骨董屋さんで見た商品
董屋のOさんのところは、主婦さんは「怖いからもう行かない」と言うが、実は私は何度か行っている。その時に見た商品の話。
Oさんの店にはそういう一角(ようするにやばいモノ専門の一角)があるのだけど、
そこにラヴクラフト全集があった。ハードカバーで結構古そうな感じ。
それは主婦さんに売って貰ったものだと言う。
「お嬢さんが何故持っていたかは本人に聞いた方がいいよ。でもこの本の凄いのはここ」
と、最後の巻の最後のページを開いた。
そこには「昭和○年○月○日 アイツがくる。破壊の神がやってくる。怖い。でももう逃げられない。
お父さんお母さんごめんなさい。私は新しい世界の扉を開けてしまいました。もうここには私はいません」
との文章。
「スティーブン・キングの小説みたい。なんとかエンドっていう」
「クラウチ・エンド」
「そう、それ。・・・で、なにこれ? それに感化されておかしくなった人の戯れ言?」
「僕は遺書だと思ってるんだけどね。」と。
その瞬間、何かぞくりとして本を手放した。
んで、早速、主婦さんに電話をして聞いてみると。
「あー、図書館のリサイクルデーに全巻出てたから貰ったんだけど、途中で
気分が悪くなって手放したのよ。親に適当に古本屋に売ってって言ったんだけど、
あそこに売ったんだ。そんな変な本だっけ?文庫も出てるよねえ?」と。
どうやら、最後まで読んでない彼女は気付いてなかったらしい。
寄贈された図書館の方は、気付いてリサイクルに出してしまったのだろうか。
今となっては不明である。
□ □ □
で、Oさんの顧客には「自殺遺品コレクター」とか「骸骨コレクター」とかいるらしい。
「どうやって調達するの?」と聞くと「蛇の道は蛇。・・・ま、色々方法はあるんだよ」とか。
主婦さんが何回も「あいつきらーい」という気持ちも解らなくは無かった。
でも主婦さんは「ああいう人も使いよう。やばそうなものは因縁事持っていけってね。」だとか。
Oさんは「お嬢さんは、自分から決して悪いモノに入っていかない人間だから、珍しいよ。普通は
興味を持って深入りしすぎるからね。そういうことをすると怖い目に遭う。でも何故か、いわゆる
霊感のある人間はそういうことに半端に興味を持ちたがる。ある意味、センサーに引かれてるのかも
しれない。 そういう意味で、せいぜいネットで怪談を読んだり人から聞いたりするだけのお嬢さんは
凄い強い意志を持ってると思うよ。絶対、そっちの世界の住人にはなるものか、っていう。
だから、怖いよりも不思議、ある意味面白い体験が多いのだと思う。」
「で、あなたは?」
「・・・さあねえ。これからお嬢さんの義弟になるわけだし。あまりやばいこといってると破談にされても
困るしね。お嬢さんは嫁に出ても発言力は強いからw」とか。
「ところで、お嬢さんに蓮池の話は聞いたことある?」と。
「知らない。」というと、「聞いてみれば。あれが多分、彼女の中で一番怖い話だと思うよ。」とか。
Oさんは主婦さん妹から聞いたそう。
で、メールで「蓮池の話って何?」と聞いたら「どこからそれ聞いた?」と。
素直に白状したら、「まー、一度人にしゃべったことは広がるモノだしね。でもまた今度ね。
あればっかりはちょっと怖いから直接会ったときに話すよ。」だそうです。
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