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『地獄への門』|洒落怖名作まとめ【天狗男シリーズ】

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『地獄への門』|洒落怖名作まとめ【天狗男シリーズ】 天狗シリーズ
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地獄への門

640 :天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:19:41 ID:arBuB0Pc0

 

あれは俺が中学生になったばかりだから、もう15年も前になるかな。
前回の鎧武者の亡霊事件の半年くらい前の話だ。

その日、俺は親父の運転する車で山道を走っていた。お袋も一緒だ。
後にもう2台、母方の婆さん一家(以前書いた蚕屋敷の家族)と叔母さんの一家が一緒だ。目的地は叔母の旦那さんの実家で呆れるほど山奥にある村だ。季節は真夏でちょうどお盆の直前だった。

その村へ行くのはこれで2回目。以前訪れた時は幼少の頃で、道は舗装もされておらず、長時間ガタガタと砂利道を進んだ記憶がある。

「いつの間にか舗装されてたんだな・・・」

とは言え市街地からすでに3時間は山道を走っている。俺は退屈で時折、あくびをしながら外の風景を眺めていた。と、1台の対向車とすれ違った。自衛隊のトラックだった。ん?こんな山奥になんで自衛隊がいるんだ?俺は不審に思ったが、そんなことはすぐに忘れ早く着かないかなと考えていた。

時計を見ると午後4時半。すでに日は傾き、山に影を落としている。
ふと窓の外を見ると山の向こうに飛行機が見えた。へぇ~こんな山奥の上を飛んでる飛行機があるんだなとあまり深く考えずにボーッと見ていた。ほどなくして親父は車を止めた。そこは寂れた定食屋のようだった。後の2台も続いて止まった。

「ちょっと休憩でもすんべか」

それぞれトイレや自販機でお茶などを買っていた。店の中には愛想の悪い店主がいた。小腹が空いた俺は、こぶし程もある味噌田楽にかぶり付きながら外をブラブラしていた。と、またもや自衛隊の車が通り過ぎてゆく。何か演習でもあるのか?不審に思いながらも食べ終わる頃には忘れていた。

少し休憩後、村に向けて出発した。ここからは小1時間程で着くらしい。いい加減早く着いてくれよ・・・さすがに飽きた俺は少しイライラしていた。と、窓の外を見るとまたもや飛行機が飛んでいる。ん?
また飛行機か?さっき見たばかりじゃん。変なの。確かにこんな山奥で何度も見るのはちょっとおかしいなと思った。

時計を見ると5時半だ。山は夕焼けで真っ赤に染まっていた。

そろそろ着くかなと思った矢先、いきなり車がガタガタと揺れだした。え?ここからは舗装されてないの?不審に思った俺は親父に声をかけた。しかし反応がない。何か変だなと思い助手席のお袋にも声をかけたが同じく反応がない。二人とも真正面を向いて無言だ。

おかしいな、耳が遠くなったのか?

俺はふと後を振り返った。さっきまですぐ後をついてきてたはずの2台がいない。あれ?どこいったんだ?確かにさっきまでいたのに。
この時俺は何か嫌な予感がした。と、親父が急ブレーキを踏んだ。
俺は思わず前のめりになったが、次の瞬間ギョッとした。

え・・・

車の目の前をボロボロの服を着た大人が数人、真横を向いて立ち止まっていたのだ。それを見た瞬間、俺は猛烈な悪寒に襲われた。それは間違いなく「まともじゃない」ものだった。両親はかわらず正面を見て微動だにしていない。俺は真っ青になりながら固まっていた。

どれくらい時間が経ったのかわからないが、彼らは山の方向に向かってゆっくりと歩き始め、そして見えなくなった。すると車が動き始めた。親父もお袋も無言だ。ヤバイ・・・二人とも何かに取り憑かれてるのか?俺はどうしていいかわからず目だけをキョロキョロさせていた。

バタバタバタバタ!

頭上をものすごい爆音を響かせながらヘリが飛んで行った。自衛隊のヘリのようだった。どこから現れたのかもわからない。さすがにこれはヤバイと思い、後部座席から運転席の親父を揺さぶった。と、消してあるラジオから何かが聞こえてきた。

ザザッ・・・摩訶般若波羅・・蜜多・・・ガー・・・ピー・・・

般若心経だ・・・俺は恐怖で声も出なくなっていた。と、バックミラーから親父の目が見えた。真っ赤だった。黒目がなかった。俺は腰が抜け、後部シートで丸く屈み、一心に「助けてくれ!助けてくれ!」と念じた。

と、物凄い耳鳴りがしたかと思うと地面が揺れるほどの爆発音がし、その瞬間、車が止まった。俺はガタガタと振るえながら恐る恐る目を開けた。

何だ・・・あれは・・・

見ると目の前の山が燃えていた。
山の至る所から煙が立ち昇り木々は倒れ、何かの残骸が散らばっている。しかも俺は近眼なのに、あれだけ距離が離れているにも関わらずその様がハッキリと見える。そして、そして更に怖ろしいことに無数の手が空に向かって伸びている。

まさに地獄絵図だった。

俺は頭が真っ白になり、クチを開けてその様子を見ていた。そしてあまりの光景に意識がなくなるのが分かった。俺は聞いた。薄れゆく意識の中でハッキリと。

ザザッ・・・不明の・・・ガガッ・・・JAL123便・・・ピー・・・

「おい、着いたぞ起きろ」

俺は親父の声でハッと起き上がった。
親父とお袋がトランクから荷物を降ろしている。後の2台もすでに到着して皆、荷物を降ろしていた。俺はボーッとしながら、さっきの出来事が何なのか整理がつかないでいた。

「何やってんだ?寝ぼけてないで早く降りろ」

俺は夢だったのかな、と思いつつドアを開け車から降りようとしてふとラジオを見て凍りついた。

ラジオの周波数は123を・・・そして時計は午後6時56分を指していた。

そうか・・・今日は8月12日だったか・・・

俺の到着した所、そこは上野村。今から25年ほど前(1985年8月12日
午後6時56分)日航ジャンボ機が墜落した御巣鷹山の麓の村だ。
俺の叔母の旦那さんの実家はそこで駄菓子屋をやっていた(当時)。

俺は親父に「暗くなる前に先に慰霊碑に行ってくる」と言った。親父は何かを感じたのか「・・・そうか」と言い一緒に行ってくれた。二人で慰霊碑に向かい黙祷を捧げた。そして親父がこう言った。

「おまえはこれから先、何があってもあの山には入るなよ。あの山は地獄への門がぽっかりと開いてやがる。怖ろしいほど大きいのがな。入ったらまず生きて帰ってこれねぇ」

俺はそれ以来、その村へは行っていない。

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