切ない話 Vol.15
時計の針は逆戻し出来ない
先週の日曜子供と少し遠くのホームセンターに行った時、10年前に別れた元嫁とばったり会ってしまった。
他県に住んでるはずなんだがどうしてここに?
確か裁判所で最後に会ってから9年ぶりぐらいか・・・?
俺を見て子供をじっと見ていてこちらがやっと気が付いたほど変わっていたなあ・・・
俺も人の事は言えないんだろうけど老けていたなあ。
みすぼらしくしかも小さく萎んでいたよ。
子供に満面の笑みで
「○○君、まあ大きくなって・・・」
と言って涙ぐみそうになるところも痛痛しかったなあ・・・
少しだけ立ち話をしたが家出してまで一緒になった間男旦那と別れて実家に帰って来ているとの事。
もう3年になるらしいが全く知らなかった。
恩讐も10年ひと昔、もううらみつらみは無かったなあ。
ただ
「頑張って」
とだけ伝えた。
帰りの車で息子に
「あのおばさん誰?僕の知ってる人?」
って言われた。
不憫に思うがもう時計の針は逆戻し出来ない。
「ああ、昔の知り合いさ」
と俺は答えた。
僕とお付き合いしてくれませんか?
とある病院の病室で耳にした会話。
入院中の認知症のばあちゃん(常にニコニコ顔)と、
会いに来たじいちゃん(強面で、足を引きずりながらやってきてた)。
じ「こんにちは○○さん」
ば「あらまた来た!あんた、いつも来るけど誰なのさ」
じ「さぁ?誰でしょねw」
~途中略~
ば「あんた、よく見るとうちの父ちゃんになんだか似てるねぇ」
じ「そうですか、旦那さんは良い男なんですね」
ば「なーにを言いだすかww」
~のほほんと会話~
じ「ところで旦那さんは?」
ば「・・とうの昔に死んだよ」
じ「そうかそうかwww」
じ「なら○○さん、今は独身なんねw」
ば「そうだよぉへへへ」
じ「・・・ゴホンッ、○○さん」
ば「・・・・?」
じ「ならば、僕とお付き合いしてくれませんか?」
ば「・・・・・・・喜んでw」
そう言いながら嬉しそうに泣きだすばあちゃん。
喜びながらもちょっと複雑に微笑んでいたじいちゃん(旦那さん)が切なくて、自分も泣いてしまった。
みんななかよし
父親が借金を残したまま失踪。母兄俺妹の4人で生活してた。
母は夜まで仕事で帰らないし毎日の様に借金取りが来るから3人でいつも押し入れに隠れてたなぁ。
ある日、学校から帰ると入り口に偉そうなオジサン&借金取りが居て、顔を知られてた俺は逃げようとしたけど捕まえられた。
殴られるのかと思ったら、そのオジサンが兄弟はどうした?飯食ってるのか?と今まで見たこと無い位のハムや野菜とかの食材と何故か子供服をくれた。
夜になって母親が帰ってきた。何故か手には駄菓子やたくさんの食材が。
そう、ついに母は約5年かかって完済したのだった。
これからはたくさん食べようね、いっぱい遊びに行こうねと母が初めて俺たちの前で泣いた。俺達も何も言えずにただ泣いた。
そして中学に入った頃、父親が現れた。金をせびりに。帰ってきた兄は激怒し父親をボコボコに殴った。泣きながら。
騒ぎを聞いた近所の人が通報し警察が来て母と兄が連れて行かれた。
俺と妹は部屋で待ってた。妹は部屋の隅で何かを泣きながら作ってた。
2人が帰ってくると妹は母俺兄と自分に作ったメダルを首にかけた。
メダルには、『みんななかよし』と書かれていた。4人何も言わずに泣いた。
残業して帰ってきて自分の子供が作ったであろう黄色い首からかけるメダルを見て思い出したので書いてみた。
弁当
弁当男子になろうと思って作ってみた
ゆうべの残りのからあげ(市販の惣菜)
イオンに売ってた竹の子の煮物
赤いタコウインナ
たまごやき(甘いの)
ブロッコリー
彩りも栄養もなかなかいいものができたと思う
でもちょっとめんどくさかった
うちはカーチャンがいなくて、歳の離れた兄ちゃんが毎日弁当を作ってくれていて
それを思い出しながらおかずを考えたんだけど
毎日茶、赤、緑、黄色、日によっては白黒のも入ってた
兄ちゃんはがんばってただなーと思った
それなのに俺は、誰々の弁当はハンバーグが入ってただのカニのウインナーが入ってた、いいなーだの
要望ばっか言ってた
兄ちゃんはその翌日はそのおかずを入れてくれてた
俺ならそんなガキフルボッコにするのに、怒らなかった兄ちゃんはすごいんだと思ったら
出社までの道がなんだかぼやけて見えた
協力
アメリカだったかな、移植手術用の臓器を鮮度の都合で緊急に運ばなきゃいけないんだけどその日は最も混むといわれる魔の金曜日の時間帯。
交通で絶望的と思われたとき、ダメもとでラジオ局に協力を要請、放送で訴えかけてもらったんだ。
そして空輸中継地から病院に向かった救急車の眼前に広がった光景
それは、全車路肩によせて車一台動いていない、病院へと続く幹線道路だった…。
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