短編怖い話『天使の像』『赤いクレヨン』など 全20話|洒落にならない怖い話

短編怖い話『天使の像』『赤いクレヨン』など 全20話|洒落にならない怖い話 厳選

天使の像

父と母は、たまには夜の街で羽根を伸ばそうと、信頼できるベビーシッターに子供の世話を頼むことにした。
ベビーシッターが到着した時、2人の子供はすでにベッドですやすやと熟睡中。
子供がいる1階にはテレビがないため、ベビーシッターは退屈で仕方がなかった。
そこで、子供たちの父親の携帯に連絡し「子供たちは寝ているからテレビを見に2階へ行ってもいいですか?」と訪ねた。
父親がテレビを見ることを許可すると「あと、もう一つよろしいですか?」と、ベビーシッターは質問した。
「子供部屋の窓から見える、庭の天使の像にブランケットをかけて隠してもいいですか?とても気味が悪いので…」
この質問に、電話口の父親はしばらく沈黙した後に、こう告げた。
「すぐに警察へ連絡するから子供を連れて家から逃げてくれ!!うちに天使の像なんて無いんだ!!」
父親の通報から3分以内に駆けつけた警察は、ベビーシッターと2人の子供を血の海の中で発見した。

そして、どこを探しても天使の像は発見されなかった…

 

おばあちゃん子

さとし君は小学三年生、大のお婆ちゃん子だった。
学校から帰ると、さとし君はいつも二階のお部屋からお婆ちゃんによばれる。
たばこのおつかいをたのまれるのだ。
五百円玉をわたされて二百五十円のたばこを買ってくると、残りのお金はさとし君
へのおだちんだ。
やさしかったお婆ちゃん、大好きだったお婆ちゃん。
そんなお婆ちゃんが心ぞうの病気で、急に死んでしまった。
お婆ちゃんのお葬式が終わって、親せきのおじさんおばさんたちが帰ると、
家の中は急に静かになった。

さとし君は二階のお婆ちゃんの部屋に行ってみた。
夕日がさしこむ部屋の中には、お婆ちゃんが使っていたタンスや座布団がそのまま
残っている。
「おばあちゃん」さとし君は小さくつぶやくとタンスの一番下の引き出しをそっと
あけてみた。
引き出しの中にお婆ちゃんが横になって、にこにこしながらさとし君を見つめていた。

 

おじいちゃん

俺の兄貴が経験した話。
俺が中学2年の頃、おじいちゃんが危篤という電話が
来て、家族全員で病院へ行きました。
でもお医者さんが「峠は越えた」というので家族全員
胸をなでおろして家に帰りました。
でもその日の夜中。
おじいちゃんが容体が急変して亡くなったという電話が
ありました。その時兄貴は友達の家でマージャンを
していたので自宅にはいませんでした。
俺はおじいちゃんが死んだ事を知らせに兄貴の友達の家に
行きました。
「兄貴!兄貴!」家の前で何度も兄貴を呼ぶと明け方の光でも
わかるくらい兄貴の顔は真っ青になって友達の家の2階の窓から
顔を出しました。
「おじいちゃんが死んじゃったよ」
俺がそう告げると兄貴は
「・・・。やっぱそうか・・。」
後で兄貴から話を聞いてみるとマージャンの途中に
トイレに立った兄貴は洗面所で手を洗ってるときにふと
鏡を見てみると兄貴の後ろにおじいちゃんが笑いながら
手を振っていたそうです。
しばらくその場に立ちすくんでおじいちゃんが消えるまで
見ていた時に俺の声が家の外から聞こえたそうです・・。
終わり。

 

かっぱのような生き物

小学生のとき、理科の先生が夜更けの帰り道でかっぱのような生き物に襲われたらしい。
用水路沿いを歩いてたら突然背後から襲われ、組伏せられたあと、片手をつかまれ、すごい力で引きずられたとか。
先生は無我夢中で、胸ポケットにあったボールペンを生物の腕に突き立て、怯んだところを近くの民家に逃げ込んだ。
その家の主人に事情を話し、武装して恐る恐る見に行くと、生物はすでに立ち去ったあとで、弁当箱を入れてあった巾着袋が持ち去られていたという。
生物の風貌は暗くてよくわからなかったが、背は小学高学年くらい、肌はヌメヌメしており、声などは発しなかった。
とにかく力は半端じゃなく、大学時代柔道で鳴らした先生でもまったく太刀打ちできなかったらしい。
こんな話を朝のホームルームで、半ば半狂乱の先生から聞かされた。
俺達は震え上がり、女子は泣きわめいた。それほど真に迫った語り口だった。
先生は職員会議にこの話題を出したらしく、児童の集団下校と、大人の引率、パトロールを徹底するよう訴えたらしい。
しかし、全く相手にされず、先生は半ばゲリラ的に保護者会でこの話を出し強く訴えたが、やはり一笑に付されてしまったとか。うちの母ちゃんもその場に居合わせたが、すごい剣幕だったらしい。
ほどなくして、先生は休職してしまい(させられた?)、お別れ会もしないまま学校を去った。
一連の騒動について語ってくれる先生は誰もおらず、すぐに風化した。
その生物の目撃談は先生の一例だけだったが、俺は
「誰も信じてくれない!だが先生は見たんだ!何かあってからでは遅いんだ!みんな用水路には近づくな、一人で歩くんじゃない!」
と俺達に言い聞かせた先生の話が嘘や幻には思えないんだ。
昭和のある田舎での話だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました