日本人形
私:幼少の頃から虚弱体質で田舎にある父方の祖父母宅で育つ。
両親・姉:年に三度会えば良いくらい遠い存在。
祖母:曾祖母から受け継いだ日本人形を所有。
祖母は人形をとても可愛がっていた。
毎日お供え物を上げ申し、髪をすいたり手縫いの着物を着せ替えて話しかけたり……とても大事にしていた。
そんな祖母を見よう見まねで私も可愛がった。
最初は嫌がってガタガタ部屋を揺らしていたが、そのうちに諦めたのかおとなしく身を任すようになってくれた。
そう。この人形は認めた相手以外が触れると部屋をガタガタ揺らして怒るのだ。
それがたとえ収納されているガラス越しであっても。
それぐらいならまだ可愛いが、無断で持ち出した場合大怪我を負わせたりもする。
曾祖母の兄は片目を失ったとか、大叔父(祖母の弟)は質屋に売り飛ばそうとして片足を切断した
(この時非常に荒れて私のおやつのプッ○ンプリンを上げ申したらおとなしくなった)とか、曰く付きの人形なのだ。
時は流れて祖父が亡くなりしばらくして祖母も亡くなった。
遺言書には人形の持ち主に私が指名されていた。
曰く付きの人形だと知っている親戚一同は諸手をあげて賛成した。
後で叔母がこっそり話してくれたが、遺言書が無くても私に押しつけるつもりだったそうだ。
更に時は流れて私は就職した。
この頃には少々ハードな仕事もこなせるくらい健康になっていた。
そして昇進に伴い転勤。
親の家から近かったためそこに住むことに。
勿論大切にしていた人形と一緒に移り住んだ。
私の仕事は年に二回程繁忙期に入りその間は会社に泊まり込んで作業する。
転勤早々その時期に当たり二週間分の荷造りをし、人形には日持ちのしそうな柑橘類を上げ申して家を出た。
数日後胸騒ぎがし、時間がとれたこともあって一時帰宅。
お供え物を取り替えようとしたら無い!それどころか人形まで無い!
パニックになりながら両親の元へ。
「どうしよう。人形が消えた。ていうかいなくなった!泥棒?空き巣?何でよりによってアレなの!?」
「人形ってアレか?ばあちゃんの人形か?」
壊れたように首を振る私に青ざめる父。
そこへあっけらかんと母が言い放った。
「それなら孫ちゃんにあげたよ」
「何で勝手に人の部屋に入って人の物勝手にあげてるのよ!?」
「だって孫ちゃんが欲しがったから。あんたもいい年して人形遊びなんてみっともないからいい機会でしょ」
その言葉に目眩を起こしそうになった。
「……人形触った時に部屋揺れなかった?」
「そういえば結構大きな地震があったわね」
怒っている。完璧にあの人形怒っている。
焦りで泣きそうになっている所に電話が鳴った。
電話の相手は姉で、自損事故を起こしたこと、自分は軽いムチウチで済んだが姪は足を骨折したことを告げて切れた。
「あの人形は曰く付きなの。お祖母ちゃんがわざわざ遺言書で私を指名したのはそのためなのに……骨折だけで済んだのは不幸中の幸い。わかったら早く返して!」
時間が無かったこともあり後のことは父に頼んで会社に戻った。
それから約一週間。
無理矢理一段落つけて家に帰るとげっそりやつれた母と姉がいた。
二人とも首にスカーフを巻いていた。
姉はともかく母がスカーフなんて珍しい、と思ったら理由があった。
夢の中にあの人形が出て来たらしい。
最初は少女の姿で遠くから後ろ向きに「お家に返して」と泣いていたらしい。
母は私の言葉も父の言葉も信じておらず、それは姉も同様だった。
同じ夢を見ても気のせい、偶然で済ましていたそうだ。
いつの間にか姪の枕元にあった人形にも特に気にはしなかったとのこと。
ところが姪が原因不明の高熱にうなされるようになった。
それにあわせるかのように少女が徐々に近づきながら振り返ってくる。
最後には「家に帰せー!!」と言いながら首を絞められたそうだ。
慌てて飛び起きると母・姉・姪の首には小さな手形が……
さすがに気味が悪くなって姉は人形を捨てたが、次の日の朝には姪の枕元へ。
ここでようやく父の言葉の意味を悟り返しにきた、ということらしい。
返品された物の中にはCDやDVDBOXもあった(こちらはオクで売ろうと姉が持ち出していた)
全然気づかなかったよorz
これに懲りたら二度と私の部屋の物を勝手に盗っていかないこと、姪をきちんと躾ること、他でやったら警察沙汰なことを言い聞かせ念書を書いてもらった。
やっと手元に戻ってきた人形は酷く荒れていて、髪をすいてもガタガタ。
着物を着替えさせてもガタガタ。
大好きなはずのプッ○ンプリンを上げ申してもガタガタ。
やけになって耐熱ガラスボウルにいっぱいのカスタードプリンを作って上げ申したら、やっとおとなしくなってくれた。
とりあえず仕事が落ち着いたら会社の近くに引っ越すつもりだ。
後出しでスマンが説教している間、母も姉もぶーたれていたのでサクッと姉夫に連絡した。
そしたら念書を書かせてくれと言われたんだ。
普通に暮らしていたら念書なんて関わってこないと思うんだが……
