『旅行は中止だ……』など短編5話【62】 – 感動する話・泣ける話まとめ

『旅行は中止だ……』など短編5話【62】 - 感動する話・泣ける話まとめ 感動

 

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感動する話・泣ける話まとめ 短編5話【62】

 

 

宝物ボックス

俺が、中2のときだった。
けっこう前から幼馴染で恋心も抱いてたKって言う女子がいた。
でもKは俺の数倍かっこいい男子と付き合っていた。
俺がかなう相手でもなかった。
彼女自身がそれを伝えてきたので、むちゃくちゃ複雑な気持ちだった。
それからか、時々恋愛経験のない俺にいろいろ悩みを相談してきたりした。
俺は、正直話聞くだけで嫌だったんだが…

だけど、ある日
そこらにある人気のない公園でなんとなくペンダントをしてKの相談に乗っていた。
Kは彼氏と関係がちょっと危ういやらなんやら、と言ってた。
そこで、話が一段落したらKが聞いてきた。
K「…そういえば、そのペンダント何~?」
俺「ただの安物。」
実際は、けっこう値のはるものだった。
当時の宝物のひとつだったし
K「へぇ~。」
Kはそういったら、さりげなく後ろに回りこんでささっと俺のペンダントをとった。
で、一言。
K「仲直りってことで、これ彼氏にあげてくるね♪」
なに言ってんだこいつ。
他人(男)のお古を普通彼氏に渡すか?
俺「おい、ちょっとま…」
マジで行った。
K「大丈夫!大切にしてくれるよw」
公園の出口で少し手を振って、消えていった。
その後のことは、後日相談を受けたときに聞いてみたが話をそらされた。
そしてその2ヶ月ほどが過ぎたとき
Kは車にひかれて死んでしまった。

かなり急なことだったから、その事を聞いた時は、全く動けなかった。
葬式のときも、まだ素直に現実を受け止められなかった。
家に帰った後
どうしても抑えきれず、Kのお母さんにKの部屋を見せてほしいと頼んだ。
幼馴染でよく遊んでいたからかKのお母さんは、多少迷いながらも頷いてくれた。
Kの部屋に入ってみたら、どこか懐かしい香りがした。
思い出にふけりなら、部屋を見ていると
タンスの上に箱があった。
「宝物ボックス」と汚い字で書かれていた。
恐らく、小さいころからずっと使っていたんだろう。

そっと開けてみると
中には、ちっちゃな消しゴムやら鉛筆やら友達とピースしている写真やらが、沢山入っていた。
その中に、俺のあの時のペンダントがあった。
思わずドキッときた。
えっ…?
よく見てみると、さっきの消しゴムの一部や鉛筆の端っこには、俺の名前がうっすらと残されていた。
もしかして…
そう思った瞬間、急に涙があふれてきた。
止められやしなかった。

 

 

最後にもう一回

俺さ、以前病院勤務してたんだ。といっても看護婦や医者とか有資格者じゃないんだけどな。

でさ、掃除しようと思ってある病室に入ったんだよ。
よく知らずに入ったらさ、どうやら患者さんそろそろ・・・って場面だったんだよ。
「まずい部屋に入っちゃったよな。」って思いながらも掃除をしていたんだ。
そしたらさ、旦那さん(40後半位)が寂しそうな笑顔でありがとうって言ってくれるんだよ。
家族としての最後の場面を邪魔したような気がして、なんか居た堪れなくなって目に見えるところだけ掃除して出てしまったんだ、もう逃げるようにな。
で、部屋から出て廊下を掃除してたら中から声が聞こえてくるのよ。
掃除途中で出てきちゃったから「なんか文句言われて無いかな」って思ってたらさ

旦那が子供(10歳前後)に
「ママにチューしてあげなよ。もう何年もしてないだろ?最後にもう一回な。
…ちゃんと、『ありがとう』『心配しないでね』『またどこかで会おうね』って声掛けろよ?
泣いてばかりだとママも心配しちゃうからな。」
って言って部屋から出てきたんだよ。

でもさ、その旦那は部屋から出たとたんに、しゃがみ込んで泣き始めたんだよ。
多分子供の前では強がってたんだろうな。
自分が泣いたら子供が余計につらくなるって思ったんだろうな。
旦那が子供に言わせた言葉は、旦那自身が何度も心の中で呟いた言葉なんだろうな。
そう思っていたら全然知らない患者さんの死がとても身近に感じられて涙ぐんでしまったよ。

俺も、最愛の人が亡くなる場面に立ち会うことがあったら『またどこか出会おうね』って言葉を言いたいな。

 

じいちゃんが戻ってきたら

じいちゃんとばあちゃんは2人で暮らしてた。ばあちゃんはボケが進んでた。
じいちゃんが介護してた。
いろいろ大変だったみたいだけど、会話はできているようで、人が思うほど大変じゃないよって言ってた。

ばあちゃんの家に行くと、いろんな事が紙に書かれている。
「冷蔵庫は閉めましょう」「電気は消しましょう」「トイレは←」「ふく、くつした↓」
とか、いろんな字がじいちゃんの手で半紙に筆で書かれていた。
書いてあれば守ってくれるんだって。
じいちゃんはいつも一緒にいてあげたけど、どうしても区役所とか病院に薬をもらいにとか出かける事がある。
心配だけど「外には出ないこと」と玄関に書いておけば、大人しく待っていてくれたんだって。

ある日、じいちゃんが出かけた。もちろん玄関には「外には出ないこと」
それなのに、じいちゃんが戻ってきたら、ばあちゃんは家のすぐ前で車に轢かれてしまっていた。
救急車で運ばれた。
じいちゃんが駆けつけると、待っていたかのように、じいちゃんの手を強く握って天国へ行った。
じいちゃんはとても悔やんだ。家族全員も悔しかった。
今まで書いてあることは必ず守ってたのになぜ家を出たんだろう。

家族同然の付き合いをしていた隣のおばちゃんが話をしてくれた。
事故の直前、急に雨が降ってきた。
おばちゃんは布団を取り込みに庭に出た。
すると、ばあちゃんが傘を持って慌てて道路に出てきた。
ばあちゃんの病気をおばちゃんは知ってたから、心配になって、ばあちゃんの方へ向かったその時に事故が。

じいちