『一年以内に出来なかったら』スカッとする話【長編- 名作まとめ】

【長編- 名作】スカッとする話

 

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【長編- 名作】スカッとする話

 

一年以内に出来なかったら、そんな腐った畑など要らん

元義父(以下糞男)は物凄く横暴な人だった。
“元”とつけたのはその息子が既に“元”夫だから。

 

元夫とは職場恋愛での結婚だったんだが
彼も私も実家が地方で、糞男と会ったのは婚約の挨拶に行った時と
結婚前の打ち合わせで一度会ったきりだったし
その時は野良猫を被っていたらしく気付かなかった。

ただ、元夫から「うちの親父はクセのある人だから、言われたこととかされたことは
あまり気にせずに流してほしい」みたいな事言われたので
気難しい人なんだろうなとは思ってた。
そんな甘いもんじゃなかったけど。

 

新婚旅行から帰ってきて、翌々日から出社し
半月後の3連休に挨拶がてらお土産を持って帰省したときに
一番最初の修羅場があった。

元夫には「よく来たな」とニコニコ恵比須顔で歓迎していたが
私には開口一番「うちの嫁になったからにはワシに逆らうことは許さん」と言われた。

当時まだ24歳だった私には、それがものすごく怖かった。
しかもいくら自宅だとはいえ、家の中ではパンツ一丁。
目のやり場に困った。

 

義母には「お父さんの機嫌を損ねたら大変だから逆らわないこと!」と言われ
その頃まだ独身で実家住みだった義姉にも「とにかく波風立てないで」と言われ、
近隣に住んでるはずの義兄一家は一度も顔を出してこず、
この家はなんか変と思った。
披露宴の時にはあんなに仲睦まじい家族に見えたのに。

たった2日の滞在だったのに、外にある物置の整理をやらされ
庭の除草をやらされ、お風呂のカビ取りをやらされクタクタ。

その間元夫は見てるだけだった。

手招きで部屋から連れ出して「どうして手伝ってくれないの?」って責めると
「そんなことしたら親父に叱られる」と意味不明な言い訳。
それでも2日間だけのことだからと我慢した。
今思えば本当に若かった。

その後の帰省でもそんなことが何度もあって
さすがにもう義実家への帰省を嫌がるようになった。
でも夫は夫婦で帰省するのが当り前だと言って聞き入れてもらえなかった。

うちの両親は話で聞くだけだといまいちピンと来ないらしく
「嫁はどこもそんなもん。旦那さんの言うこと聞きなさいよ」とか言われる。

それで何人かの既婚の友達や先輩に相談したら、
「コッソリでもいいから避妊しろ」と言われた。

 

「この人となら子供を一緒に育てられると思えるまで子供を作っちゃダメ!」って言葉に
ものすごく共感してしまった。

元夫には「まだ子供を育てていける自信がないから」と避妊を提案したら
「そんなことできるわけないだろう?」と却下され
それでこっそりピルを飲んでた。

今思えばこの時点ですでに夫を信頼してなかったんだと思う。

3年目の帰省の時に、まぁ当然ながら子供が出来ないことを
元義父・元義母両方から責められた。

私は妹との2人姉妹、元夫は兄と姉、それに生まれて直ぐに亡くなった妹がいるので本来は4人。


たったそれだけの理由で原因は私にあるはずだと言われた。

いや、確かにできない原因はピル飲んでる私だけど、
できない原因がどちらかにあるとかそういう段階ではなく夫婦の問題と捉えてたし
元義父にどーのこーの言われることでもないと思ってた。

けど元義父の「一年以内に出来なかったら、そんな腐った畑など要らん」(リアルのこのセリフだった。忘れないわ)
と言う言葉にカッとなった。

その感情が表情に出てたんだろう、
「なんだその目は!」と猪木ばりに張り倒された。
耳がキーンとなって倒れ込んだ。

夫は見てるだけだった。

 

それでこの家にいるのはもう無理、帰ろうと思い荷物をまとめようとしたら
「話は終わっとらん、こっちに来んか!」と腕をガッと掴まれたので振りほどいたら
「嫁の分際でワシに逆らうのか!」と、もう手が付けられないぐらいに激高してた。

夫は見てるだけだった。

とにかくここから逃げたくて、立ち上がろうとしたところを
今度は脇から蹴り上げられて倒れ込んだら、柱の角に頭をぶつけて流血。
さすがにそれで慌てたらしく怯んだところを抜け出すように帰ってきた。

夫は見てるだけだったから置いてきた。
休日外来に掛けこんで診察してもらったら
流血の割には傷は大したことなかったけど、3針縫った。
念のため診断書はとった。

 

見てるだけのヘタレ夫には心底ガッカリして離婚を決意。
だけどただ離婚するのは悔しくて、何かしら夫に仕返しがしたかった。
受付やってる元同僚が口が軽いのは承知してたので(受付なのにw)
頭に包帯ネットしたままの状態で元職場を訪問。

案の定「どうしたの!?」と聞かれたので
「うん、ちょっとね・・・舅に殴られちゃったの」「えー!うそー!」
「マジ。もう、やんなっちゃう。腐った畑は要らないとか言われたし。
なのに旦那ってばヘタレで見てるだけなんだもん」「ええええ!」
はい、数日中に広まりました。

 

そしてその足で仲人だった上司がいる部署に向かい、離婚の相談をしました。
気持ちは既に固まってたけど夫の評価を落としたくて
そうなるまでの経緯を話したかったから。

その後、割とスムーズに離婚できた。
診断書をチラつかせて慰謝料も貰った。
元夫は、職場でヒソヒソされるのではなく
大っぴらに「ヘタレダンナ」と笑われ続けたのが応えたらしく
退職して今は田舎に戻っている。
私も離婚後は実家に戻って再就職した。
なんかもう結婚はこりごりって気持ちのまま、早5年。

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