震災の時にあったずうずうしい話 短編5話【1】まとめ

震災の時にあったずうずうしい話 短編5話【1】まとめ

 

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震災の時にあったずうずうしい話 短編5話【1】

 

 

トイレットペーパー

震災数日後、マンションの玄関ホールのインターホンじゃなくて、家の玄関のを直接鳴らされたので出たら、見知らぬ子連れ女性.。
トイレットペーパーが在庫切れで買えなかったので困っている。
譲ってくれと言われたが、うちも買い置きが無く、残り数個しか無い状態。
でも、全く無いのはお困りでしょう。1個だけ持って来ますねと言うと、

「たった1個?じゃぁああいいです!」

と、いきなり無愛想になって子供引きづりながらお隣へ行った。
気になって玄関で様子を伺っていたら、お隣さんは12ロール入りの在庫があったみたいで、渡す時に「250円で良いですよ」って少しおまけして代金を請求したら

「え!お金取るの?お隣は只でくれるって言ったわよ」

慌てて玄関から飛び出して、違う違う!一個だけならと言ったんですと、お隣さんを援護。
12ロール入りならお金払うのは当然でしょ。
それよりあなた、このマンションの住人ですか?管理人呼んできますね、と言うと

「もういいです!けち」

って怒りながら引き上げて行った。

「ケチなんて産まれて初めて言われたw」というお隣さんと一緒に、キチママが外に出るまで廊下で見守っていたが、今度はお隣のマンションに入って行ったよ。
数百円の物を恵んでもらうまで、寒い中子供を引きづり回してるんだろうか。

通報するほどの事ではないけど、気味悪いので、お隣さんがママ友やご近所にこんな変な人がいるから注意、と知らせてくれる事になった。
ちなみに、夕方買い物にいった時はどこもトイレットペーパーは普通に売っていた。
ここは九州。

 

 

東日本大震災の時の図々しい話

東日本大震災の時の話。

うちの家族は被災地に住んでて、震災から一週間くらい経ってたけどまだガソリンもガスも通ってなくて、食べ物だって簡単には手に入らなかった。

会社の同期で震災の日に他県に出張に行ってた奴がいて、交通手段もなくてしばらく戻ってこれなかったんだけど、そいつも家族がいるし心配だから、社用車で無理して何時間もかけて戻ってきた。で、そいつが会社に戻って来た日は俺は休みだったんだけど、彼が俺に電話してきて、「今やっとこっちに戻ってきたんだけど、荷物が多くて家まで帰られない。申し訳ないんだけど、車で送ってもらえない?」って言ってきたんだ。

俺はその頃はまだ彼のことを悪く思ってなかったし、家族を残して一週間も家を空けていたことは可哀想にも思ったから自分の車を出して会社までそいつを迎えに行って、そこから20分くらい離れた奴の家まで送って行ったんだ。ホントに好意で快くだよ。

車のトランクにはそいつが他県で買い込んできた缶詰やら食い物を詰めた段ボールが載ってる。ちなみに会社からそいつんちまでの電車はその時すでに運行を再開してたから、帰ろうと思えば電車で帰れたんだけどね。

彼の家に着いたら「上がってく?」って聞かれたから特に意味もなく上がったんだけど、何か出される訳でもなく、彼からも奥さんからも特に畏まった礼もなく、10分ほど話して「じゃあ帰るわ」って言って帰ってきたんだ。

それから1週間ほど経った後。

まだガソリンもガスも通っておらず、2週間近く俺も妻も風呂に入れていなかった。あの頃うちの周りや会社の人達は皆同じような状況だったと思うけど。

車で送ってあげた同期が何回か「俺の家は湯沸かしポットが二台あって、それを風呂釜に溜めて風呂に入ってる。もし必要なら貸してあげるよ」って言ってくれてたんだ。

うちには湯沸かしポットが無くて、俺はともかく2週間も風呂に入ってない嫁が可哀想になってきたから、ある時その同期に「ホントに湯沸かしポット貸してもらえる?」って聞いたんだ。

そしたらそいつが露骨に嫌そうに

「貸してもいいけどいつ返してくれるの?俺もそれがなかったら風呂入られないから、今日中に返してくれるなら貸してもいいけど」

って言ってきた。

もうその言い種聞いて呆れて腹が立って、「じゃあいいや」とだけ言って結局湯沸かしポットは借りなかった。「あぁこいつはこういうヤツなんや」ってその時ハッキリ分かった。

その件があってから俺はそいつを絶対に信じないようになったわ。今も普通に会話はするけど、あの時のことは絶対に忘れないだろうと思う。二度とそいつに何かを期待はしない。

 

 

父親に愛人が居ることがわかった

父親の死亡確定から毎日が修羅場だった

震災で父親が出張先で津波に飲まれて行方不明になった。この時は喪失感でいっぱいだった
だけど3ヶ月経って希望も失せ始めた頃、父親のパソコンから信じられない事実が発覚した
父親が外に愛人作ってた。しかも2家族3人の子供が居た
Blogにうちの愛犬1匹と愛人家庭の犬、そして愛人家庭の子供たちの写真が映ってた。見つけた母絶句

サブの携帯から連絡先が分かったので向こうの家庭を調べたら、案の定父親に愛人が居ることを知らなかった
その時、向こうは自分が本妻だと思ってたらしい(本妻は自分の親)
(婚姻するとき二人で役所に行かないもんなの?)

