短編怖い話『天使の像』『赤いクレヨン』など 全20話|洒落にならない怖い話

短編怖い話『天使の像』『赤いクレヨン』など 全20話|洒落にならない怖い話 厳選

チャイム

俺は東北地方の小さい温泉旅館で働いています。

旅館といっても、小さくてボロボロの施設で、主に長期滞在の湯治客が来る所です。

うちの旅館は、2階にレストランがあって、入口は自動ドアですが
人が通ると一緒に「ピンポーン」とチャイムも鳴ります。
ただこのチャイムは、もうすぐ亡くなる方が通るとチャイムが鳴りません。

初めて気付いたのはもう六年前ですが、末期癌の
お客様が最期の楽しみという事で、一週間宿泊しましたが
帰った三日後に亡くなりました。
最初はこのお客様の時だけチャイムが鳴らなく
不思議でした。

次は確信した話しです。

夜になると警備員がきて
寝る前に施設を巡回するのですが、

俺も宿直で暇だったので一緒に巡回しました。

そしてレストランに入ったとき警備員の時だけチャイムが鳴りませんでした。

その時俺は冗談で、「〇〇さん、このレストランのチャイムが鳴らないと、もうすぐ亡くなるんですよ」
と言って笑い話しにしてました。

しかしその警備員さんは、それから五日後に事故で亡くなりました。

その後、毎年湯治に来る常連も亡くなり、
去年も同僚の母親が亡くなりました。
そしていずれも、レストランのチャイムが鳴っていませんでした。

今まで誰も信じてくれませんでしたが、
ようやく職場の同僚にも信じてもらいました。

今ではとにかくレストランの入口に入るのが恐いので、従業員は誰も通りません。
もうひとつ恐いのが、誰も通ってなくてもチャイムが鳴る時があります。

とにかく宿直の日とか恐いので、非常に困っています。

 

壁紙

私と彼氏は中古で家を購入しました。

彼氏は、この家を大きくリフォームしようと張り切って、キッチンをベッドルームに改装しようと計画。

彼が作業する間、家中の古い壁紙を剥がすのが私の仕事でした。

以前の住人は、家中の壁と天井に壁紙を貼っていたため私の作業は膨大でしたが、次第に壁紙を剥がすことに快感を覚え、不思議な感覚に満たされていきました。

壁紙が破れないよう上手に剥がすことが出来ると、日焼けした時に肌がペロンとめくれた時のような爽快感が味わえたんです。

ちょっとしたゲーム感覚で、私は壁紙剥がしに没頭しました。

ですが、作業を進めていくと、私は奇妙なことに気が付きました。

壁紙を剥がすと、全ての部屋の角に人の名前と日付が書かれていたのです。

気になった私は、壁紙に書かれていた人名をグーグルで検索すると、あることが明らかになりました。

行方不明で捜索願が出されている人の名前と、姿を消した日付が、我が家の壁の記述と一致したのです…
翌日、私は壁紙の下に隠れていた人名と日付のリストを作成して警察に通報すると、すぐに捜査員たちがやってきました。
家の中を調査した後に、一人が私にこう訪ねました。

「これまでに剥がした壁紙はどこにありますか?あなたが剥がしていたのは紙ではありません。おそらく行方不明者の皮膚でしょう」

今何時?

私の田舎のトイレは、家の外に離れてあった。
夜中に一人で行くのはとても怖かった。
ある夜、小便がしたくて起きたが、
中学生にもなって兄貴を起こすのが恥ずかしくて怖いのを
我慢してトイレにいった。
小便をしながらふと、「今何時かなぁ。」とつぶやいたら
後ろから「2時だよ。」とか細い声がした。
振り向くとばあちゃんがにっこり笑っていた。
そして、すたすたと何処かへ歩いていった。
私は、真っ青になった。
今日は、そのばあちゃんの葬式で田舎に来ていたからです。

 

ラーメン屋

学校のそばに古いらーめん屋があった。
梅雨が明けたばかりの頃だったか。
校門でたらちょうど改装工事を始めてて、
古い流し台を業者や店の人が三人がかりで外に運び出そうと
して歩道をふさぐかたちになった。
仕方無しに友達と立ち止まってたら、
かなり重かったみたいで前を抱えてた人が、
歩道の縁でバランス崩して流し台を
勢い良く歩道に落した。

流し台は角が「バキッ!」と大きな音をたてて裂け、
その裂け目から大量のゴキが(4・50匹はいた)
あふれだし道路いっぱいに広がっていった。
自分達はダッシュでその場から逃げ出して
2・30メートルくらい離れたところで振り返ったら
店の夫婦と業者の人が逃げまどうゴキを必死の形相で
踏み潰していた・・・
しばらくらーめん屋が怖かった。

 

赤いクレヨン

不動産屋で働く友人から聞いた話。

その友人が担当するマンションの空室に
一部屋だけ他と雰囲気の違う部屋があった。
その部屋に入ると、いつもなにか違和感を感じていたのだが、
ある日その部屋の廊下が、他の部屋より1m位短いことに気づいた。
他の部屋よりも短い廊下が、いつもこの部屋で感じる違和感の原因なのかと
友人は思ったそうだ。
しかし、なぜ短いのだろうかと思い、廊下の突き当たりの壁を叩いてみると
どうやら本来の壁と、今叩いている壁との間に空間があるようだった。
イヤな予感がした友人は支店長の許可をもらい管理人と一緒にその壁を壊してみた。

友人:「白骨死体でも出てきた方がスッキリしたんだけどさ。」

でも実際は、その空間の壁一面にびっしりと赤いクレヨンで
“お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん・・・・”
と書かれていた…そうだ。

―――終了―――
結局その”お母さん”は消さずに壊した壁を元に戻し友人はそのマンションの
担当を後輩に譲ったんだって。

コメント

タイトルとURLをコピーしました