『ブーケトス』本当にやった復讐 – 修羅場【長編】

『ブーケトス』本当にやった復讐 - 修羅場【長編】

 

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ブーケトス

 

何年か前の会社同僚(男)の結婚式の話

ブーケトスで新婦友人がガッチリ前列を固める中、うちの課長(女性・未婚・30代後半)、最前列に躍り出てバスケのディフェンスのように手を上げた。

新婦が投げる直前、両頬を平手でパチンと叩いて「ッシャー!!来い!」と気合の声まで上げる始末。

ギャラリーからはドッと笑い声。

苦笑いしつつも新婦がブーケを投げると、別の同僚女性(未婚・20代・美人)が課長の前にぱっと飛び出て鮮やかにブーケをインターセプト。

取ったブーケを高く掲げて
「やったー。今年こそ彼氏作るぞー」と大声で喜んだ。

課長は「ああああ!!!今年もダメなのかあああ!!」
と派手なリアクションで悔しがってた。

ギャラリーは大爆笑だったが、新婦友人数人はふて腐れた表情。
冷ややかに目立っていた二人を睨んでいた。

披露宴を待つ待合室みたいな所に行く途中、ちょうど俺たちの横を新婦友人が通り過ぎるときに「空気読めない女って、マジ痛いよねー」とか「さっきのオバサン何あれ?きっつー」とか、聞こえよがしの大声で二人を罵ってた。

披露宴でも、その新婦友人たちはこっちを見てクスクス、ヒソヒソ凄い感じ悪かったが、同僚の結婚式なんで半分仕事のつもりで参加した俺らは完全スルー。
それなりに楽しくやってた。

一連の行動を面白く思ってない人は他にもいて、新婦も、俺たちが高砂に上がったときは仏頂面だった。
こっちがお祝いの言葉を言っても無言。
時折、物凄い表情でインターセプト女を睨み付けてた。

後から新郎に聞いた話だが、新婦はどうも同僚のインターセプト女が新郎に横恋慕していると勘違いしているらしかった。

ちなみにインターセプト女は、キー局女子アナの登竜門と言われる某有名私大のミスコンで、フォトジェニック賞だか何だかを貰ったことのある子で、社内でも美人で有名な人。

確かに圧倒的オーラを感じるな美人なんだが、帰国子女なんで、考え方がかなりアメリカナイズされてて
「セクハラされて訴えないなんて単なるバカ」
などと公言する恐ろしい女。

実際、言い訳のしようがない証拠押さえた上で社内のセクハラ対策委員会に訴え出て、エロ上司とエロ同期二人を島流しにしてるから、みんな、恐ろしくて手が出せなかった。

おそらく美人であるがゆえに、新婦も心配になったんだと思う。
新郎は、インターセプト女とは、一度もそんな雰囲気になったことがないので、勘違いだと主張したが、結局、新婦の連日の突き上げに負けて、後日インターセプト女(長いので以下、美人子)に
「いやあ。びっくりしちゃったよ。盛り上げてくれてありがとう。ところで美人子さん、今彼氏募集中なんだ?」
みたいな感じで、その真意について遠回しに探りを入れた。

ところが美人子の回答は
「ああ。あれ実は、新婦友人に腹立っちゃって。それで課長にパスカット役を買って出たんです」
という予想外のものだった。
以下、美人子が新郎に話した内容。

式が始まる前、待合室のようなところで待っているとき。
ちょうど美人子たちの傍に新婦友人たちがいたらしいんだけど、その中の一人だけは彼氏がいない子らしく、新婦友人達は、その子に向かって

「今日はブーケ取れるようにサポートしてあげるからねwよかったねー。これで少しは彼氏できる確率上がるよ?wまあ、焼け石に水かもしれないけどねーw」

「レベル低いなら低レベルなりに頑張らないとーwこのままじゃ最底辺になっちゃうよーw」

「まあ、女としては終わってても、運さえあれば何とかなるってw男のレベルにさえこだわらなければねーw」

とか言いたい放題だったそう。

しかも、どれも真剣に心配するような言い方じゃなくて、薄ら笑い浮かべながら、露骨に嘲笑するような言い方だったらしい。

タゲられた彼氏いない新婦友人は、最初は、必死に愛想笑いして流してたけど、ついには我慢できず泣き出してしまったらしい。

彼氏持ち新婦友人達はそれでもなお
「やだあ。何泣いてんの?w」
「ほらあ。化粧崩れちゃうよ?w自分からこれ以上ブスにしちゃダメじゃん?w」
とか、みんなでケラケラ笑い囃しながらいじめ続けてたらしい。