老後のためwとか稼ぎが良い割に結構節制してたからなんかおかしいなとずっと思ってた
去年秋に収容されてた遺体の一部が鑑定の結果父親のものと判明して死亡が確定。一区切りついて集まって遺産分け
本当はそ知らぬふりしても良かったんだけど、母がそれじゃ向こうの人が困るだろうからと遺産も法に則って分割になった
これで終わると思ってた

ところがすぐ後から震災孤児の歳が一回り以上も離れた小さな異母兄弟(妹)もいることが判明
身寄りもないしほっとけないからと母が引き取りを決意。遺産も換金して正式に分けた
色々親族とももめたけど今年に入って本人の希望もあって春から引き取ることになった
正直複雑だし、父親が自分達を裏切ってたことは間違いないけど
母はもう一人娘が出来て今は嬉しそうだよ…最初虐待するんじゃと一瞬でも疑った自分が今はすごく恥ずかしい

愛人外に作るのは勝手だけど、せめて整理してから行けよ。今愛人作ってる奴は特に

 

美容師の元彼が被災地を見て一言

過去に婚約までしてた彼氏の話

元彼は美容師だった
若い頃から付き合ってて、彼が30代半ばでやっと独立の目処が立って
自分のお店をオープンする際にプロポーズされて承諾した

両親の挨拶の日程を調整してる頃に、3.11の震災が起きた
私達は西日本在住で、震災の被害はなかったけど
震災直後に「結婚します♪」なんて不謹慎なので
式は半年は一年後にしようという話でまとまった

ある日彼とテレビを見ていたら、被災地の状況が映し出された
当時まだ被災者の方々は公民館や体育館住まい

「子供の紙オムツが足りない」
「体育館でプライバシーがない」
等、被災者さんが不満を訴えていた

そんな時に彼氏が言った一言

「お婆ちゃんはともかく、40代以下の女性が汚い。ありえない。
女性だったら1カ月に一度は美容院に行ってきれいにしてあたりまえ」

意味がわからなかった

「衣食住に困ってる状況の人だよ?
この人達だって、地震の前はちゃんと美容院に行ってたかもしれないよ?
家も服も化粧品もヘアケア用品もみんな流されちゃったから髪がボサボサなだけだよ?」

それに対して彼は

「食べる物は配給みたいに配られてるでしょ?
家は流されたかもしれないけど体育館で寝れてるじゃんw
着る物だって裸の人は誰ひとりいないよ?」

「いや、それは美容師さんの観点かもしれないけど
例えば急に失業したら、私だったら家賃光熱費食費交際費よりも
美容費を削って美容院に行く回数を減らすよ?」

「だったらそんな状況でこそ、美容院に行ってきれいになって明るい気持ちにならなきゃダメじゃん?」

全く話にならないというか、彼の持論は微塵も揺らがず、私がおかしな主張をしてるかのような錯覚さえ覚えた

 

私は彼氏が美容師だったから、毎月必ず美容院に行ってた
そして美容院オーナーの妻になったら
育児に追われて頭がボサボサだったり
所帯じみた主婦になって、ボロボロの格好で地元を歩いちゃいけないな
と個人的な覚悟はしていた

でもそれは美容師の妻(予定)の私の勝手な心構えであって
一般の人に要求するものじゃない
ましてや被災地の人に「美容院を最優先に!」ってのは間違ってる

でも思い返してみれば、街を歩いてる他人を見ては
「あーすごいプリン、あれは半年以上染めてないね、ありえない」
「うわーあの人パーマとれかけ、なんでコテで巻かないんだ」
「うわーあの人頭爆発してるわ、なんでストパーかけて毎日ブローしないんだろ?」

と職業が美容師で脳内が小学生みたいな発言が多々あったなと思って
こんな人と一緒に生きていけないわと婚約破棄した

美容師さんって接客業でいろんな業種の人と話をするし
私も美容師じゃなくて普通のOLで
前の彼女もOLだったから、普通の人の生活もわかってると思い込んでたけど
美容師村で美容師しかいない環境で生きてきた別の生き物に見えた

衣食住より美容院!
被災地の人も第一に美容院!

こんな考えで独立してオーナーになっても、そんな美容院潰れるわ

私はその後別の人と結婚して子供も生まれたけど
美容師の元彼からロミオメールが来たので、思い出しカキコ

「僕の可愛いうさぎちゃん、お久しぶり。うさぎちゃんのおへそはまだ曲がったままかな?
僕の腕の中の気味の指定席はまだ座れるよ。寒くなってきたからうさぎちゃんを温めてあげるよ」

ええとですねー、交際中もうさぎちゃんなんて呼ばれたこともなかったですし
私は170オーバーの女なので、うさぎのような小動物に生涯例えられたことはないです

 

 

震災で旦那が不倫相手と車で流されて発見された

ようやく書き込めるぐらい吹っ切れたので自分の修羅場を厄落としに投下

先の震災で旦那が不倫相手と車で流されて発見された時が修羅場
その日は旦那が有給を取っていて、私が職場に連絡したとき出勤していませんって言われた時も脳内修羅場だったけど。

W不倫だったから、相手側の旦那さんも気の毒だった。うちの車だったしね。
慰謝料請求しようにもどっちも死んでしまってるし、やるせなさで死にたかった。
葬式終わってすぐ私はその土地から逃げた。今は別の土地で暮らしている。
最近ようやく地震の映像見ても泣き叫ぶことはなくなった。でも二度と結婚しないと思う。

後出しになるかも。
実は相手側の旦那が浮気の証拠を握ってたんだ。震災があった週末に話し合いをするつもりだったらしい。
レポートにまとめられた旦那の姿を見たらすぅーっと悲しみが冷めていったよ。
遺品整理もしてない、家も流されたしね。本当にすべて捨ててトンズラしたんだ。
火葬場が予約でいっぱいで、葬式出来たのがGW過ぎたあたりだったんだが、この辺りに記憶は本当に薄い。
比較的被害が少なかった実家に避難して生活したのは覚えてるけど。実父が手続きとか全部してくれた、感謝してる。

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