『オウンゴールを決めた』など短編5話|スカッとする話 まとめ – 傑作選

『オウンゴールを決めた』など全5話 |スカッとする話 - 傑作選 - 短編まとめ

 

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スカッとする話 短編5話 まとめ

 

 

見事にオウンゴールを決めた

昔知的障害をもった子がサッカー部にいてな
でも皆から邪険にされず(それでも子どもの障害者意識みたいなものはあったけど)仲良くしてて
そいつはゴールがどっちかもわからないのにがんばってて・・・

ある日接戦で2-2の試合をしていたんだ
でも大切な試合じゃないし、良い経験になるからって全員とっかえひっかえで出してたんだけど
試合の終了直前、俺がバックパスをその子にだしたのね
そしたらその子見事にオウンゴールきめちゃったわけ
敵もその子が障害者だとしってたみたいでクスクス笑ってた

んで、サッカーのことになると切れだすキャプテンが発した言葉が
「すげえよ○○!大逆転だ!!」
皆それに続いて
「ナイス○○!」とか言ったりハイタッチしたりしてた

相手のポカーンとした顔とその子の嬉しそうな顔は今でも忘れられない

 

 

順位をうやむやにすることには反対です

ゆとり教育に転換するちょっと前だから20年くらい前の話?
以下、伝聞。

通っていた小学校で「運動会で順位付けするのをやめよう!」みたいな議題が持ち上がった。
曰く「運動が苦手な子がかわいそう」
そして総会だかなんだかで、広く意見を求めたときに立ちあがったのが私の母。

「うちの子たちは運動が苦手で、特に娘(私)はいつも最下位です」
この瞬間「ああ、こいつも賛成派か」みたいな空気になったそうだ。
それを見たうえで母は「ですが」と話題転換。
そこから始まる無双。

・娘は運動は苦手でいつでもビリだがそのことは割り切っている
・むしろ、運動が得意な友達の活躍を楽しげに話している
・何かに秀でている子が、そのことで褒められるのは当たり前
・いくら順位をうやむやにしようとしても、結果は出ているんだから意味がない……

とまあ、そんな感じのことを滔々と。

「と言うわけで、順位をうやむやにすることには反対です」で結んだ途端拍手。
それをきっかけに反対派の意見が飛び出し、結局、順位付けは残るままとなった。

 

 

クレーム対応

私はとあるSCに勤務している。
去年ある上司が定年退職した。

この上司をAさんとするが、Aさんは聞き上手の話し上手で、もの凄くクレーム対応が上手かった。
どんなキチ入ったクレーマーもAさんが対応すると納得して穏やかに帰って行った。
とある常連キチクレーマーの男性が言った
「Aさんは呼ぶな!納得させられちまうだろうが!」という言葉は今でも伝説になっている。

部下に慕われ、上司に頼られていたAさんは惜しまれながら退職した。

そしてAさん退職後のある日、とあるセコママがやってきた。
このセコママ、常連クレーマーで来ると必ずクレームを入れる。
重箱の隅をピンセットでつつくような細かさで、なんとかして値引きさせようとしつこくしつこく粘ってくる。
お取替えしますと言っても安くしろの一点張りで、どうにもならない。
いつもはAさんに対応してもらっていたが、もうAさんはいない。
頑張らなくてはと顔面に笑顔を貼り付けてがんばっていたのだが、
セコママが「お前じゃ話にならない、Aさんを呼べ!」と叫びだした。
Aさんはいないので店長が来たのだが、Aさんを呼べAさんを呼べと唾を飛ばして喚く喚く。
仕方がないのでAはもうこの店には居りませんと店長が言うと、
「どこの店に行ったんだ、教えろ!」と荷物放り出して店長に掴み掛かった。
髪を振り乱しつつ物凄い形相で叫ぶ異様な姿にみんなドン引きでどうしていいかわからない。
とりあえず内線で応援を呼んだのだが、応援がかけつける前に店長が「退職です定年退職!」と叫んだ。

