『兄貴はひきこもり歴18年』など全5話 – スカッとする話 短編 – 傑作選【因果応報・復讐・武勇伝】

スカッとする話【短編 - 傑作選】まとめ - 全5話

 

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スカッとする話【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話

 

日曜大工が趣味だという奥さん

うちの近所に日曜大工が趣味だという器用な奥さんがいた。
庭なんて自分でレンガを積んで花壇を作ったり、竹を割って垣根を作ったり。
釘ひとつ真っ直ぐ打てない不器用な私は素直に凄いと思うし尊敬していた。

ある時、その人の家の前を通ったら犬小屋作ってる所で、目が合ったので挨拶したあと
「本当に器用ですね。凄いな。私もそういう才能欲しいわ」って言ったら
「こんなの簡単だよ。やる気があるかないかだけ」って言われて
謙遜だと思った私は「いやいや、やる気だけでは出来ないよ。才能だと思うよ」って言った。他意はなかった。

そしたら「でもあなたんちは金があるから買っちゃうんでしょ?金が無い人がこういうの作るのよ」って言われて
「うーん、私も器用だったら作ると思うなぁ。作れないから買うしかないって感じかな」って言ったら
「金持ちの謙遜は見苦しいから止めといたほうがいいよ」って言われた。

とてもトゲのある言い方で、あれ?私何か失礼なこと言ったんだろうかとちょっとビビった。
声掛けない方が良かったのかなと思って「じゃあまたね」って言って別れた。

その後いくら考えても、そんなに失礼なこと言った覚えもないし
それ以前は挨拶程度の付き合いだったけど普通の近所付き合いだったと思うから余計わからない。

ちなみにうちはごく普通のサラリーマン家庭。
謙遜ではなく、金持ちでもなんでもない。
で、それから何ヶ月か経って、そんなことはすっかり忘れてたんだけど、
町内会の夏祭りの準備をしてて、男性陣に交じってその奥さんが何かを組み立ててた。

それを何気に見ていたら「ちょっと!ぼうっと立ってないで、ここ押えとくから四隅に釘打って!」って言われて
「え、私出来ないよ。私持ってるから○○さん、釘の方お願い」って言ったら、チッ!って舌打ちして
「釘打つだけだよ。そんくらい出来るっしょ。早くやって!」って急かされて、仕方なく1本目を打った。

幸いちゃんと真っ直ぐ打てたのでホッとして、2本目、隣の角に打とうとしたら「バッカ!違うじゃん!」って。
意味分からなくて釘と金槌持って固まってたら「2本目は対角なんて常識だよ?そんなことも知らないの?」って言われたけど
そんなこと初めて聞いた。知らなかった。でもそんな言い方しなくてもいいじゃない。

ムカッとしたけど、せっかくみんな楽しそうに準備してたから「じゃあ教えて」って歩み寄ったら
「もう、邪魔だからあっち行って!」って言われちゃったw

その事があってから、なんかこの人に嫌われてるみたいだし、理由を聞きたいとももう思わなかったし
挨拶だけでそれ以外は避けてた。

それから又しばらく経ったある日の昼間のこと。
そこの家の前を通ったら「私さん!私さん!!」って声が聞こえた。聞きたくないあの人の声。
警戒しながら声の方向を見ると、その奥さんが屋根に上って何か作業をしていた。

「梯子が倒れちゃったの!立ててくれない!?」って叫んでいたので「え?なーにー?」って聞いてあげた。
「だーかーらーーー、梯子が倒れちゃったのーーー!」「えーーーー?なにーーーー?」
「降りられないのよーーーー」「娘の学校に行く所なのーーーー」
「そうじゃなくてえー!はーしーごーーーー!」「まーーたーーねーーーーー」
と、聞こえてたのにすっとぼけてやった。
この辺りは平日昼間はあまり人が通らないんだよなぁ。

 

 

兄貴はひきこもり歴18年の34歳

どうしても行かなければならない用事があって実家に2時間ほど滞在した。
俺は次男。両親は長男教。兄貴(長男)はひきこもり歴18年の34歳クソ産廃ニート。
当然俺は成人してから実家とは疎遠。
嫁も子も疎遠にさせてる。

たった2時間の滞在で、削りまくられる俺の精神。
母「たまには孫の顔を見せてくれたって…あんたも、あんたの嫁も気がきかない…ネチネチ」
父・空気
兄「三次女とかイラネーし。オリモノ臭で空気濁るから連れてくんなや。ガキも男だし用無い。幼女ならまだしもプークスクス」

イライラしながら滞在し、兄貴がべらべら言うのを聞き流してスマホいじってた。
2chを閲覧し、ふと「あれ、ここで書きこんだら兄貴と同じIDだな」と気づく。
テストでどーでもいい書き込みをしID取得して検索。
引っかかりました。スレ立ててやがりました。

