切ない話 Vol.13
オウンゴール
昔知的障害をもった子がサッカー部にいてな
でも皆から邪険にされず(それでも子どもの障害者意識みたいなものはあったけど)仲良くしてて
そいつはゴールがどっちかもわからないのにがんばってて・・・
ある日接戦で2-2の試合をしていたんだ
でも大切な試合じゃないし、良い経験になるからって全員とっかえひっかえで出してたんだけど
試合の終了直前、俺がバックパスをその子にだしたのね
そしたらその子見事にオウンゴールきめちゃったわけ
敵もその子が障害者だとしってたみたいでクスクス笑ってた
んで、サッカーのことになると切れだすキャプテンが発した言葉が
「すげえよ○○!大逆転だ!!」
皆それに続いて「ナイス○○!」とか言ったりハイタッチしたりしてた
相手のポカーンとした顔とその子の嬉しそうな顔は今でも忘れられない
寂しい思いだけはしないように
今日はお腹の赤ちゃんと家で過ごす最後の日。
何より大切で誰より愛しかった。初めて人の命が大事だって思えた。
なのに産んであげることできなかった。
ダメなママで本当にごめんね。
先生に無理言って最後のエコー見せてもらったら、小さな身体全部で一生懸命頑張ってとっても大きくなってたね。
ママ本当に涙が止まらなかった。心から嬉しくて誇りに思えたよ。
いまどんな夢見てるのかな。どうかせめて最期まで幸せな夢を見ていてほしい。
このあいだ一緒に見た盲導犬クイールの映画、感動したね、天国でクイ-ルに会えるといいね。きっとぺろぺろ舐めてくれるよ。
いつか私が抱っこしにいってあげられる日まで少しだけ、待っててね。
絶対に、会いに行くよ。どこにいても探し出してみせるよ。
でもママ地獄に行っちゃうかもしれないけど…そしたら代わりにママの妹分のわんこにベビを守ってくれるようにってお願いするから。
どうか寂しい思いだけはしないように…。・゜・(ノД`)・゜・。
黒いマントを着た人
母方の祖母は私が3歳の時に亡くなったが、その死の直前の出来事だった。
ある夜、叔母(母の妹)が病室で付き添っていたら、祖母が突然立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
祖母は末期がんで立つ事すらままならなかったのに、驚くほどしっかりした足取りだったそうだ。
びっくりした叔母が追い掛けると、かなり歩いた廊下の突き当たりで祖母は立ち止まっていた。
追いついた叔母に
今ね、黒いマントを着た人が来て、付いてきなさいと言われたのよ」
と祖母は話した。その後、祖母はもう歩くことはなく、間も無くして亡くなった。
それから十数年後、
私が母とテレビで心霊番組を見ていたら、祖母の死の直前にそういう不思議な事があったと母が語ってくれた。
「黒いマントの人って、きっと死神よね。母さんは無事に成仏できたのかしら」
と母が言うので、どこかの漫画の台詞の思いっ切り受け売りだけど、
母を慰めようと言ってあげた。
「死神が鎌を持っているのは、
あれは偉い神様に仕えている農夫だからだよ。
死神はあの鎌で魂を刈り取るんだよ。
死神だって神様なんだし、
お祖母ちゃんは神様が迎えに来てくれたんだから、
まっとうに生きてちゃんと天国に行けた証拠だよ」
私がそう言うと母は急に涙ぐんで、良かった良かったと繰り返した。
喜んでくれるよね
糖尿病を患ってて、目が見えなかったばあちゃん。
一番家が近くて、よく遊びに来る私を随分可愛がってくれた。
思えば、小さい頃の記憶は殆どばあちゃんと一緒に居た気がする(母が仕事で家に居なかった為)。
一緒に買い物行ったり、散歩したり。
だけど、ばぁちゃんが弱っているのは子供だった私でもわかっていた。
高校に入ると、友達と遊ぶほうが多くなっていて、ばあちゃんの家に行くことが少なくなっていた。
