アトピーの彼女
付き合い始めた時のスペックを書いていく
俺
大学2年、友達多い、明るい、彼女経験は4人、経験人数は2人
彼女
大学2年、無口、引っ込み思案、可愛い(異論は認めない)、
女友達はガッチリ絆ある子が数人、謙虚過ぎて問題アリ
出会いは草野球。
大学で野球サークルやってて、男15人で女4人のサークルだった。
女のうちの一人が彼女を草野球の練習試合に連れて来て、そこで初めて会った。
夏なのに長袖着て熱くねーのかなってのが第一印象。
顔を見た瞬間ド真ん中ストレートのタイプで一目惚れ。
その試合で気合い入りまくった俺は2三振。
見事な空回りだった。
そのあとみんなで飯食った時に初めてお話。
大学同じで学部も同じだった。学科は違ったけど。
一目惚れしてたからメアド聞いて連絡取るようになった。
仲良くなってメールは頻繁にやり取りできるようになったものの、
デートに誘うと「ごめんなさい」の連発。
めちゃめちゃ凹んだのを覚えてる。
そんな時たまたま大学ですれ違って、よかったら一緒にご飯食べない?
と聞いてみたら、いいよと言われ初めて2人で飯食べた。
嫌われてんのかと思って「脈ナシだったらバッサリ斬り捨ててくれ」と
メールしようか迷ってた所に舞い降りた飯の機会で、飯食ってたら笑顔が素敵でやっぱりタイプド真ん中だった。
喋ってみたら全然嫌われてる感じしなかったどころか、むしろ一緒にいてめちゃめちゃ楽しかったし楽しんでくれたからこれは脈アリじゃねと思っちゃうほどだった。
となるとやっぱり何でデート断るのかなと気になった。
そんな暑い夏の日、彼女はやっぱり長袖を着ていた。
初めて飯を食った晩、彼女からメールが来てた。
すごく楽しかったありがとう、という内容。
最高に嬉しかった。
そんな感じでまたメールの日々が始まると、1週間後くらいかな。
彼女からデートの誘いが来た。
デート当日はまだ8月の終わり頃で暑い日だった。
彼女は半袖でやって来た。
綺麗な色白だった。
映画観て買い物してバッティングセンター行って。
楽しかった。
一気に距離が縮まったデートだった。
そこから1ヶ月くらいは毎週デートした。
お互いとても楽しい時間を送れていたはずだった。
だが、初デートからちょうど1ヶ月半ほど経ったある日。
いつも通りデートに誘ったら、ごめん会えない、と。
その日から1ヶ月ほど毎週デートは断られ続けた。
俺なんかしたかなー、なんて思いながら、でも聞けない日々が続いた。
そんなある日、彼女から電話が。
「今週デートしてくれませんか。」
俺は言った。
「よ、よよよろこんでぃ!!あっ」(電車男ネタ)
そして10月末のちょっと寒い日に、俺は彼女と久しぶりに再会した。
秋服を着た彼女も綺麗だった。
その日俺は初めて彼女と手を繋いだ。
俺から繋いだ。
彼女は最初動揺してたけど、何も言わず握り返してくれた。
そうしてまた毎週デートする日々が始まった。
そしてやって来た、クリスマス。
俺は告白した。
もっとあなたの事を知りたい。好きです。付き合ってください。
言われた。「考えさせてください」
そうして3日が経ち、電話が着た。
私でよければよろしくお願いします、と。
えんだあああああああああいやああああああああ!
嬉しかった。
そうして2人のラブラブライフが始まると思っていた。
の、だが。
1月はお互い帰省したのに加え成人式があったので会えず。
2月にその年入って初めて会った。
袴を着た成人式の彼女は可愛かった。
ちなみに彼女の顔の評価は、俺の草野球チーム仲間や学科の仲間によると
「いやこんくらいの子わりといるから。まあまあ程度。」だった。
お世辞でも可愛いって言えよと思ったものだ。
さぁ2月。
今年は彼女とあんな事やこんな事してやると希望に満ち溢れていた時。
彼女から連絡が。
「今週のデートやっぱり無しでお願い。」
俺、凹む。
そんな時期は、世間がみんなクシャミの止まらない季節だった。
そこからまた会えない日々が続いた。
訳が分からなかった。
なぜ会えない時期が生まれるのかと。
それも周期的に。
俺は相談した。
相談相手は、草野球に彼女を連れてきた我が草野球チームの女四天王の一人。
仮の名で、アネキ、としたいと思う。
俺はアネキに相談した。
「~~~というわけなんだけど、何かアドバイスくれ。」
アネキは言った。
「家行って確かめてみ。」
俺はアネキに家の場所を聞いて、彼女の家に行った。
ちなみに、そのアネキから聞いた話によると
「今日彼女ちゃんは大学来てない」
「来ない時が前からときどきあるような子」
との事。
ちなみに(その2)、彼女とアネキは同じ学部の同じ学科。
俺は彼女の家に行った。
この日のことは俺の人生にて最も忘れられない1日であり、そしてこのスレの最も盛り上がる所なので、
詳しく書く。。。。。。
夜6時頃だったな。
俺は彼女の家の前に着いた。
彼女は一人暮らしで、小綺麗なアパートに住んでいた。
俺は早速ピンポンを押した。
ピンポーン。
ハーイ!
