骨董屋さん
主婦さん実家には蔵があり、そこには色々置いてあるがたまに骨董屋さんがいくつか引き取っていく。
骨董屋さんもいろいろあるのだが、主婦さんが一人恐れてる骨董屋さんがいて、「いわくつき」専門の
骨董屋さんがいる。
彼曰く、「そういうのをほしがる顧客がいるから成り立つんだ」と言っていたそうで。
主婦さんは、趣味もあってか西洋アンティークを扱う御婦人のお店にはよく行くのだが、そこでばったりと
その彼に会ったそう。
西洋アンティークを扱うN夫人が、何かを引き取って貰っていた。
それは、小さいダイヤがちりばめられた、素人目にも解る高価なネックレス。
「繊細で綺麗な作りですね。・・・いいなあ、私が欲しいくらいだわ」と主婦さんが言ったところ、
二人同時に「やめたほうがいい」と。
その持ち主は、立て続けに自殺をしているそうで。そしてそれが店に戻ってくる、あまりに気持ち悪い
ので、N夫人はいわくつき大好き骨董屋Oさんに引き取りを依頼したそうだ。
確かに手に取ると、ぞわぞわ寒気がするような、変な感じに襲われたそう。
「確かに、ちょっと怖いかも。」「値段も怖いわよ~」とそんな会話を交わし、店をOさんと一緒に出たら、
Oさんが「お嬢さん、うちの店にも来てみない?」と声をかけてきたそうだ。
□ □ □
心霊スポットすら怖がっていかない彼女だったが、逆にOさんがそう言うって事は、
何か自分に見せたいものでもあるのかと、あと、昼ご飯をおごってくれるというので
付いていったそう。(主婦さんはお金持ちだがこういうところで意外に釣れる)
店は一見ごく普通の小綺麗な店だが・・・「もう逃げたいんですけどw」とつい本音を言ってしまうほど、
やばいもの一通りそろってるという雰囲気。
「あ、悪いね、見せたいのはこれ。・・・知ってるでしょう?」と見せられたのは、磁器でできた芸者さんの
立ち姿の人形、というか置物。
手には巻物を持っていて、それを読んでいるふうでその巻物だけはちゃんと和紙でできているようだった。
流し目の大変美しい顔立ちだが、主婦さんはそれを知っていた。
「・・・これ、なんか雰囲気が少し違うけど、うちの実家にあったもの・・・ですよね?」
「そう。どこが違うか解る?」
「はっきり解りますよ。・・・巻物、私が見たときにはこんなに読み進んでなかった。だって。私が見たときは
この巻物の最初の”怪談”ていう文字がちょうど見えたから、こんなに読み進んでなかった。・・・あなたが
この巻物をわざわざ解いた・・・って事は・・・」
「無いよ。この女性は、怪談を読み進めてるって事だね。思った通りだ。ラッキーな商品だったな!」
うわやだなにこの人、いるんだなーこういう人ってほんとに・・・が、主婦さんの素直な感想だそう。
「でも、最後まで読んだらどうなるのかなあ?」
「それを見たいからお嬢さんの家から買ったんですよ」
「・・・・・・」
まじコイツやばいじゃん!と思った主婦さんは早々に店を立ち去ろうとした。その時。
□ □ □
「そうだ、一ついい事教えてあげるよ。N夫人のところにあった、可愛いお顔のビスクドール、解る?」
「あ、私が手にもったあれですね、はい。」
「あれはいずれ君の家に行くよ。間違いなく。気に入られてたからね。んじゃ。今後ともご贔屓に。」
冗談じゃないわよ、と思いつつ店を去ったそうです。
N夫人は高級アンティークを扱う店。そこに置いてある人形など、車一台は買えてしまう値段。
そんなもの買わないよーと思っていたら。
後日、主婦さんの叔母が「誕生日プレゼント、はずんじゃうわ!」と持ってきたそうです。
弾んじゃう値段ではなかったのだが、主婦さん実家は凄いお金持ち、この叔母様宅もかなりの
家なので、こういう高額プレゼントもごく普通のようで。
(あの金額を簡単にプレゼントできるという間柄もオカルトかもw)
N夫人やOさんとは以後もそこそこつきあいがあるそうですが、「N夫人はともかく、Oは怖い。あんなもの
ばっかり集めてたら絶対変になる!」と言い切ってました。
が、一番ぞっとしたのは、主婦さん妹がOさんと結婚を前提におつきあいしていることだとか。
「絶対ろくな目にあわないから!」と主婦さん怒り心頭だそうですが、もう初夏に挙式らしいので
「・・・縁てもちたくない人ともどっかで持っちゃうもんだわね」と暗い顔してました。
主婦さんが貰った人形もそれなりな事があったのですが、それはまた後日に。
□ □ □
骨董屋 続き
Oさんについては主婦さんが苦手と思っているだけで周囲のウケはいい方です。
感じはいい方ですよ。その趣味さえ知らなければ。当然、「一見」普通のアンティーク屋ですし。
でも店に入ったとたんに「うわ!」と逃げる人はやはりいるそう。
幸運のアイテム、呪いのアイテムについては「主観」が強いらしい。
主婦さんの例の「副葬品」も非常に欲しがっているそうだ。盗んででも欲しいと言われたそう。
「悪いが100万単位でも譲らないよ」と主婦さんは強気に断ったそうだが、
「そりゃあお嬢さん(癖でそう呼ぶらしい)にとってはいいものだからなあ。他の人が持ったら
どんな厄災が降りかかるか見たかったんだけど。残念。」とか言ったそうなので、人によっていいもの
と悪いモノはあるとか。(ただ、万人に悪いモノってのは存在するそうだ)
この罰当たりは、オーストラリアの某聖地の石まで持ってきて密売した過去があるそう。
エアーズロックだったかな?
まだその石、店にあるそうですが、あの石はけっこう怖いと聞いたことあるので影響が懸念されます。
「だからOの店には行かないのよ私。それだけが理由じゃないんだけどね。」と。
N夫人の人形はまた今度です。長くなりそうなのでまとめておきます。
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