『自治おばさん』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】

『自治おばさん』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】 中編

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自治おばさん

 

俺の怖かった話聞いてくれるかい?文才ないし携帯だから遅いけど
俺の学校へのルートはバス→電車→徒歩なんだ。

でさ、その朝のバスにたまに変な人が乗ってるんだ。地元はちなみに横浜です。
なんだろう、障害者なのかなんなのかわからないおばさんがたまにいるわけ。
俺、遅刻ぐせがあって毎朝同じバスに乗るってわけじゃなかったから毎朝は見れなかったけど、
噂じゃ、この時間に乗ればこのおばさんがいる!ってくらい有名だったらしい
そのおばさんがどんな風に障害者じみてるかというと
口を白いハンカチで押さえながらずーっと誰かしらに文句言ってるんだ。
例えば 「ゴミを散らかしてる人間はゴミとしての自覚があるんですかぁ?」
だとかもうバスの人間に全く関係ない文句。

しかもその言い方が粘着的というかなんというか、何ともいえない嫌な感じがする。
そんでバスの人間がおばさんにとって不快な行動、例えばくしゃみをするだとかね。
そういう行動を取ると一気にそいつに文句の標的がうつる。
「病原菌を撒き散らしてることを自覚してくださいねぇー?」 って感じで
声の大きさは走ってるバスの車内なかほどまで届くくらい。 結構でかいんだ。
一応最後まで書くわ 申し訳ないので簡潔めにしてスピードあげます
で、ある朝バスに乗ったらそのおばさんの定位置近くにうっかり座っちゃったんだ。
そのとき初めてまじまじと顔見た。口隠したおかっぱの普通のおばさんだった。
その日も相変わらず文句言ってた。

うるせーなと思いながら携帯いじってたんだけど俺はうっかり、本当にうっかりくしゃみしちまった。 風邪引いてたからな。
そしたらおばさん俺に集中攻撃さ。ぼっこぼこに言い始めた。
あんまり言うもんだから俺はつい 「うるせーよくしゃみぐらいで!黙ってバス乗ってろ!」 ってきつめの口調で言ってしまった。
そしたらおばさん黙った。 黙ったんだけど物凄い目開いて俺を見てる。
ひぐらしみたいな感じっていうとわかりやすいかな
人間ってあんな目開くんだと思ったよ。
俺はきつくいっときながらちょっと妙な怖さを感じちゃって目的の停留所の少し前で席を立った。
でもまだ見てるんだ。ずーっと。おかしいほど見開いたまま。
停留所について急いで降りて恐る恐るおばさん見たけど
まだ見てた。窓に張りついて。
目があったままバスは走りだして、そのまま視界からおばさんは消えた。
ちょっと驚いた。というか怖さを感じたけど、その日は遅刻ぎりぎりだったので
学校のことにすぐ頭が切り替わっておばさんの事は記憶の隅に追いやられた。

で何日か過ぎた頃。
滅多にない部活の話し合いで帰りがいつもより遅くなった日。
空いた車内に喜びを覚えながらバスカードを通して右を見た瞬間、俺は喜びが恐怖にかわるのを感じた。
おばさん。
帰りに会うなんて初めてだった。
その日もまた白いハンカチで口を隠したまま、ぶつぶつ言ってたっぽいが、
俺の姿を見るとあの朝のように目が飛び出しそうなぐらい開いたのがわかった。 ぶつぶつも止んだ。
俺は本気で怖かった。 空いてたのに立っていたぐらいだ。 たまにちらちら見てもずっと俺を見ている。
家の近くの停留所に着くと俺は急いで降りた。 おばさんがごそごそ動いた気がしたけど気にしない。
後ろから足音が聞こえたけど気にしなかった。気にしないで走った。

次の日の帰りも遅かった。
また会ってしまうかもしれない。 でも俺の脅えは杞憂に終わった。
ぷるぷる脅えていたくせに乗っていないとなると気も大きくなり、
くしゃみなぞを何度もしてやった。気持ち良かった。
ヒャッホーウ俺の時代だぜ!
みたいな事を思ってたと思う。マジで阿呆だ。
自宅近くの停留所に着いて、自分のマンションに向かった俺は気分が良かった。
あんまり気分が良かったんでマンションに住み着いてるぬこ達に弁当の残りでもやろうかな、
なんて普段の俺じゃ考えつかないようなナイスアイデアを思いついた。

遅くてごめん。
臭いんだよ。 糞的な臭さじゃあない。それはわかったけれど、 何の臭さかまでわからなかった。
どこかで嗅いだ事があるような、不快感を伴う臭い。
でも、もう2、3歩でポイントだという所で俺は思い出した。 この臭いを嗅いだ場所。
牛をバラす見学をした所。
なぜこんな所でそんな臭いがするのか?
目を凝らすとすぐにわかった。 変わり果てた猫が何匹か転がっている。
全身に鳥肌がぞっと立った。
ポイントにいた人がゆっくり立ち上がり、振り向く。

そいつは血走った目を見開いていた。
「ひぃっ!」
まさか漫画以外で、しかも自分の口からこんな叫び声を聞くとは思わなかった。
その叫び声は声にならず喉の奥で鳴っただけだった。
何でこいつ俺の家知ってるんだ
まずそう思ったけど思い出した。 足音が聞こえた日のことを。
あれは俺を追うためじゃなくて俺の家を確かめるためだったって事だろう
「え?え?なに?」
こんなことを言った気がするけどマジで声出てなかったと思う。 本気でいっぱいいっぱいだった。
その日のおばさんは俺が怒鳴るまでバスの車内に響かせていた早口の文句を再発させていた。
「猫を飼うなんて迷惑だと思わないんですか 糞はどうするんですか 周りに迷惑ですよ
なきごえとかも迷惑ですよ わからないんですかふえるいっぽうで へらないですよ
ずっと めいわくがかかるじょうしきしらずきんも まきちらすわかりませんかわからないのかにんげんの
くずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくず」

うろ覚えだけどこんなこといってたと思う。 クズのところはよく覚えてるけど。
おばさんはクズクズ言いながら早足で俺に向かって歩いてきた。
マジで怖くて俺は走ってマンションの自動ドアの中に逃げ込んだ。
大した運動もしてないのにぜーぜーいってたから一息ついた。 後ろを見るのが怖くて、
自分の家にも腰抜けて帰るに帰れなくてそのままへたりこんでた。 30分ぐらいそうしてたのかな
恐る恐る後ろ見た。
バスの窓に張りつくように、自動ドアに張りついてこっちを見てるおばさんがいた。
俺はそのまま気を失ってしまった。へたれです

目が覚めた。そんな時間は経ってなかった。
夢だったのかと思ったけど自動ドアに血がついてたことで、現実と認識できた。
うわあああん落ちはないけど実話だよみんなもおばさんとかにはきをつけよう

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