心が温まる『心霊の話』 百選 短編【1話 – 10話】
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不思議な出会い
心霊じゃないけどさ・・・・・不思議は不思議なできごと。
小学校低学年の頃。家の近所に市電、つまりちんちん電車が一両捨てられていた。
原っぱの一角に錆びだらけで放置された車両。今考えてみればちょっと薄気味悪いが、当時の子供たちにはかっこうの遊び場だった。
子供のよく作る秘密基地、この車両も当然ながら秘密基地化していた。
その日、私はひとりで秘密基地で遊んでいた。いつものメンバーがほかで遊んでいることは知っていたがなぜか猛烈にここに来たくなったのだ。
ひとりということで妄想全開で遊んでいると、急にひとりの女の子がはいってきた。同じくらいの歳の子だが見たことのない子だった。
そして入ってくるなりこう言ったのだ。
「あっ、ほんとにいた!」
普通、この手の話だとこの女の子が実は……ってなことになるのだが、昨日引っ越してきたばかりの「生身の」女の子だった。歳も同じ。
彼女は続けてこんなことを言った。
「昨日夢を見たの。きれいな女のひとが、古い電車を見つけることができたら友達ができる、って言う夢」
夢を信じ、来たばかりで右も左もわからない街で電車を探してまわったそうだ。そんなものがあるかどうかもわからないのに。
でも原っぱでほんとうに電車を見つけ、ほんとうに同い年の私を見つけたのだという。
「友達になってくれるよね」
不思議な出会いであるが断る理由はなかった。
肝試しトンネルとたくましい腕
二年程前の夏、心霊スポットって訳ではないけど、かなり不気味な手掘りのトンネルに肝試しに行った。
そのトンネルは福井だか滋賀だかの、車が通れるギリギリの道幅しかない山の中にある某トンネル。
まだ昼間だったがトンネルの中は暗くヒンヤリとして静かで、時折落ちて来る水滴の音が不安をあおる。
不意に何かが右の首筋に触れた。回りには人は居ない。一緒に来た友人はとうに先に行ってしまって、前を歩く姿が見える。
水滴かな?と思う事にして、前を歩く友人に追い付くように足を早めたその時だった!
不意に何かが右足に絡まった。もうその瞬間に私は半泣きどころか、泣いてしまっていたと思う。
無我夢中で足に絡まった物を振りほどき友人を追って走り出すと、ふと何かが右腕を撫でる。
撫でると言うより、拳で軽く突いた(触れた?)感じだった。
??
何となく恐怖とは別の違和感を感じ、見ないようにしていたトンネルの右の壁に視線を移す。
そこには固く拳を握り、まっすぐ上に向かって親指を立てた逞しい腕が生えていた!
思い出すと今でもその時見なかった見知らぬ男性の頼り甲斐ありそうな爽やかな笑顔と、その時見た逞しい腕が結び付いて、自分にエールを送ってくれているように感じて元気が出る。
トンネルを出る時、私は確かに聞いた。心地よい、どこか懐かしい声。
「大丈夫、大丈夫やで!」と。
あ、笑顔がどうのってのは多分私の妄想ですw
故人に会いたい
知り合いから聞いた話。
その人(Hさん)は、仕事の師匠のお通夜に参列していました。
故人(Sさん)は 本当にいい人で、仕事に対しては常に厳しく、だけど私生活においては心底優しい人だったそうです。
その為、故人を偲ぶ人たちは「本当に惜しい人を亡くした」とか
「もう一度Sさんに会いたい」とか「会って今までのお礼が言いたい」など口々に言っていたそうです。
暫く故人の話をしていると、一人がトイレに立ったそうです。そしてしばらくすると…
「い・今!Sさんが向こうに立っていた!!( ゜д゜)」と転がるようにその人が戻ってきました。
「え?!会いたいって誰かが言ったからじゃねぇか?!」
「お・お前、礼が言いたいなんて言っていたんだから言って来いよ!」
「おめぇこそ、会いたいって言っていたんだから…」
