投稿する
スポンサーリンク

モノレール人身事故展

スポンサーリンク

まず初めにこのお話は私が体験した夢の中の話であります。

私は公民館のような見知らぬイベントホールにいました。

そこでは私が普段利用している私鉄が無料であるイベントを開催していました。

モノレール人身事故展

モノレールによる人身事故は年々増加傾向にありその殆どの原因は自殺です。

出入り口にはそう書かれた大きなポスターが貼られておりスタッフらしき男性が「入場無料ですどうぞお立ち寄りください。」と穏やかな表情で私を迎え入れてくれた。

先へ進むと最初にモノレールの模型が展示されておりその上に設置されたモニターにはモノレールのメンテナンスや線路の点検などの作業の映像が流れており、安全な運行を行うためにそこで働く人々は皆情熱をもって真剣に取り組んでいると紹介されていた。

奥へ進むと今度は線路に使うレール部分やひしゃげたモノレールの前方扉や割れた窓などの部品が展示されていて、これらは人身事故により破損し交換を余儀なくされたものらしい。壊れてはいるもののそれ自体はきれいな状態だった。その横にある仮設のシアタールームに入ると事故当時の乗客が撮影した動画が流れていた。

車内と駅のホームは騒然としていた、横の窓には血がべったりと付着しており駅のホーム側にも血が飛んでいて事故の大きさを物語っていた。撮影者がホームに倒れている人にズームしたどうやらショックにより失神しているようだった、同じように駅の壁側には体調不良を起こした人々が座り込んでいた。撮影者は車内から事故現場が見える前方へ向かった。そこに人身事故を引き起こしたであろう中年の男性がいた。灰色のスウェットは真っ赤に染まり体が大きく裂け、手足と一緒にまだ排泄物が詰まった腸がだらりと線路の下に垂れ下がっていて、空っぽの体内からは背骨らしきものも見えた。凄惨な事故の映像がモザイクなしで映し出されていた。無表情な顔と目が合ったところで私は耐えきれなくなり出口へと向かった、途中この展示は自殺防止が目的だの、命を大切にだの、役所のお悩み相談所の案内だのとにかく全てが薄気味悪く感じて早く出たかった。出口でスタッフの男性に「どうでしたか?」と聞かれて私は作り笑いをして「勉強になりました」とだけ言って立ち去った。

家に帰るため私はあのモノレールに乗っていた。モノレールが僅かにガタンゴトンと揺れるたびになぜか恐怖をおぼえた。揺れた拍子に網棚からあの男の顔がこちらに垂れ下がる気がして私は顔を下に向け続けたところで夢から覚めた。

今私は通勤中のモノレールの車内からこれを書いている。視線を感じて顔を上げられないからだ。

コメント