占えない理由
独身時代に中国に旅行したとき、彼女はとある有名な人間の墓に行くことにした。
だが、墓の正確な場所は解らず、「この辺です」とだけで、正直がっかりしたそうだ。だが、「そうか、この辺に埋葬されて、当時はきっときちんとされていたんだろうなあ」と思いを馳せその周辺を歩き回ったそう。
その時、同行の友人が「この辺、トゲのある草が多いね」と言ったそうだ。
同じ草むらを歩いていても、自分は傷一つ無い。
おかしいなと思い、同行の友人を先に歩かせて足下を見ると、青白い手が伸びてきて、彼女の足を引っ掻いていたそうだ。
ガイドにあとで確認したところ、その墓のあった山のあたりは墓所が多く、最近農地にするとかでただ真っ平らにして、畑にしたらしい。
崖から下を見ると、今でも沢山の墓(土饅頭みたいなの)があったそう。
今でも墓場で、もしかして霊場に近い?と彼女はぞくりとしたそうだ。
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でも、自分の足はずっと平気だった。
どう見ても、その手は自分を避けている。
理由はわからなかったが、だがその晩、高熱を出したそうだ。
その夢の中で、昔の中国人の格好?らしき男が出てきてなにやら言われたそうだが、「中国語は全くわからないから英語で話してくれ」と言ったら、呆れた仕草をして消えた、と。
(そういってしまう彼女も不思議。だって彼女、英語も話せないんですよ?)
ちなみに、その地面の手は、中国を出るまで同行の友人にはつきまとい、自分は無被害だったとか。
「見えないっていいよね。あれ、草のトゲで傷ついたって思ってるみたい」と。
途中、占いに行ったら、同行の友人は「この人は占えない」で終わり。
彼女はちゃんと占って貰えたそうだ。
だが、「彼女は聞かなくて正解かも。あの人本物。占えない理由があったと思う。」と。
そういえば彼女と海外に行くと、けっこう霊的な事が起こるらしいが本人に自覚はゼロなので、いつも黙っていたなあと思い出したりしたそうな。
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彼女の話はそこまで。
友人も友人の同行者も、今のところはなんてことなく済んでいるが、友人のみが聞くことの出来た占いは「当たってた」と、どの占いのお婆さんの霊感に感動していた。
「いやー、E原さんなんかより凄いよ。だって、ガイドが案内した訳でもなんでもなく、偶然会った占い師だったからさー」と。
「なんでその同行者は占って貰えなかったか、私は聞いた。
そうしたらさ、死相が出てるって。」
だからさ、怖いんだ。私については当たってるんだもん・・・と。
今現在はその同行者はぴんぴんしてる。
でもその同行者は天涯孤独に近い状態で、「もし私が死んだら、その後の事はあなたに一任する」と、常々彼女はお願いされているらしい。
近々、公正証書だかを作成するとまで言ってるらしいので複雑だ、と彼女は言っていた。
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