と、ついさっきまで「会いたい」と口々に言っていた人達は逃げ腰で、他の人に確認させようとしました。
「じゃ。オレが行ってくらぁ」とHさんが、身を縮ませながら目撃場所に向かい、姿を見ようともせず
「ナンマイダー、ナンマイダー迷わず成仏してくれー」と目をつぶりながら手を合わせていると
何処からとも無く、深~いため息が聞こえたそうです。
「ありゃぁ~、随分あきれていた感じだったなぁ……」と、Hさんは話してくれました。
ダンベル幽霊
ダイエットのためにダンベル(ひとつ0.5kg)を買ってきました。
ひとりで運動前のストレッチをしていたら、ベッド方面で何かが落ちる音。
ベッドの上にはダンベルしかないから気のせいかと思って、ストレッチを続けたらまた何か落ちる音。
試しにダンベルをちょっと持ち上げて布団の上に落としたら、さっきと同じ音が。そして「ふぅ…」と男の人っぽいため息。
幽霊って筋力トレーニング必要なの? あと、0.5kgのダンベルでため息つかれても…(´・ω・`)
下顎の退散
実家の近くが心霊スポットで、以前、同窓会で自分含む男5人で酔ったついでにそこに行くことになった。
先祖が自殺家系、30年位前に殺人事件が起こったいわく付きの場所なんだけど、入った瞬間にマジで芯から冷える気持悪い感触。
自分以外の全員も同じらしく、踊り場まで行った所でガチでヤバイって事になり、そそくさと帰る事に。
すると後ろに居た2人の内Dが叫んで、いきなり泣き始めた。泣いたと思ったらいきなり意味不明な言葉を笑いながら喋り出したDに
全員混乱しまくってどうしようどうしようと言ってたら、Hが突然物凄い屁をこいた(ボンっ!って音で無臭)。
するとDがいきなり倒れて、何かもうよく分からない内にDを引きずって退散。
今はDに変化も無く元気で、Hの屁により助かった逸話になってる。何で屁なのかは分からず笑い話だけど、やっぱりほのかに怖い思い出。
自分には見えなかったが、後日聞くと隣に居たYには、Dの足と手に下顎だけの幽霊が絡み付いていたらしい。
立ち会い出産
軽いオカルト入ってます。
私7か月の時夫が急逝、泣きながらもこの子を生んで立派に育てるぞ!と決意した。いざ出産へ!
最初は「こ、こんな痛みあの人が感じた事に比べたら」と殊勝に頑張ったが、そうも言ってられなくなってきた。
ベッドで唸っていたら何と亡くなった夫がベッドの真横に居る。嬉しくて嬉しくて泣いてしまい、驚いた義母と兄嫁に説明すると泣かれた。
「夫さんが付いてくれてるから!」って頑張ってたら、本気でそんな事言ってらんなくなった。
「ぎゅぬぬぬぬぬうぬうぬぬうううぬぬぬううううううううぬぬぬううううぬななうぬううう」と唸っていたら、ふと気がつくと夫が居ない。
「うぎゃああああああーーん!!」と泣き叫んで義母に「夫さんが見えないーー見えないーー!」と八つ当たり、
義母も「こらバカ息子!!出て来い!!」と叫んで、しばらく意識飛んだらまた夫が見えた。
「夫ー夫ー…(泣き疲れて寝る)ぎゅわわあああああああぬぬああああああああああああ(陣痛再開)」
本当に優しい夫、優柔不断と言われた事もあった夫、でも本当に私達を大事にしてくれた、虫も殺せないとは夫の為の言葉、本当に本当に優しかった夫。
幽霊の癖にめっちゃビビって、ドア付近に立ってるw
「夫ーー!しっかり見ろーー!これがお前の最初で最後の子供だーー!」
「ここに居てお願い!夫、パパになるんだよー!」
だの叫んでたら看護師さん達も号泣。でも私はビシバシと夫がビビってるのを感じたw
それから生まれるまでほぼ意識飛んでたけど、子供の顔見た時「うわぁぁー夫ー夫ー子供だよー」って言ったら脳裏にあの優しい笑顔が出てきた。
医師や看護師さん達は泣いてたんだけど「大丈夫、夫いるから!そこに居るから!!」って言った。
生まれた子は夫クローンwww笑っちゃう位wwww 義父母だけでなく、事情を知ってる夫親戚も見てうっかり笑う位w