インターホンから声が聞こえる。
俺は言った。
「俺だよ。来ちゃったわ。」
それに対して聞こえてきた、「えっ」。
彼女は完全に動揺しだした。
彼女「何でうち来てんの!?」
俺「いや、えーっと、気分」
彼女「何も連絡くれてないじゃん!」
俺「言わないほうが面白いかなって思って」
彼女「意味わかんないよ!」
俺「ごめん」
彼女「いや、無理無理!無理だって」
俺「はぁ?何で?」
彼女「今は無理なの」
俺「どういうことだよ」
彼女「ホントに無理なの・・・今日は帰って」
俺「何で?」
彼女「ごめんだけどホントにダメ・・・」
俺は心の中でこう思い込んだ。
『きっと今この部屋の中には浮気相手がいて、絶賛浮気中だったな』
『だから今日は無理なんだろ』
『クソったれ許さねえぞ!!』
俺は玄関のドアノブを握った。
カギは開いていた。
俺は勝手に中に入った。
「おい!どういうことだよ」
その中で見たものは・・・。
家の奥に入ると、浮気相手などおらず、そこには彼女がいた。
服装は、胸元ゆるめのタンクトップにショーパンくらい短い下ジャージ。
そんな姿で、彼女は立っていた。
しかし。
しかし、そこに立っていたのは。
正確には俺の知ってる彼女ではなかった。
腕も足も太モモも胸元も首も顔も真っ赤に腫れ上がった彼女だった。
全身がヤケドしたかのように腫れ上がり、所々にブツブツが目立つ。
目元は真っ赤で、身体は薬品でコーティングしたのかテカっていた。
そこにいたのは、俺の知ってる色白の彼女ではなかった。
俺の知らない、初めて見た彼女だった。
俺は思わず、その家から飛び出してしまった。
飛び出した俺が向かった先はスーパーマーケット。
小中高とスポーツで慣らした脚力をフル稼働して走った。
目的の物は、かち割り氷だった。
彼女は何かが原因で身体全身をヤケドか何かしてしまったのだ、と思った。
たぶん日サロで事故が起きて・・・とか思った。
だから俺に会えなかったんだ、と。
冷やさなくては!、と。
あまりに衝撃的だったせいで気が完全に動転していた。
だからこれをマジだと思い込んでいたのだった。
デカい氷をかち割って、小さくなったのを袋に詰めたかち割り氷。
それを俺は2パック購入して、また彼女の家に走り出した。
彼女の家に着いた。
俺はドアを思いっきり開けて彼女の部屋に入った。
今さらだが彼女の名前を夕希と呼ぶ事にする。
部屋に入ってすぐ、俺は言おうとした。
「夕希!大丈b・・・・・・」
そこにいたのは、泣いている夕希だった。
部屋を見渡すと。
机の上には、肌を綺麗にする食事と書かれた本や、体質改善の本。
そして、アトピーを改善するための本が広がっていた。
そこで俺は初めて知った。
夕希がアトピーだったという事を。
俺はいてもたってもいられなくなってしまった。
彼女がアトピーだった事。
それを俺に知られたくなくて会おうとしなかった事。
彼女なりにとても悩んでいた事。
どうにかしようとしていた事。
ベッドのわきで泣いていた彼女を、俺は思わず抱きしめていた。
30秒くらい抱きしめて。
彼女が泣き止んだから、俺は言った。
なかなかくさいセリフだが。
「何も言わなくていいからこのままじっとしてろ」と。
5分くらいしてから、抱きしめてたのを離して。
そのあとしっかり叱ってやった。
「バカ野郎」と。
そして夕希が全部吐き出した後、俺は夕希の目を見て言ってやった。
俺はお前が好きだから告白した。
お前が好きだから付き合ってる。
アトピーがお前の一部なら俺はそれを含めてお前が好きだ。
たとえアトピーが出ても悪いのはお前じゃない。
悪いのはアトピーだ。
確かにアトピーは気持ち悪いと思われるものかもしれない。
でもそれはアトピーが気持ち悪いだけ。
夕希が気持ち悪いんじゃない。
そんなんで夕希を嫌いになったりしない。
てか俺を見くびるな。
夕希はまた泣いた。
俺はまた抱きしめた。
その晩、俺は夕希を抱いた。
キスどころか手を繋いだことしかなかったのに。
俺は夕希の身体中を舐め回してやった。
ステロイドの味がした。
朝までずっと抱いてやった。
アトピーというコンプレックスのせいで無意識に作ってしまっていた
壁という壁を全部ぶち壊してやるために俺は一晩中抱き続けた。
朝起きたら、10時頃だった。
その瞬間にその日の講義は全部諦めようと決めた。
彼女は横でスヤスヤ寝ていた。
寝ている間も俺の手を握りしめていてくれたようだった。
俺は彼女にキスをした。
そしたら彼女は起きて、笑顔を見せてくれた。
その時気付いた。
彼女の身体全身を取り巻いていた赤い腫れが、朝にはかなり引いていた。
いまだ赤みがかっていたものの、だいぶ良くなっていたのだった。
彼女はめちゃめちゃ喜んでいた。
俺も嬉しかった。
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