正義感の強い美人子は横で聞いていて腹が立ち、新婦友人達に一言言ってやろうかとも思ったらしいが、同僚である新郎の挙式直前ということもあり、角が立つ抗議はあきらめ、代わりに自分がブーケトスでブーケを取って、いじめ計画を潰してやろうと思ったらしい。

それで課長にインターセプト役を申し出た、というのが真相らしい。

ちなみに課長だけど、あの人は元々そういうキャラの人。
立場上、頻繁に結婚式に呼ばれるんだけど、30代半ば辺りからはもう開き直っちゃって、ブーケトスでは猛烈な積極姿勢を見せるようになった。

でもそれは、あくまでパフォーマンスだけで、新婦が課長めがけてブーケを投げたとしても本人は決してブーケを取ったりせず、毎回、最終的には若い子にブーケを取らせてる。
取るふりだけして取らなくて、それでブーケ落とすのも迷惑なので、課長は毎回、自分の後ろにいる子やインターセプト役の子に、自分はスルーするから、ブーケは必ず取るようにこっそり言うんで、こっそり指示された人たち経由で噂が社内に広まってて、今じゃ社内誰もが知ってる課長の自虐ネタ。

話を戻すけど、驚いた新郎は、当時、美人子の近くにいた同僚にも話を聞いたんだけど、みんな口を揃えて、酷い言葉の集中砲火で盛り上がってたんで、聞いてて腹が立ったとの回答だった。

新郎は、新婦に、美人子がインターセプトした理由を話したところ、新婦は物凄く動揺し、自分の友人がいじめに遭っている話だというのに、そのことには全く関心を示さず、早々に話題を変えたらしい。

新郎は、口にこそ出さなかったが、親友のいじめ問題が発覚したのに何そのそっけない態度は?と大いに疑問に思ったそうだ。

新婦は、いじめ問題には興味がなさそうだったのに、翌日、新郎が仕事から帰ると、既に手際よくいじめ問題の調査を終えていた。

新婦によれば、全ては新婦友人Aの企んだことで、他の新婦友人が派遣社員にしかなれない中、いじめられっ子の友人だけは正社員としてバリバリ働き海外出張などにも行くようになったことに嫉妬し、いじめを画策したとのことで、他の新婦友人にもいじめ参加を強要したとのことだった。

全くいじめを把握してないところから始めたら、一人に事情聴くだけでも1、2時間は電話で話し込む必要があるだろうし、一日で全員から聴取を終えて全容を解明するなんて絶対おかしい。
新婦は自分に何かを隠している。
新郎はそう思ったらしい。

ところで、新婦友人の彼氏や旦那は、新郎の紹介だったり、ダブルデートして仲良くなったりで、、みんな新郎と友人関係。
首謀者である新婦友人Aの彼氏は、新郎の紹介によって付き合い始めたもので、新郎とは仕事関連の繋がりの人だった。

新婦の態度に疑問を感じていた上
「もしかしたらトンデモ女を紹介してしまったかも。それで仕事に影響したら洒落にならん」
という心配もあった仕事人間の新郎は、新婦には内緒で首謀者の彼氏に相談。

話を聞いて驚いたA彼氏はさっそく調査。
結果、いじめは事実だと分かって、新婦友人Aは、彼氏から捨てられた。

ハイスペック彼氏から捨てられた新婦友人Aはブチキレ。
新婦友人の彼氏・旦那たちに今まで隠してたことの暴露を始めた。
新郎のところにも電話があって、新郎は知らないと思うが新婦は過去、自分が知っているだけで2回中絶したことがあること。
しかも新郎と付き合ってる最中にも1回中絶してること。
そのときの浮気相手の連絡先など事細かに教えてくれた。