陣痛の苦しみから見た幻かもしれないけど、義母は「ドアの所に居た」ってのを聞いて信じてくれたw
「夫は怖がりだったからね…」って。
頑張って育てるんで私が行くまであの世でのんびりしててくれよ、夫w
じいちゃんの増毛
友達に話しても信じてもらえない霊体験。
5年前、実家の居間で昼寝をしてると
「けいすけぇ~、けいすけぇ~」
と俺の名前を呼ぶ声がした。起きてみるとじいちゃんが目の前に立っていた。
俺はじいちゃんが死んだ後に生まれたからじいちゃんの顔は遺影でしか見たことないけど、すぐにじいちゃんだとわかった。
じいちゃんは俺の手をたださすっていた。しばらくするとニカッと笑いそのまま光に包まれていった。
目覚めるとそれは夢だったとわかった。だけど、遺影が倒れていたから多分夢にじいちゃんが現れたんだと思う。
しかし遺影を立て直してるときに異変に気づいた。明らかにさっき現れたじいちゃんと髪の量が違うのである。
さっき現れたじいちゃんはフサフサで髪も黒々としてたが、遺影のじいちゃんは森繁久弥ほどしか髪の毛がない。
じいちゃんは俺の前でカッコ良くありたいとあの世で増毛したんだろうな。
リアルな足の裏
昨夜寝ている時に心霊現象に遭ったよ。
金縛りになって、何か気配がすると思って自分の足元の方を見ると、くるぶしから下の右足(左足だったかも)だけの幽霊が。
なぜかあんまり怖くなかったのでじっと見てた。どんどんそいつは近づいてくる。
「あ、やばいかもしれん」と思ったら、そいつはおもむろに俺の顔に足の裏を近づけてきた。
くさっ!Σ(´д`;)
妙にリアルな足の裏の臭いだった。しかしそいつはそれ以上何もせず消えた。
なんだあの通りすがりの変態幽霊。ちゃんと足洗えよ。
三途の川上から
臨死体験をした時の話なんだが、よく体験者が語られる様に
目の前に三途の川が広がり、向こう岸にはすでに亡くなっている方達がこちらに向かって手招きをして呼び寄せている。
行く気はサラサラなかったが、なんとなく水温やら深さ等の感触を確かめたく手足を浸けて遊んでいた時、知らないじいちゃんが川上から流れてきた。
まるで溺死体みたいな感じで流されてきたが、ちょっと手を伸ばしたら、なんとかじいちゃんの体の一部を掴めた。
体といっても幽体なので、掴みさえすればすくい上げるのも造作ないわけで、こちらの岸にあげた。
しばらくすると、じいちゃんは意識を取り戻し、軽やかに起き上がるとそのまま白い霧が現れ消えてしまった。
多分、そのじいちゃんが実在し、元気に生きているとするならば俺のおかげだと思う。
心霊スポットと古武術
数年前、俺が大学時代の話。当時まだまだ遊び盛りで、友人数人と車で心霊スポット巡りを楽しんでいた。
そんなある日、そろそろ夏休みも終えそうな時期で、ほんのりと肌寒い時期だった。唐突に友人Aが、ある心霊スポットに行きたいと言ってきた。
それはとある山で、地元の人しか知らないようなマイナーな場所だったが、自殺が起きただの、夜に近づくと連れてきてしまうだのと中々やばげな場所。
勿論反対する者も無く、俺、友人A、B、C、Dの五人で行くことに。アパートから車で30分、俺、B、C、Dの四人でその場所に向かった(Aはその地元の人間で実家通い)。
Aが指定した場所に着くと、すでにAの姿が。地元のスーパーの駐車場にちょっと止めさせてもらってその山へは徒歩で向かうこととなった。
そこから歩いて数分。細い農道の先にその山の入り口は見えた。そしてこの中で唯一自称霊感が有ると言っていたBが
「何か山が暗いものに覆われていてよく見えない…」
もちろん俺から見たらそんなことは無い。少しばかりであるが、月明かりも手伝って上のほうの木々程度なら見えるくらいだ。こいつ目悪かったっけ?と思いながら山に入ることに…
またまた山に入る前に、Cが鉄パイプ(水道管?)のようなものを見つけ、用心の為にと持って行くことになった。ちなみにCは昔から古武道だか古武術だか習っていると言っていたので、いざと言うときはコイツに任せて逃げようと思った。
