スカッとする話【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話
結婚したらDV野郎になった
弟が結婚したらDV野郎になった。
嫁さんが鼻血垂れ流しながら隣の部屋の住人に助けを求めて、
警察沙汰になって発覚した。
我が家一同と、弟嫁家族一同で話し合いが持たれた。
弟は「女は感情的で話にならないから、躾けてやってるんだ」
とDV野郎のマニュアルでもあるんか?って位
典型的な台詞を吐いてドヤっていた。
弟嫁両親は血管切れそうな顔をしていた。
両親が止めても弟はドヤり続けた。
うちの祖母が中座し、
「男は論理的、女は感情的」と弟が気持ちよく演説していると戻ってきた。
祖母が出してきたのは弟の小中学校の通知書だった。
備考欄に書かれている担任の言葉は
「落ち着きがない」「忘れ物が多い」「読み書きに遅れがある」
「忘れ物が多い」「集中力に欠ける」「じっとしていられない」
「九九を覚えましょう」「「忘れ物が多い」
とクソミソだった。
祖母「あんたが論理的だったことなんて、これまでの人生でいっぺんもない」
弟は黙った。
特に小6の時点での「読み書きに遅れがある」が効いたようだ。
弟は黙ったが、弟嫁は離婚した。
キラキラネーム
小学生の頃母親が再婚して苗字が変わった
新しい苗字はそれ自体は別段珍しくないけど、読みが二通りある内の珍しい方
例えば本田さんは大抵ほんださんと読むけど、もとださんも稀にいるみたいな感じ
読みも耳慣れないイントネーションかつ発音しづらく聴き取りにくいせいか
電話口だとたまに外国人かと尋ねられるような苗字
その苗字が当時クラスで流行ってたギャグ漫画に出てくる用語と音が似てたから、
苗字が変わってからはその用語っぽく苗字をもじって連呼されたり
ガイジンと囃し立てられたりすることがあった
からかってくるのはほとんどクラスの男子で女子はそれを諌める側だったけど、
一人だけ男子に混じってからかってこようとした女子がいた
その女子は美麗と書いてビーナスと読ませるみたいな、今で言うキラキラネーム
変な名前もガイジンみたいも正直「いやそれをお前が言うか?」って感じだったので
思わず「自己紹介?」と返してしまったら一瞬の間を置いて男子爆笑
ビーナス(仮名)は顔を真っ赤にして怒って女子を味方につけようとしたけど
「あんた散々名前からかわれて嫌な思いしといて人の名前はからかうの?」
「今のはあんたの自業自得でしょ」と呆れられて見放されてた
進級直前の話だったんだけどその後ビーナス(仮名)とは進級でクラスが分かれて
たまに1対1で廊下で遭遇したときに向こうがわざとぶつかってこようとするのを避けたり
すれ違いざまにぼそっと「キモッ」と言われるのをスルーするだけの関係になった
人目がある時は睨んでくるだけで絡まれないのでほぼ無害みたいなもんだった
その後は私が引越しで転校したのでビーナス(仮名)がどうなったのかは知りません
放課後の教室に立ち尽くして
小学4年生の時に同じクラスの男子に虐められていた
聞こえるように悪口(ブス、バカ等々)を言われた。
後ろから足を蹴られた。持ち物にマーカーで落書きされた。
毎朝吐き気がした。早く15時になれ、早く15時になれと願いながら学校での一日を過ごしていた
親や先生に相談したけど、この男子が3年生の時のバレンタインに私にチョコ渡したことを親も先生も知ってたから
「男の子は好きな女の子をいじめちゃうものなの」
で片づけられた
大人たちにとっては微笑ましい光景。男の子にとっては青春の一ページ
女の子は自分を助けてくれなかった大人を一生恨み続ける。男性に対する不信感と軽蔑を抱き続ける
私は遺書を書いて自殺しようとした。大人になるまで(親や教室から逃れられるようになるまで)耐えられそうになかった
どうせなら自分の血で教室をグチャグチャにしてやろうと思って、放課後の教室で彫刻刀を喉に突き刺して死のうとした
出来なかった。怖かった。あとちょっと、ってところで怖くなって、震えがとまらなくなった
彫刻刀を握り締めたまま放課後の教室に立ち尽くして、私は一時間ぐらい泣いてたと思う
最初に私に気付いてくれたのは保健室の先生だった
私は泣き喚きながら洗いざらい話した
支離滅裂なことしか言えなかったと思う。
でも保健室の先生は相槌を打って、私の発言を要約しては頷いてくれた
先生は私を抱き締めてくれた。柔らかい服のふんわりとした感触は今も忘れられない。
鼻水と涙がついて汚かったと思う。本当に申し訳ない
その日は保健室の先生の車に乗って家に帰った
先生の車に乗って帰ってきた私を、親は理由も聞かずに叱ろうとしたけど、
先生に宥められて、それから先生と親は居間で1時間ぐらい話をした
先生を見送った後、親はそっぽを向きながら「ごめんね」と言ってくれた
たった一言だけど、私は報われたような気がした
その次の日も普段と変わらない一日だった。だけど私の心は妙に穏やかだった
更に次の日、男子は顔面をボコボコに腫らして登校してきた
男子は私を突き飛ばして、私がチクったせいで父親にボコボコに殴られたこと、
皆とは違う校区の中学校に進学するはめになったことを喚き散らした
私は無視して一時間目の準備をした。男子は私の椅子を蹴り続けていた
その後、なんでかは知らないけど男子は距離を置かれるようになった。
一人になった途端にどうしてだか男子は大人しくなって、ようやく私の生活には平穏が訪れた
おまえの頭の中
同僚に「女ってのは~(趣味が下等だとか云々)」
「女ってのは~(マスゴミを鵜呑みにするとか云々」
といつも言っている男性社員がいた。
注意しても「だから女ってのは!」とヒスるだけで会話にならない。
だから皆ハイハイって感じで聞き流していた。
ある日、別の男性社員が感心した顔つきで
「おまえの頭の中、ほんっと女ばっかだな。」
と言った。
そしたら言われた男性社員は真っ赤になって口ごもり、逃げて行ってしまった。
皆唖然。
そうか、そう反論すればよかったんだと
以後は「また女の話?女で頭一杯なんだな」
「仕事中に女の話ばかり…恥ずかしくないんですか」
と皆で言うようになった。
最近は女のおの字も言わない。とても平和。
下級生の女子にメロメロ
同級生の男子が別の学科の下級生の女子にメロメロ。理由は一目惚れ。互いに接点はない模様
私はこの下級生の女子と同じサークルに所属してるので、下級生の好きな食べ物や音楽を聞かれたり、
それとなく自分の存在を伝えておいてくれと頼まれたりしてた
ただ最近になって最寄りの駅やスリーサイズまで聞かれるようになって、
ストーカーにでも発展したら大変だから近頃はこの男子とは距離を置いている
距離を置く前ぐらいに下級生のツイッターのアカウントを聞かれたので
「ビビらせたくないからフォローはするな。たまに覗くだけにしろ」って約束した上でアカウントを教えた
ちなみに私は二人ともツイッターで繋がってる
この男子が今朝ぐらいにツイッターで
「女には『年収200万のアルバイターです』と言え。金目当ての女を追い払える」
みたいなツイートをRTしてた
で、昼ぐらいに下級生が同じツイートをRTして
「女性を試すために嘘つくような男なんてどんなにお金持ちでも避けるのが賢明だよね」
とツイート
そしてさっき男子のアカウント見てみたらRTが取り消されてたw
下級生のツイート覗いて慌てて取り消したんだろうなぁ
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