新婦友人Aは、とりわけ新婦に対して怒り心頭で、実際、ブーケトス使ったいじめを主導したのは新婦で、新婦友人Aは、空気を読んで仕方なく話に乗っただけなのに、なんで、いつの間に自分が首謀者になっているのか?新婦さえ嘘付かなければ、自分は捨てられなかったと電話口で泣き喚いていたそうだ。

いじめならギリギリ何とか許せたし、結婚前の一度や二度の浮気も、結婚したばかりだから、とりあえずは再構築を考えたかもしれないけど、自分と付き合ってる最中に自分には内緒で他の男の子供の堕胎したってのは、どう考えても無理。
新婦友人Aの言い分が事実なら離婚以外ありえない

そう考えた新郎は、弁護士探しつつ、まずは事実確認。
浮気相手とのコンタクトを図ろうとした。

浮気男に面会延期を繰り返されたんで、面会は延び延びになったため、新郎は、面会前には弁護士を見つけることが出来た。
面会当日、新郎は弁護士とその助手と一緒に凸した。

弁護士によれば、新婦友人Aの話が事実なら、堕胎や浮気は婚約より随分前だったから、浮気相手から慰謝料取るのは少し難しいとのこと。
弁護士とも相談した結果、新郎の希望が事実関係の解明が第一ということもあり、浮気男との面会では、慰謝料回収より情報収集に主眼を置くことに。

事実を正直に話してくれれば法的措置は取りません。
ですが、こちらで把握している事実とあなたの供述が違うなら
遠慮なく断固とした法的措置をとらせて頂きます

と弁護士が浮気相手に通告してから事情聴取したところ、浮気相手はあっさりゲロった。

意外なことに、浮気や堕胎は婚約より随分前ではなく、堕胎は婚約のほんの1ヶ月前。
浮気は婚約の1ヶ月後まで続いていたという。

堕胎の時期や浮気の期間についての新婦友人Aの説明は、新婦友人Aの勘違いか、新婦への最後の思いやりだったようだ。

浮気相手は、幽霊などまるで信じてなかったが、血まみれの赤ん坊に苦しそうな声で泣きすがられる夢や赤ん坊が物凄い力で自分の腕にしがみ付き、深い憎悪の目で自分をにらむ夢を、堕胎手術の数日後から、ほぼ毎晩見るようになり、かなり精神的に参っているとのことだった。

慰謝料については新郎から免責されているというのに、浮気男はこれであの夢から逃れられるなら安いものだから、自分の罪滅ぼしのために、是非、慰謝料を払わせてほしいといくらかの慰謝料を新郎に払ったらしい。

結局、新郎新婦は離婚になった。
過去の悪行暴露のじゅうたん爆撃を受けた新婦友人達も、子供がいる一組を除いて、全員離婚やら別れるやらで捨てられた。

再構築となった子供がいる一組は、出会い系で遊んでた過去を暴露されたらしく、再発防止の監視のため義理両親との同居となり、かなり窮屈な生活を送っているらしい。

美人子は、まさか新婦がいじめの首謀者だとは思ってもいなくて、自分の一言が原因で新婚夫婦を破綻させてしまったと落ち込んでたけど、新郎に夕食をご馳走され、子供が出来てこの先一生、あの化け物と暮らさざるを得なくなる前に、新婦の本性を早めに知れてよかったということを、新郎がお礼を交えて説明したので、それ以降、あまりこのことを口にしなくなった。

あ、念のため、新郎と美人子がどうにかなるってことはないと思う。
美人子は、日本人より価値観の合うアメリカ人が好みで、今もハーフの彼と付き合ってる。
美人子自身クオーターだし、お似合いだと思う。

ブーケトスのとき「今年こそ彼氏作る」発言してたのは、いじめられてた子に対して

「安心しろ。他にも仲間いるんだぞ」
って、励ますつもりでついた嘘だとのこと。

ブーケトスのおかげで2組のカップルが別れ、新郎新婦含め3組の夫婦が離婚した。

ブーケトスって、怖いと思った。

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本当にやった復讐長編
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