感動する話・泣ける話まとめ 短編5話【64】
これ欲しかったんだろ?
俺がまだ小学生だった頃、どうしても欲しかったオモチャを万引きしたら見つかって
それはもう親にビンタされるは怒鳴られるはでメチャメチャに怒られた。
それから暫らくして俺の誕生日が来たんだけど、その時に両親が俺にくれたプレゼントが
その時万引きしたオモチャだった。
「お前これ欲しかったんだろ?」
と母親が言ってくれたとたん俺は泣いた・・
家貧乏だったのに多分無理して買ってくれたんだろうな・・
あれからもう15年くらいたったけど、今でも忘れられない思い出になっています。
俺と爺ちゃん
俺、今年の4月に爺ちゃんを肺ガンで亡くしたんだけど…
爺ちゃんがガンだってわかって入院する前、ケンカしてたんだよね…俺と爺ちゃん。
調子が悪いってのは知ってたが、家族が色々世話してくれたもの、例えばご飯とか…そういうの全部拒否。
「食欲無い、食べたくない」って。
俺ちょっとだけ、頭にきちゃってな…爺ちゃんの辛さも知らずに。
そして口論になって…
間もなく爺ちゃんが入院して、見舞いに行った時…正直気まずくて。
だけど俺の顔見たとき、ベッドでぐたー…て横になってる爺ちゃんが笑ってくれたんだよな…
寂しいんだよな、やっぱり…
家族とか、親戚とか来ると、ホッとするんだろうな…
手握ったら、すげぇ嬉しそうな顔してさ…
俺はバカだったんだよなぁ。
人の気持ちも何も考えないで…
「また来るからな」って言葉が俺との最後の会話だった…
死に目にも会えなかった。
俺は最低の孫だと思う…
できることなら、会って一言謝りたい…
絶対に、後悔するような生き方するなよ…
いや、余計なおせっかいか。
不快に思ったら忘れてください。勝手ですみません。
いろいろ迷惑かけてごめんね
大好きだったひいおばあちゃんが俺が小5の時に死んでしまった。
そのときはまだこどもだったこともあり泣いたりはしなかった。
俺はひいおばあちゃんが大好きで、小さい時は一緒に散歩にいったり、狭いベッドで一緒に寝たりしていた。
親戚みんなで旅行に出掛けたときは、家族ほとんどが電車で行ってたが、俺はひいおばあちゃんと車で一緒に行った。
それからひいおばあちゃんは足が悪くてほとんど外へ出なくなってしまっていた。
家にずっと居たひいおばあちゃんは俺が遊びや習い事から帰ってくると
「お腹空いてる?」など聞いてきてくれたが、その時は小さかったからかシカトしてしまった。
それに、何をいったかは忘れたけれど、泣かしてしまったこともあった。
そんなことがあったがひいおばあちゃんはある日倒れて、入院していた病院で死んでしまった。
ひいおばあちゃんの遺体が家に運ばれて来て、お通夜の日まで家にいたのだけど、俺は夜一緒の部屋で寝た。
怖いとか全然なかった。
特になにか考えていたわけじゃないのに一緒の部屋で寝た。
ひいおばあちゃんが死んでからもう9年が経とうとしている。
ひいおばあちゃんが死んでからお母さんが
「○○(俺)はいつもなにか食べてるときに“おばあちゃん食べる?”って言ってくれるのが嬉しかった。って言ってた。」
と言う。
それを聞くとすごく悲しくなる。
あんなに悪いこと言ったりしたのに、そういうのを聞くと悲しくなる。
1番後悔しているのは、ひいおばあちゃんが倒れて、入院していたのにお見舞いに行かなかったこと。
あれが最後だったんだと思うと本当に後悔してる。
今俺は20歳。もう少しで成人式。
小学校を卒業し、中学を卒業し、高校を卒業した。
全部見てほしかった。全部見せたかった。
いろいろ迷惑かけてごめんね。
お見舞い行かなくてごめんね。
葬式のとき、彼女の母親が俺に告げた
もう2年も前の話になる。
その頃俺は医学生だった。彼女もいた。
世の中にこれ以上いい女はいないと思うくらいの女だった。
しかし、彼女は若いのにもかかわらず、突如として静脈血栓塞栓症でこの世を去った。
その時の自分はたぶん相当精神不安定に陥っていたと思う。
葬式のとき、彼女の母親が俺にこう告げた。
「あの子、亡くなる直前にあなた宛てにこんな言葉を言ったわ・・・」
『○○君は易しいね。私が死んだら相当落ち込むかもしれないけど、落ち込んじゃだめだよ。
ずっと一緒なんだから。私のような人をたくさん救ってね』と。
そしてそのまま眠るように亡くなったらしい。
その彼女の言葉を聞いた俺は、涙が溢れ出してきた。
今までにない量だった。
彼女の最後の言葉に俺のことで、つまり俺のことが一番大切にしてくれたなんて思うとよけいに溢れてきた。
俺はその時、亡き彼女に誓った。
お前の命は絶対に無駄にしない!と。
そして今現在、俺は心臓外科医をやっている。
もうあんな悲しい結末は経験したくないからでもあり、彼女に誓ったからでもある。
時々彼女は、俺の夢の中に出てきてとびっきりの笑顔をみせてくれる。
その最高の笑顔は、俺の活躍を祝福してくれる。
そして俺を立派な医師になるための道に導いてくれるのだ。
お父さん、泣いていたよ
実家の両親に彼が結婚の申し込みをしに、挨拶に来た。
会話は和やかで結婚の話にも触れていたし、両親も私と彼の結婚を祝福してくれていたが、
彼は、「お嬢さんと結婚させてください!」のようなセリフを言えないでいた。
彼は話を切り出すタイミングを失っている様子だった。
結局、彼は確信の言葉を口にせぬまま宴は終了した。
私は彼を送るために玄関に先に出た。
しばらくして、彼も玄関の方にやってきた。
彼は両親にペコリと頭を下げて私の実家を後にした。
私は彼を近くまで送っていった。
すると、彼がポツリと言った。
「お父さん、泣いていたよ・・・。」
私はどうして父が泣いていたのか彼に尋ねた。
「○○ちゃん(私)が、先に玄関に行ったでしょ。
その時、俺、お父さんに『○○ちゃんを幸せにしますから』って言ったんだ。
そうしたら、お父さんは俺の手を握って、薄っすら涙を浮べながら、
『娘を宜しくお願いします』って言ってくれた。」
私はその話を聞いて、目頭が熱くなった。
その後、しばらくして私は彼と結婚した。
たまに実家に帰ると、父は殆どお酒が飲めないのに、夫と酒を飲みたがった。
後で聞いた話だが、父は親類に以前、
「○○は嫁には出さん!」と語っていたらしい。
しかし、父は夫を本当の息子のようにとても可愛がってくれ、夫をいつも誉めてくれた。
結婚3年目の今年、父が他界した。
夫は「お父さんにロクに親孝行をしてあげれなかったな・・・」と言った。
私も、父に親孝行らしい事を殆どしてあげれなかった。
でも父は、息子と一緒に酒を飲めることが出来て、幸せだったのかな・・・
と思うことが、慰めになっている。
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