『俺のツレが成り上がった話』スカッとする話【長編- 名作まとめ】

【長編- 名作】スカッとする話

 

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【長編- 名作】スカッとする話

 

俺のツレが成り上がった話

復習てか、俺のツレが成り上がった話

中学のころAが転校して来た
見た目ガリガリでボロい学ラン、どう見ても貧乏だった
ウチの中学は普通の市立だったけどちょっと特殊な学ランだったのね
Aの学ランは転校して来た後もそのまんまで、そのうちクラスの一部から
学ランも買えない貧乏人と虐められるようになった

 

ウチの中学はヤンキーとかも存在せず平和だったが番長(笑)グループはあった
俺もその中の1人で、そこそこ勉強も出来たし目立ちたがりだったし、
クラス会長もやってた、そしてウチも貧乏だった(笑)

なんとなく俺はAに話しかけた
クラス会長ってのもあったけど貧乏人のシンパシー(笑)を感じたからだと思う
Aはあまり喋らないけどいいやつだと思った

そこから俺達は仲良くなった
だがAは相変わらず虐められていた

俺がAに、アイツらシメてやっか?と言うといつも
あはは、気にしなくていいよ
と優しく笑っていた
だから俺も気にしないようにした

Aの家は母子家庭で結構家は近所だった
うちは二親だったけどオヤジが昔気質のダメ職人で
働かなかったから貧乏だった、でも家族仲は良かったよ
Aを何度かウチに連れて行くと俺の両親が気に入ったらしい
お袋曰わく、アンタにも真面目そうな友達出来たんだねぇと喜んでいた
そしてお袋は俺の古い学ランを直してAにあげたり
Aのお袋さんはずーっと働き詰めだったのでウチにメシを食いにくるようになった

Aは相変わらず虐められてた

俺は学校では番長(笑)グループと遊んでたから
俺とAが仲良くしてるのがあまりわからなかったからかも知れない

一度、Aの上履きがズタズタにされて俺がブチぎれて
アイツらぶっ飛ばす!となった時もAはやめて、仕方ないよと俺を止めた
俺は初めAを腰抜けだと思ったが、そのうちコイツは大人なんだと尊敬するようになった

Aは勉強出来たし良く勉強もした
俺はそこそこ勉強できたがただポテンシャルだけだった
そんな俺にAは勉強を教えてくれた
今でも偏差値って概念かはわからんけど
当時Aの偏差値は70越え、俺はAに勉強を教わり
偏差値アップして65くらいだった

 

そしてAは苛められてるまま受験シーズンになり
Aは県内外れの有名私立に勉強で特待生
俺は近所のそこそこの県立に決まった

Aを苛めてた奴らは大したことない学校だったよ
当時は先生が、アイツはどこどこ合格とか言っちゃうし
特にAの事は先生が誇らしげに言い触らすから
やっかんだくそどもに益々苛められたみたいだった

卒業が決まりAは引っ越して行った
俺とAはヤクザ映画の真似事の兄弟杯を交わした
Aが兄で俺が弟(笑)

俺のオヤジの焼酎でやって背伸びして飲んで2人酔っ払った
で、2人でオヤジにぶんなぐられた(笑)

引っ越しをウチの家族と俺ら番長(笑)グループで手伝ってさ
みんなで号泣して別れたよ
その頃にはAは俺たち落ちこぼれグループではヒーローだった
あんまし喋らないけどアタマいいし俺たち番長(笑)グループでは
ハカセってアダナ付けられてたしね(笑)

その後俺たちは全然会わなくなった
県内とは言え遠いしさ、俺は高校生活楽しかったし
オヤジが病気になって死んだり
バイトが忙しいのと楽しいのとでね

 

Aからは時期折々に手紙が着たよ
そして俺は東京の三流私立大学に合格
Aは地元の国立大に入学した
俺はお袋が死んだりいろいろあってダブったけどなんとか卒業して
そこそこの会社へ
Aは一流企業にすんなり入り
お互い社会人として頑張ってた
で、それから10年くらいかな?
あの不景気で俺の会社は潰れた(笑)