山に入るとBが「何か気分が悪くなってきた…視界も暗くなってきた気が……」と。それは同感で、俺も一際暗く感じた。というか木がかなり生茂っているので暗くて当然だった。
「誰でも同じだわwww」と、皆からBがいじられているウチに、唐突に鳥居が出てきた。定番だなあ…と思いつつも、俺は内心結構ちびりそうで、後ろを振り返っても何も見えない。ライトの光しか便りに成らないくらい本当に漆黒の闇だった。
Bが「ここからはちょっと行けんわ…」と半べそを掻き出し、無理にでも連れてこうもんなら泣き出しかねないくらいだったので、仕方なくB、Aを置いて先に行くことにした。Aも地元民の癖して相当びびっていた様子だった。
テンションが冷めないウチに俺、C、Dで「もっといこーぜwww」と先にガンガン行くことに。すると、何かちっさいくぼみのようなモノがあった。例えるなら貝塚のようなもの。その中には木の破片みたいなもんが入っていた。
もしかして……皆何か感じたのか誰も手に取って調べようとしない。俺もあいつらと残ってたほうがよかったかも…とちょっと後悔しだしたそのとき、木々の奥で何か光った気がした。いや、光というよりは白いモノ。アレだけ暗い中ぼわっとした感じで浮かんで見えた。
「おい…」と他の連中も気づいていたみたいで、俺が泣きそうな声で「そろそろ戻るか…」と切り出した。そして、ゆらっとまたソレが表れて揺れた。段々近づいている気がする…
そこで逃げればよかったものの、なかなか動き出すことが出来ずソレを見入ってしまっていた。ゆらっゆらっと段々と近づいて来ているソレは何か分かった時、俺はもう駄目かと思った。
それは顔だった。男とも女とも分からない顔。ただ長い髪もうっすら確認できたので恐らく女だろう。その表情も笑っているような泣いているような怒っているような…むしろ全ての感情とも取れる顔でゆっくり…そして確実に迫ってきていた。
本当に恐怖で声が出ない。それでも何とか腹の底から叫び出そうとしたその時……
「タアアアアアァァァ!!!!!!」と間近でとてつもなく甲高い叫び声が聞こえた。Cだった。Cはそう叫ぶと、鉄パイプを高々と挙げあろうことか全力疾走でその顔に突っ込んでいった。
「タアアアアァァァ!!!!!!!」とその顔を木っ端微塵にするか如くパイプを何度も何度も打ちつけている。もうこっちはどうしたらいいのか分からない。
Dは俺に「行くぞ!」と迫ってきた。正直俺もDも、Cは何かに憑かれたんじゃ…と思い逃げ出すことに。
何とかA、Bの元に辿り着いた。A、BもCの声が聞こえ、更に全力で駆けてきた俺達に混乱していた。もう俺とDもどう説明したらいいのか分からない。
ただ「Cはもう駄目かもしれん…」と声を絞り出すと、後ろからぜいぜい息が切れたCが駆けてきた。「お前らが行くもんで暗くて分からんかったわ!」とCはライトを持っていたDにちょっと切れていた。
「いや…お前がおかしくなったのかと…」と俺が言うと、Cは「そんなわけあるか!ただあいつを払おうと思っただけじゃ!」と。
ことの顛末をA、Bに話すと、Bは「それやばいんじゃ…」と言ったが、Cは「いや、もう逃げるように消えたぞwww」と余裕綽綽だった。
どっちにしても怖いことには変わり無いので、そそくさと山を降りることにした。
あれから数日…いや、何年たっても特に何も起こらず暮らせていますw 特にCは相変わらず元気で、なかなか幸せな生活を送っている。
今はもうその場所から皆チリジリになってしまったが、集まって飲むことは結構あるので機会があればまたあそこに行ってみようかな…
正直なところあそこが何だったのかもよく分からないし、あのくぼみもよく分からないままなわけだし…。
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