『バカ女「やっぱ男は顔だよね。車?プッ」俺「フェラーリテスタロッサ」女「」』

耐えきれずフイタ。
何がフェラーリテスタロッサだよ。お前免許ねえじゃねーか。
お前の高校中退豆腐メンタルで教習所通えるわけねーじゃんか。

スマホ見てニヤニヤしてたら兄貴が気づいて覗きこんできたから、
「いやーテスタロッサうらやましいっすわ」
と画面見せてやったら凍りついてた。

「兄貴くらいの男になったら、貯金ゼロ収入ゼロでもテスタロッサ買えるんだな。すげーすげー。
そりゃ現実に生きる必要ないわな。生々しい妄想世界に生きてらっしゃるって幸せだな」
と賛美していたらプルプルし出して無口になった。
兄貴が静かになったら自然と母も静かになったので、用事済ませて帰宅。

翌日母から「お兄ちゃんに何言ったの!」と抗議の電話が来たのでさらにワロタ。
兄貴、なんとおねしょしたらしい。

母親ビックリ→兄貴「だったあいつがあ(泣)」→母「お兄ちゃんをいじめるな!」凸電
だった模様。

母に「二度と行かないから安心しろ」と言い、兄貴のアドに「おねしょ臭で空気濁るからシネ」と送り着拒。
とてもすがすがしい気分だった。

 

なめたけのレシピ教えて

旦那の不倫が発覚。
怒りが冷めると同時に愛情も冷め切ったので旦那有責で離婚。
不倫相手からも些少ながら慰謝料をいただいた。
二人からは散々文句言われたよ、
やれ「そういう可愛げがないところが嫌なんだよ」だの「旦那くんかわいそう!」だの。

離婚が成立してすぐ二人は入籍。
私が意地悪でお金を取っていったから、結婚式は挙げられなかったんだってさ。
でもでも負けない、幸せになるもん、だってさ。
もう悲しみとか通り越してイライラしかしなかった。

で、それから二か月後、元旦那からメール。
「いつも出してたなめたけってどこのメーカー?どこで買ってた?」
どこのメーカーでもないよ。だって私の手作りだったもん。
元旦那がなめたけ大好きで欠かさず食べるもんだから、
いろいろ研究して元旦那好みのレシピを開発して作り置いてたんだよ。

元旦那には、
「あれ私の手作りだから売ってない」
とだけ返信。そうしたらまさかの返信、
「作って送ってよ」

不倫して、離婚した馬鹿のために、なんで私がなめたけ作って送んなきゃならんのか。
スマホ叩き割りたくなったけどグッと堪えて
「奥さんに作ってもらえば?大丈夫、と っ て も 簡 単 だ か ら 」
とだけ返信した。

そして半年後の昨日、元旦那のアドレスからメールが来た。
最近どう?とかいろいろくだくだ書いてある絵文字満載メール。
書いてあることをまとめると
「なめたけのレシピ教えて」
…元旦那が私に送ってくるメールは文章だけのシンプルな物。

このメールのキラキラした文体、元旦那の不倫調査の時に見た、不倫相手のメールとそっくり。
多分、不倫相手が元旦那のアドレスから送ってきたんだろうな。

元旦那も、不倫相手も、私の元職場もみーんな同じ会社で、
今でも共通の知り合いから情報が入ってくるんだけど。
最近、不倫相手が職場の料理上手に
「なめたけの美味しい作り方教えて!」
って泣きついてるんだってさ。
「お前は料理下手だな、前はもっと美味しいの食べられたのにな」
って言われちゃったってメソメソしてるんだって。

そりゃ困るよね、元旦那、なめたけ大好きすぎて好みがうるさいもんね。
市販の固形分の少ないなめたけじゃ満足できないもんね。
醤油やなんかもそれなりに凝ってたしね。他にも隠し味とか工夫してあったしね。

離婚して家を出るとき、キッチンに置いてあった調味料も作り置いたなめたけも
全部!きれいさっぱり!捨てて行ったからね。

しかも元旦那、「薄い」「濃い」「物足りない」くらいしか言わないくせに
文句は物凄くさえずるからね。
頑張ってなめたけレシピ編み出してね。私は二年かかったよ。
「世界で一番彼を愛してるのはアタシ」らしいし、頑張ってね。

レシピはぜっっったいに教えない。
これで、なめたけが原因で離婚とかなったら指差して笑ってやる。

 

 

まだ居たんですねー

高校生の時、高速道路のガソリンスタンドでバイトしていた
そのGSでは2歳上のフリーターと自分以外は全員男(ほぼ40代以上)で
フリーター女が所謂姫扱いをされていた

家の事情で高校を中退したというフリーター女は、最初は優しくしてくれていたけれど
徐々にコンプレックスをぶつけてくるようになった

暫くすると自分の彼氏と妹とその彼氏(全員フリーター)をバイトとして入社させ、
4人にネチネチと嫌味を言われ馬鹿にされロッカーを荒らされたり
事務所に鍵を掛けられ外に締め出され忙しい時間帯を1人でやらされたりした

