛行機事故の事を思い出して。
風呂場に注意
入社3年目の6月、私は愛知県の営業所へ転勤となり、引っ越しすることになった。
会社が探してくれた2DKのアパートは独り身には広すぎるようにも思えたが、
入社以来、狭い寮で生活していた私の目には非常に魅力的に映った。
職場にも近いし家賃も安い。なにより風呂付きなのが最高だった。
引っ越して何日目かの夜、風呂でシャワーを使って髪を洗っている最中のこと。
水流でぼやけた視界の隅に、一瞬妙なモノが映った。
浴槽の縁に置かれた両の手。
慌てて目を見開いて向き直ったが、手などどこにもない。
『目の錯覚だろう…』
その時は、そうやって自分を納得させた。
しかし、そんな性根をあざ笑うかのように、「それ」はしばしば私の前に姿を見せた。
シャワーを浴びている時、石鹸を置いて振り返る時、洗面器に手を延ばした時。
視線が浴槽を掠めるその一瞬に、私の眼が「それ」を捉える。
浴槽の縁にしがみつく白い手。
半ば反射的に視線を戻しても、次の瞬間には跡形もない。
それでも、回を重ねるうちに「それ」が子供の手だということに確信するようになった。
1ヶ月ほどたったある休日、私は部屋の整理をしていた。
荷物を収納しようと、備え付けのキャビネットの一番下にある引き出しを開ける。
底に敷かれていた厚紙を引っ張り出すと、その下にあった何かがヒラリと床に落ちた。
拾い上げて見る。幼稚園児くらいに見える男の子の写真だった。
とっさに風呂場の手を連想し、気味が悪くなったので他のゴミと一緒に捨てた。
その日の夜、テレビを見ていると浴室から何やら物音が聞こえた。
行ってみると、普段は開けっ放しの浴槽の蓋が閉じられている。
開けてみると、冷水が縁ギリギリまで一杯にたまっていた。
夏場はシャワーのみで済ますため、浴槽に湯をためることなど無いはずだった。
考え込みながら水面を眺めるうちに、私の背後にスッと影が立つのが見えた。
肩越しに、髪の長い女の姿─
ドンッ
不意に背中を押され、私は頭から冷水に突っ込んだ。
慌てて持ち上げようとする頭を凄い力で押さえつけられる。
もがいて逃れようとするがビクともしない。肺から空気が逃げ出していく。
パニックに陥る寸前、私は床を蹴って浴槽に身を躍らせた。
体を回転させると、浴槽の底に手足を突き、全力で体を持ち上げる─
ザバァ───
水面を破って立ち上がると、呼吸を整え、周囲を見渡した。
誰もいない。
風呂場の扉は開いているが、外の様子はうかがい知れない。
風呂場から出る勇気が出ないまま、私は浴槽の中に立ち尽くしていた。
…サワ…
ふくらはぎに何かが触れた。
小さな手にゆっくりと足首を掴まれる感触…
私は悲鳴を上げ、ずぶ濡れのまま浴槽から、風呂場から、アパートから飛び出した。
私が引っ越す前、ここに誰が住んでいたのか?ここで何があったのか?
大家はそれを語ろうとしなかったし、私も聞こうとは思わなかった。
それから部屋を引き払うまでの約一週間、
浴室の扉の前には荷物を一杯に詰めた段ボールを積み上げておいた。
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