たまに行くと、「さぁちゃんかい?」と弱々しい声で反応してた。
もう、声だけじゃ私だってわからなくなっていた。
「そうだよ、さぁちゃんだよ。ばーちゃん、散歩行こうかー?」
手を取って、散歩に行ったけれど、もう昔歩いた場所まで、ばぁちゃんは歩けなくなっていた。
それから、あまりばあちゃんの家に行くことは無くなってた。
暫くして、母さんから「ばぁちゃんがボケちゃったよ」と聞いた。
誰が誰だか、わからないんだって。
私のことも、わからなくなってるらしい。
なんとなく、覚悟は出来ていた。けれど、悲しかった。
それから。半年くらい過ぎた頃。
ばぁちゃんが死んだっていう報せが届いた。
泣くこともなく、通夜、葬式が終わった。
葬式が済んだあと、私は叔父に呼び出された。
叔父はばぁちゃん達と最後まで暮らしていた人だ。
「箪笥の中にな、『さぁちゃんの』っていう封筒が入ってたんだよ。」
そう言って、私に封筒を手渡した。
ばぁちゃんの字で、さぁちゃんのって書いてあった。
中身は、通帳だった。私名義の。
二十万ほどの預金が入っていた。
働いてないばぁちゃんが、こつこつ貯めたお金。
そういえば、昔、ばあちゃんが話していた。
「さぁちゃんが結婚するときのために、ばーちゃん頑張ってるからね。」
「だから、ばぁちゃんにも孫抱かせてね。」
その夜、初めて泣いた。
ばぁちゃん。
あれから5年も経っちゃったけど、さぁちゃん、来年結婚するよ。
孫抱かせてやれなくてごめんね。
でも、喜んでくれるよね。
パパの1時間を買えるよね
ヘタレプログラマーは,今日も仕事で疲れきって,遅くなって家に帰ってきた。すると,彼の5歳になる娘がドアのところで待っていたのである。彼は驚いて言った。
「まだ起きていたのか。もう遅いから早く寝なさい」
「パパ。寝る前に聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「パパは,1時間にいくらお金をかせぐの?」
「お前には関係ないことだ」
ヘタレプログラマーである父親はイライラして言った。
「なんだって,そんなこと聞くんだ?」
「どうしても知りたいだけなの。1時間にいくらなの?」
女の子は嘆願した。
「あまり給料は良くないさ・・・20ドルくらいだな。ただし残業代はタダだ」
「わあ」女の子は言った。「ねえ。パパ。私に10ドル貸してくれない?」
「なんだって!」疲れていた父親は激昂した。
「お前が何不自由なく暮らせるためにオレは働いているんだ。それが金が欲しいだなんて。だめだ!早く部屋に行って寝なさい!」
女の子は,黙って自分の部屋に行った。
しばらくして,父親は後悔し始めた。少し厳しく叱りすぎたかもしれない...。たぶん,娘はどうしても買わなくちゃならないものがあったのだろう。それに,今まで娘はそんなに何かをねだるってことはしない方だった・・・
男は,娘の部屋に行くと,そっとドアを開けた。
「もう,寝ちゃったかい?」彼は小さな声で言った。
「ううん。パパ」女の子の声がした。少し泣いているようだ。
「今日は長いこと働いていたし,ちょっとイライラしてたんだ・・・ほら。お前の10ドルだよ」
女の子は,ベットから起きあがって,顔を輝かせた。
「ありがとう。パパ!」
そして,小さな手を枕の下に入れると,数枚の硬貨を取り出した。
父親はちょっとびっくりして言った。
「おいおい。もういくらか持ってるじゃないか」
「だって足りなかったんだもん。でももう足りたよ」女の子は答えた。
そして,10ドル札と硬貨を父親に差しのべて...
「パパ。私,20ドル持ってるの。これでパパの1時間を買えるよね?」
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