俺は残務処理をしながらどうしようか途方に暮れた
独り身だし親兄弟もいないから気楽だったけど(笑)
で、俺はAに会社潰れた(笑)月末にでもお前の家に遊びに行くってさ紙を出した
Aにはもう十年以上会ってなかったし故郷が恋しくなったんだな

手紙を出した3日後の夜
社宅代わりのマンションに帰ると玄関前に高級国産車が止まってた
俺は最初どこかの業者がウチの社員に追い込み掛けにきたのか?ってビビった
俺が恐る恐るその車の脇を通ると運転手が降りてきて
その車の後部ドアを開けた
下りてきたのは高そうなスーツを着たAだったよ

俺はビックリして思わずAをひっぱたいた、動転してたんだな(笑)
でも恰幅良くなって老けたAは笑って
俺久しぶり、迎えに来たんだよ。って言った


俺はよくわからずAを部屋に迎え入れた

Aはウチの地元の有名な老舗の寿司と、それに似合わない安い焼酎を手土産に持ってきた
その寿司なんて、俺らガキの頃からしってても食ったことねーよ!
とか子供に戻った気分で話ながら食べて呑んだ
そしてお互いの今までの人生を話した

Aは俺と同じ業界にはいって社会人として大学院にも通い
その後幾つかの特許も取ってその業界で少し特殊な所を専門にやる会社を設立したらしい
で、今は景気悪いし儲けてはないけど健全経営で頑張ってる、と
で、俺と一緒で独身
優しかったAのお袋さんは会社設立の二年前に亡くなった、と
お袋にはいい想いさせてやれなかったとAは泣いた
俺も泣いた

酒も進み、寿司もなくなる頃Aが語りはじめた
なあ、俺、この酒覚えてるか?ってさ

俺は、何のことだよ?って答えた
するとAは笑いながら
相変わらず俺は物覚え悪いな、これは2人の兄弟杯の酒じゃないか!って言ったよ
俺はそれを思い出して、懐かしいな、って笑ったんだ
そしたらAが急に真面目な顔で正座して俺に頭を下げて言うんだよ
兄弟、今までありがとう!余計なお世話かも知れないけどもし良ければ俺の会社にきてほしい
恩返しとか言うつもりはない、
でも、俺はお前と一緒にやりたい!
っていうんだよね
泣いたね、いい年こいたオッサンが号泣、
2人抱き合って泣いた
なんか気持ち悪いけどな(笑)

俺もAに頭下げて
ありがとう兄弟、是非お前を手伝わせてくれ!って言ったよ
そのまま二人で麻布にいって朝まで呑んだよ

そっから先はトントンびょうしで話は進んで
俺はAの会社に入った
Aの会社はウチの地元だったからやりやすかった
Aは俺に同業の経験者だったからあるポストを
用意してくれてた

 

でも、流石に断ってヒラからやらせてもらったよ
なんか意味不明の手当てがついてて結構最初から高給気味だったのは秘密(笑)
それに俺もいた番長(笑)グループにいたBも社員としていたのは笑ったな
で、その後はAと時にはケンカしながら楽しく働いてる

まあ、復讐ってんじゃないけどさ
俺が入社した後に
中途採用で面接にきた奴がいた
それが昔Aを苛めてたひとりのCって奴だった
履歴書見て、どっかで聞いた名前だと思ったら
Aが笑いながら、ホント記憶力ないねー、俺を苛めてたひとりだよって言った
何故か俺も少し可笑しくて笑っちまった

俺もその時は形だけの役員だからAと一緒にCの面接したよ

面接の最初にAがCに
久しぶりだね、覚えてる?
って聞いたら、CはAだと知らなかったんやろね
気づいたみたいで口開けて真っ青になって
その節は…って絶句してたよ(笑)

結局、CもAは入社させた
目を見張るものはないけど最低限の経歴はクリアしてたしね
俺はAに、なんだ?昔の仕返しで飼い殺しか?って冗談で訊いたら
Aは、まさか、んなわけないよ(笑)
って凄く手厚く働かせてる

俺はAってヤッパリすごいわ、って思ったよ

クソながくダラダラ書いてゴメン
漸くAが結婚するってんで記念に書いた
Aは家庭にトラウマあったみたいだけど、それが吹っ切れたみたい
俺はトラウマないけど独身継続中(泣)

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