切ない話 Vol.3
おばあちゃんが一番優しい
こどもの発達がちょっとゆっくりで、保健センターに通っている。
母子教室みたいなのの最中、おばあちゃんと男の子が二人迷い込んできた。
「すみません、里親会の集まりの会場はここでしょうか?」
トイレに行くときに貼り紙をみたので、
「それなら、上の階の○○室ですよ」と教えてあげた。
おばあちゃんは、頭を下げながら男の子達の手をしっかり握って去っていった。
でも、○○室って引っ込んでてわかりにくいんだよな~と思い出し、
案内した方が良いかなと思って子供を先生に預けて追いかけた。
前方から聞こえてきた漫画みたいな会話
男の子(小)「さっきのが『おかあさん?』」
男の子(大)「うん、あんな感じ。でも僕らのおかあさんはおばあちゃんだから!」
(小)君と僕が違うところで生まれても兄弟みたいに、
ほんとうのお母さんでなくてもおばあちゃんがおかあさんだから。」
男の子(小)「うん、綺麗なおかあさんたちよりおばあちゃんが一番優しいね、きっと。」
おばあちゃんはただただ交互に男の子2人にほほえみかけていた。
その笑顔はただただ優しくて、このおばあちゃんがこの男の子達に
どれだけの愛情を注いでいるのかわかるようで、何だか泣きたくなった。
フィリピン人の男の子
思い出すと泣けてくるんだが‥
幼稚園の頃、同じ年で
近所にフィリピン人の男の子がいたんだ。
話すのは日本語だったしよく一緒に遊んだ。
その子は入園してなくて不思議で、なんで幼稚園来ないんだ?と何度か聞いた。ニコッとして「僕は行かなくていいんだ」としか言わないんだよな。
今思えば色々事情があったんだろう。近所には他に子供もいなくて、いつも俺が幼稚園から帰るのを外でポツンと待ってる。
たまに知らない奴に、フィリピン人だ~とかからかわれてた。俺はその度「やめろ~」って叫んでたけど、何故からかわれるのか意味がわからなかった。
その子の母親は昼も夜も働きづめで、うちの母チャンがご飯食べに呼びなって、よくうちで一緒に飯食ってた。母親が迎えに来た時玄関でいきなり俺を抱きしめて「ありがと、いつも遊んでくれてかばってくれてありがと」って泣いた事があった。
驚いて母チャン見たら母チャンも泣いてる。
もじもじとしてるしかなかった。
小学校に上がる前にどこかへ引っ越してしまったが、引っ越す日に俺が気にいってた車のオモチャをあげて又遊ぼうと言った。転んでもからかわれても泣かなかった奴が初めて泣いた。
俺も大泣きしてしまった。
元気でいるか?
元気でいて欲しい。
財布を紛失
以前、免許やらキャッシュカードやらの入った財布を紛失。
心当たりの場所は探したが見つからず、交番に届けを出した。
数日が経ちもう財布は見つからないだろうと諦めていた頃一通の封筒が自宅に届く。
送り主の名前は無い。
何だろうと開けてみると、中によれよれになった財布、カードや免許
そして手紙が同封されていた。
以下手紙の内容。
○○くんへ
小生、釣り好きの老人です。
先日~川で釣りをしていた所、川辺にて財布を発見しました。
中身を確認するとお金は入っておらず、同封した物だけが入っていました。
○○くんが何か事故に遭われたのか、
落としたものを誰かが捨てたのか分かりません。
本来なら警察に届けるべきなのでしょうが、
当人にとって大切な物であると判断した為、勝手ながら送らせて頂きました。
貴重品の自己管理はしっかりされたし、と思っております。
小生のおせっかいが貴方の為になれば、自己満足とさせて頂きます。
釣り好きの一老人より
今でもこの手紙は私の宝です。
レスキュー隊
父親がレスキュー隊員だった。
自分にとって父ちゃんは誇りだったけど、危険な仕事だって分かってからは
仕事に行く父ちゃんに縋りついてわんわん泣く子供だったらしい。
でも、父ちゃんは「父ちゃんがお前や母ちゃんのことが好きなように
父ちゃんが助ける人たちにも、大好きな人がいるんだ」ってよく言ってた。
誰かを助けるたびに、自分が助けられてるような気がしたって。
だから、頑張って欲しい。がんがれ。新潟のレスキュー隊超がんがれ。
誰かを愛してる誰かのために、超がんがれ。
お漏らし
中学一年生の英語の授業の時。とある男子が、普通に授業を受けてて急に立ちあがったそうだ。
そして、走っていきなり教室を出ていった。教室は騒然。しかしすぐにその男子生徒は戻ってきた。
水がいっぱい入ったバケツを持って。
そして、その男子生徒の前の女子生徒にいきなりそのバケツの水をぶっかけたらしい。
英語の教師は激怒したらしい。廊下に呼び出し男子生徒を責めたんだと。
廊下に出て行き、何故そんなことをしたんだと怒鳴りつけても下を向いて黙ったまま。
それでその教師は職員室に連れていって、他の先生をゾロゾロと連れていって、怒鳴ったり
叩いたりしても口を空けず黙ったまんまなんだと。
で、男子生徒の担任はもう呆れて、親のところへ行くぞと脅し気味に言っても言わない。
結局親のところに行って、母親と父親に話しても、黙ったまま。次の日電話親に電話をしても
何も話してくれなかったという。
結局何日も尋問は続いたらしいけど、何も答えず黙ったままだったらしい。
で、仕方なくその事はそのままにして、2年がすぎ、彼が三年生になった時、ソイツの父親の仕事
のせいで、大分に引っ越さなきゃいけなくなったんだと。で、転校する前日、担任がソイツ呼び出して
「お前明日大分行っちまうんやから、2年前、なんでバケツで水ぶっかけたか教えてくれ」
って聞いたんだと。
そしたら、その男子、ためらったあげく、結局話したらしい。
で、その理由ってのが
「その日、朝からその女の子、調子が悪かったんです。ガクガク震えてて、様子がおかしかったんです。
で、その時、その子を見たら、顔は見えないけど、とりあえずイスの下から何かが滴れ落ちてたんです。
オシッコを漏らしてたんです。だから俺はそうするしかなかったんです」
コメント