『小デブとリヤカー』スカッとする話【長編- 名作まとめ】

【長編- 名作】スカッとする話

 

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【長編- 名作】スカッとする話

 

小デブとリヤカー

 

腹が立ったので小デブを乗せてリヤカーで走ってきた。

うちの団地は自治会・婦人会・子ども会・老人会と色々な団体があり、婦人会と老人会は合同で月二回ほど団地内の廃品回収を行っており、その収益はこの2つの会の活動資金に充てられているそうだ。

 

私は婦人会とも老人会ともほぼ接点は無いが、同じ棟に住んでいる婦人会の会長が廃品回収の参加人数が減ってきて困ってるというので、とりあえず3月だけの約束で私も回収に参加する事になった。

 

集合場所から近い棟は歩いて回収するが遠い棟はリヤカーを使うそうで、私は「若くてデカいから馬力があるだろう」という理由でリヤカー班に回され、私と小デブさんと小さくて細っこいおばあちゃんの3人1組で回収に出発した。

 

ばあちゃんはたまに膝が痛むらしく、その日もちょっと痛いと言ってたので、「リヤカーの上で荷物を並べる係」ということにして荷台に乗ってもらったら、何故か小デブさんまでばあちゃんと一緒に荷台に乗った。

二人も乗ったら重いです、と言ったが「若いんだから力あるでしょ~」とか「私も膝が良くないのよ~」とかほざき一向に降りてくれないので仕方なく2人を乗せたままリヤカーを引き、最初の廃品収集場所に辿り着いたけど、小デブさんはまったく働かない(でもあれをやれこれをやれと口は出す)。

 

なんかもう文句言うのも面倒臭くて一人で回収とリヤカー引きをこなしつつ3つある収集場所を回り終え、やっと集合場所に戻ると小デブはそこにいた会の人たちに大声で「あのデカい人よく働くから今日は楽だったわ~」とか「膝痛さん(ばあちゃん)全っ然役に立たなくてダメだわ~」とかって笑ってた。

 

ばあちゃんは居辛そうにしてて、慰労のお茶会にも参加せず帰ってしまった

そして次の回収日にばあちゃんはこなかった

その日も私はリヤカー班だったが、一人足りないから私も一緒に行くと婦人会会長が駆け寄って来てくれたのに「この人よく働くから2人で平気よ~」と小デブさんは私には何の了承も得ぬままリヤカーを引っ張って回収に向かった。

 

そして集合場所から見えなくなる2号棟を回った辺りで小デブさんはまた当たり前のようにリヤカーの荷台に乗り込み、はよ引っ張れと要求しだした。

そして3つの収集場所をすべて回っても小デブはやっぱり働かないばかりか「アンタ北海道のばんば?みたいだわ~w デカいしww」とゲラゲラ笑い「はいしどーどー!そーれ!はいしどーどー!」と調子こき始めたので、そこからは小デブを振り落とす勢いでリヤカーを引き全力でつっ走った。

 

新聞や雑誌といった廃品+小デブでリヤカーは結構な重量だったが、一旦勢いをつけて引き始めるとその重量が前に押し出すような力になった。

なんか凄いスピードが出てる上に道の舗装があまり良くないのもあって、リヤカーはバンバン跳ねて、小デブはリヤカーの上で転げ荷物にぶつかり、止まれ馬鹿!このキチガイ!と何度も叫んでいたが気にせず力任せにつっ走り、ぎゃーぎゃー喚く小デブの怒声に負けぬよう大声でドナドナを歌いながらひた走り。
皆が待ってる集合場所の前をすり抜け、持てる力すべてをリヤカーを引く力に変えただひたすらに団地内を全力で走り回った。

 

その後のお茶飲み会で婦人会と老人会の会長に事情を話したところ小デブさんは婦人会会長にちょっと怒られ、お茶菓子に出た生チョコをひと掴み分ティッシュに包んで鞄に入れ、プリプリしながら帰っていった。

 

私も老人会の会長に「危ないから走っちゃダメだ」と怒られたが、老人会の人達があんたすごい力だねーと笑いながら生チョコをたくさんくれた。

あと何でか知らんがその日の晩に膝痛のばあちゃんがうちに来て、息子さんが送ってくれたという不知火をたくさん分けてくれた

 

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