父と姉夫には悪いが火の粉が飛んでこない内にCOさせてもらう。
御祓いについては全然考えていなかった。
ガタガタも含めて私にとっては可愛い娘だからなあ(´・ω・`)
姪の躾に関しては、欲しがれば何でも手に入ると思わせるのは良くないと思ったんだ。
その前に母と姉の躾が重要だけど。
それは父と姉夫に任せて逃亡するよ。
–後日投稿–
誰もいないようなのでちょっと愚痴らせて欲しい。
去年の今頃に泥ママスレに姉に曰く付きの人形やらDVDなどを盗られた、と書いた者です。
とうとう姉が離婚し前科がつくことが決定したようだ。
伝聞形なのは叔母(父の妹)からの又聞きだから。
人形の盗難騒動以来すぐさま恥を忍んで上司に相談し、とりあえず会社の仮眠室に寝泊まりしながら部屋探しをすることになった。
親にばれないよう少しずつ荷物を運び出し(もともと引っ越ししてきたばかりな上にほとんど荷解きもしてなかった)すべて終えてから携帯の番号とメルアドを変えた。
友人はともかく会社や取引先に変更のお知らせをするのが一番やっかいだった。
叔母にも事情を話し、両親との窓口になってくれることを快諾してもらえた。
しばらくは平穏な日々が続いたが、どうやって調べたのか両親が会社に凸をかましやがった。
その時ちょうど私は本社での会議に出席するために留守にしていて、対応してくれたのは勤務歴数十年のパートのおばさん。
会社の仮眠室に引っ越ししてきたのを不思議がられ、愚痴と共に根回しをしていたのが役に立ちうまく追い返してくれた。
恐縮することしきりな私に対し、あんな親を持つなんて大変だねと同情されてしまったがいったい何しでかしたんだ?
恐る恐る聞いてみた話を要約すると
「○○(私)を呼べ。居ない!?どうせ居留守だろ。居るのはわかってんだ。本当に居ないのか?だったら弁護士を紹介しろ」
わめき散らしていったそうだorz
もう情けないやら申し訳ないやら……
落ち込んだ私をおばさんは
「借金取りに比べたらあんなのはかわいい方だよ」
と慰めて?くれた。
実はこの会社の建物の元の持ち主は不倫した挙げ句、多額の借金を抱えて駆け落ちしたそうな。
新しい持ち主(前の持ち主の親戚)からうちの会社が借り受けても電話番号は変更せずにいたため、数年たった今でもその筋の怖いお兄さんらしき人達から所在確認の電話がかかってきたりしているのだ。
横道にそれてしまったがその後叔母の方には、両親からひっきりなしに連絡が入るようになったそうだ。
用件は姉がママ友達の家から様々な物を盗み、オクや質屋で売り飛ばしていたことが発覚した。
このままでは前科がつく。
何とか示談ですませるためにお金を工面してもらえないか?
それと弁護士も紹介して欲しい。
○○(私)にも連絡を取って協力させろといった内容だったそう。
当然叔母は断固として拒否したが、両親は親戚中に電話をしまくり急遽親族会議が開かれることに。
私も強制参加させられた。
会議はもめにもめた。
結婚を間近に控えた親戚は
「一族から前科者がでるなんて!縁談に影響がでたらどう責任をとるんだ」
と怒り心頭。
一方では「前科者を出すくらいなら土地家屋売ってお詫びしろ」
という者あり、「これから親戚付き合いは一切しない」と宣言する者ありで……
この時姉夫は土下座したままだったが何とか事情を聞き出すと、姉の盗癖に気づいたのは結婚してから。
○○スーパーと印字されたトイレットペーパーや芳香剤を見かけて気づいたそうだ。
ただその時はたかだかこれぐらいの物で目くじらをたてるよりは、と円満な生活を選んでしまった。
ところが子供が産まれ成長するに従って、家の中にどう考えても見慣れない物が増えていく。
そのうちに凸をくらうようになりそのたびに念書を書いて済ませてきたが、今回は被害額が大きいことと被害者の方にとって、形見にあたる品物だったため騒ぎが大きくなってしまった。
まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。
これ以上姉とはやっていけない。
子供は自分が引き取り育てる。
だから弁償額に足りない分を援助して欲しい、と言って泣き出した。
しかしこの姉夫の発言は火に油を注いだようで、親戚中から
「気づいていながらなんで注意しなかったんだ」
と責められていた。
結局「援助はしない。一族から前科者がでても仕方ない」
という結論に達し会議はお開きになった。
その後、叔母から姉がごねたものの離婚は成立、親権は姉夫へ、姉自身は執行猶予中にも関わらず万引きをして塀の中へ入ったと聞いた。
人形を盗まれた時にもっと厳しい対応をしていたら……と思うと悔やんでも悔やみきれない。
赤の他人のような存在でも一応は血のつながった姉が犯罪者だなんて嫌すぎる。
以上吐き出し失礼しました。
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