『どうしても欲しかったもの』霊感主婦シリーズ|洒落怖名作まとめ

『どうしても欲しかったもの』霊感主婦シリーズ|洒落怖名作まとめ 短編
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どうしても欲しかったもの

 

彼女は、霊的な物には関わらないスタンスだと前に言ったと思う。
ただ、唯一の例外があった事を思い出した。

以前、彼女は大陸(とあえて国名を書かないでおく)を旅行した事があるのだが、
その時に、その国からとんでもない物を持ち帰ってきた。
「なんで霊感ばりばりのアンタがそんなものを?!」と思う、いや、普通の人でも
ちょっと考えられない物。(ちなみに、泥棒してきたとかではない。ちゃんと手に入れたもの)
「だって欲しかったんだもん」としか言わない。
前に本人が「師匠やナナシの方がよっぽど怖い」と言っていたことがあるが、この一点に関して
言えば、彼女も彼等並みの変人であるし、怖い物知らずである。
土から生えてくる手も、今思えばそんなものを持っている彼女を避けるのは当然。
自分も、今頃気付いたよ。本人は気付いてないと思う、いまだに。

だってさ、いくら好きでも、売ってくれても、
「地獄に堕ちてそこの神になった」という逸話のある人間の「副葬品」なんて、欲しいですか?
騙されてるのかもしれないしレプリカかもしれないけど、「関わらない」彼女にしては変すぎる。
でもこれについてだけは、彼女は「絶対に手放さない。死んだら私と焼いてね」と言っている程。
まあ、今のところ実害無いからニセモノ?とも思うが彼女のダンナがぽつりと言った。
「あれを手に入れる前は晴れ女だったのに、あれから雨女になった。立派な実害」と。

東名の話がその前か後か聞いたら「前」と言ったので、もしそれを持って行けば、
避けられるかも?と言ったら「おおお!良いことを。ありがとう」と言った。
天然なのか、それともあれに関してだけはおかしいのか解らなくなってきた。

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