所長や他の社員さんはかなり庇ってくれたし良くしてくれたけれど
週一しか入れない高校生よりも毎日入ってくれるフリーターの方がやはり重宝された

途中で投げ出すのが嫌、という意地だけで進学を理由に退社するまで我慢し続けたおかげでかなりメンタルが強くなった
それから約7年、進学先で就職し初めて出来た彼氏と結婚の挨拶をしに実家へ帰る途中、元バイト先のGSに寄ってみた
そしたらなんとまだいたよ、フリーター4人組

すぐにこちらに気付いてチラチラ見てはヒソヒソしながら事務所に入って行った
追うように私も事務所に行くと所長が居て私に気付き
「え、私子!?久しぶりだなー!垢抜けたなー綺麗になったなー!」と言ってくれ
それを聞いて他の社員さんも来て「私子ちゃんか!もうすっかり大人だな!こちらは彼氏さん?」
と聞いてくれたから「ええ、結婚の挨拶に行くんです」と答えたらあからさまに反応するフリーター姉妹

一通り社員さん達と話した後4人組の所へ行き「あらーお久しぶりですー、まだ居たんですねー」
と笑顔で挨拶したらフリーター姉が物凄く引き攣った笑顔で「あ、うん、まぁ」と返事して、他の3人は下や横を見ていた
「あ、もしかしてここに就職したの?」と聞くと「いや、まだバイトだよ…」と笑顔が消えた

「そう言えばフリーター姉さんと彼氏さんは結婚するって言って夫婦とか永遠愛とか
あちこち落書きしたりもしてたよねー、どこで式をあげたの?」と聞くと
「まだバイトだからしねーんだよ」「生活の事考えたら出来ねーだろ、考えたらわかんだろ」
と彼氏2人組が半ギレで言ってきたので私の彼氏(私が4人組に嫌味を言われていたのを知っている)が
「就活してるの?」と聞くとなんかモゴモゴ言いながら顔を真っ赤にしてデカイ音を立てながら休憩室の方へ逃げて行った

それを追い掛けてフリーター姉妹も休憩室に入って行ったので、晴れやかな気分でGSを後にした

ずっと当時の事を思い出すと悔しさとか腹立ちとかで悲しくなるので忘れよう忘れようとしていたけれど
笑い話として昇華できるようになって本当に良かった

 

 

パートさんを大切に

高校生の時、高速道路のガソリンスタンドでバイトしていた
そのGSでは2歳上のフリーターと自分以外は全員男(ほぼ40代以上)で
フリーター女が所謂姫扱いをされていた

家の事情で高校を中退したというフリーター女は、最初は優しくしてくれていたけれど
徐々にコンプレックスをぶつけてくるようになった

暫くすると自分の彼氏と妹とその彼氏(全員フリーター)をバイトとして入社させ、
4人にネチネチと嫌味を言われ馬鹿にされロッカーを荒らされたり
事務所に鍵を掛けられ外に締め出され忙しい時間帯を1人でやらされたりした

所長や他の社員さんはかなり庇ってくれたし良くしてくれたけれど
週一しか入れない高校生よりも毎日入ってくれるフリーターの方がやはり重宝された

途中で投げ出すのが嫌、という意地だけで進学を理由に退社するまで我慢し続けたおかげでかなりメンタルが強くなった
それから約7年、進学先で就職し初めて出来た彼氏と結婚の挨拶をしに実家へ帰る途中、元バイト先のGSに寄ってみた
そしたらなんとまだいたよ、フリーター4人組

すぐにこちらに気付いてチラチラ見てはヒソヒソしながら事務所に入って行った
追うように私も事務所に行くと所長が居て私に気付き
「え、私子!?久しぶりだなー!垢抜けたなー綺麗になったなー!」と言ってくれ
それを聞いて他の社員さんも来て「私子ちゃんか!もうすっかり大人だな!こちらは彼氏さん?」
と聞いてくれたから「ええ、結婚の挨拶に行くんです」と答えたらあからさまに反応するフリーター姉妹

一通り社員さん達と話した後4人組の所へ行き「あらーお久しぶりですー、まだ居たんですねー」
と笑顔で挨拶したらフリーター姉が物凄く引き攣った笑顔で「あ、うん、まぁ」と返事して、他の3人は下や横を見ていた
「あ、もしかしてここに就職したの?」と聞くと「いや、まだバイトだよ…」と笑顔が消えた

「そう言えばフリーター姉さんと彼氏さんは結婚するって言って夫婦とか永遠愛とか
あちこち落書きしたりもしてたよねー、どこで式をあげたの?」と聞くと
「まだバイトだからしねーんだよ」「生活の事考えたら出来ねーだろ、考えたらわかんだろ」
と彼氏2人組が半ギレで言ってきたので私の彼氏(私が4人組に嫌味を言われていたのを知っている)が
「就活してるの?」と聞くとなんかモゴモゴ言いながら顔を真っ赤にしてデカイ音を立てながら休憩室の方へ逃げて行った

それを追い掛けてフリーター姉妹も休憩室に入って行ったので、晴れやかな気分でGSを後にした

ずっと当時の事を思い出すと悔しさとか腹立ちとかで悲しくなるので忘れよう忘れようとしていたけれど
笑い話として昇華できるようになって本当に良かった

 

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