もう店長の顔は引っかき傷だらけで、血も出てた。
店長の言葉にママはさらにヒートアップした。
「嘘つけ!Aさんが定年なわけあるか!」←Aさんは十は若く見える人だった。
「大体本当に退職するんだったら私に何か一言あるはずでしょうが!」
「あんた私とAさんを引き離そうとしてんの!?」
「Aさんを出せ!AさんAさんAさん!!!」
ということを絶叫しながら店長突き飛ばして大暴れ。
かけつけた警備員さんに取り押さえられ、最終的にKにお持ち帰りされた。
一緒にいたセコママ子が無表情にぼーっと突っ立っていたのがセコママの狂乱っぷりと比べてやけに印象に残っている。
後でAさんに確認したが、ママとは店以外では会ったこともないそうだ。
セコキチママの旦那に浮気を疑われてAさんはだいぶゴタゴタしたらしいが、退職後はAさんと全く会っていないので詳しい話は知らない。

Aさんはキムタクが順当に年くって渋くなった感じの超イケメンで、低音美声の持ち主。
このひとに頼めばどうにかなるだろうって思わせる雰囲気の持ち主で、実際どんなトラブルも何とかしてくれる頼りになる人だった。
同僚たちの間で、Aさんは宗教の教祖になれるよね、絶対向いてるっていう話が出たこともあるし、先輩や店長にも同意された。
Aさんは確かに神がかり的にクレーム対応の上手い人だったけど、Aさん退職後常連クレーマーによるクレームががたっと減った。
Aさんが退職しましたと聞くとあからさまに肩を落として、二度とクレームをよこさなくなった人もいた。
Aさんの連絡先を聞いてきた人も一人や二人じゃない。
目的がクレームを入れることからクレームを入れてAさんと話すことに変わっていた人が結構な人数いたことに驚いた。

日ごとのクレーム件数があの頃の半分になったので厄落としカキコ。

 

新型車のリコール

某自動車メーカーで働いているんだが、当社の新型車にリコールクラスの欠陥があることが判明した。

すぐに重役会議が開かれたが、
開発担当重役は
「定期点検や車検のタイミングでこっそり部品交換しておきゃわからない」
と問題のもみ消しを提案した。
会社の体裁を重んじる意味もあるが、自身の保身を考えた発言だろう。

この提案を呑めば会社はユーザーを危険に晒したまま放置し、悪徳企業と成り下がってしまう。
ここで重役ではないが、社長命令で出席していた総務の担当者が口を開いた。

総務「常務は先日お孫さんがお生まれになったそうですね」
常務「ああ、初孫だが、それが?」
総務「お孫さんを欠陥のある新型車に安心して乗せられますか?」
常務「!?・・想像力が鈍っていたようだ・・・すぐにリコールを発表しよう」

こうして欠陥部分はすぐに解決された。

 

 

女子高生の頭に本をのせて読んでいるオッサン

この前電車に乗ったら、座っている女子高生の頭に本をのせて読んでいるオッサンがいた。
女子高生はおとなしそうな子で、小さな声で「やめてください・・・」と言っているが、オッサンは全然やめようとしない。

そうしたらちょっと離れたところに立っていたよぼよぼの爺さんが移動してきて、オッサンの頭にでかい鞄をヨイショとのっけた。
オッサンが「何をするんだ!」と怒鳴ると、爺さんは静かに
「君だって人の頭に勝手に物をのせているじゃないか。自分がされて嫌なことを、どうしてよそのお嬢さんにするのかね?」
と言った。

オッサンが激昂した様子で「この女が若いくせに座って席を譲らないからだ」とかなんとか言うと、爺さんはまた静かに言った。
「直接言わずに頭にものをのせても何も伝わらないだろう。大人ならちゃんと言葉で言いたまえ。それと、このお嬢さんは脚を怪我しているよ。」
確かに女子高生の脚には包帯が巻かれていた。

「私だって立っているんだ、君はまだ若いんだから怪我人を座らせて立っていなさい」
オッサンは真っ赤になって爺さんを睨みつけながら舌打ちし、別の車両に移動していった。

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