怪談人形のその前
主婦さんの家にあって、怪談を読んでいるという磁器でできた人形。
これが何故彼女の実家にあったのか由来を聞くと、「誰も知らない」という。
蔵で発見したのは主婦さんで「何だか美人だけど、やたら嫌な目つきをした人形だな」と
思ったくらいで最初はさほど何も思ってなかったが、手に持った巻物(これは紙で出来ている)
を読み進めている気がして家族に聞いたところ、「そんなものあったっけ?」と。
祖父母も「知らない」というが、見た感じ、そう古いものでもなさそう。
結局、「誰かからいただいたものを置いたままにした?」という何だか失礼なオチにしてあるという。
その、誰にも詳細が思い出せないことも気持ち悪いらしい。
何時の間に住み着いたんじゃないか、みたいな。
「他にも刀とか着物とか、なーんかやばそうなものもいっぱいあるんだけど。博物館寄贈ももう尽きてるし、
あとは本当に古物商に引き取って貰うしかないんだけど・・・用途不明のものもあるし。
普通にやばいと感じると、持っていってくれないんだよね、特に刀」とか。
博物館に寄贈した着物が夜ごとすすり泣くという理由で返品されたりもあったそうで。
一度も袖を通してない、大正時代くらいの着物らしい。
「で。それどうしたの?」と聞いたら「着て欲しいのかと思ってドレスにリニューアルしたら泣かなくなったよ」とか。
嫌な感じとかは全然無く、「あら戻ってきたのね」しか思わなかったそうで。思い切って鋏を入れたそうです。
やっぱり、着る物はそれを本業として全うしたいということじゃないの?と彼女は言うが、私は聞けなかった。
「じゃあ、刀がすすり泣いたらどうするの?」と。
最近無礼をはたらいてる私に一撃喰らわされそうで。
(もっとも彼女は相当な運動音痴なので、そこまで武芸は達者ではないと思うが)
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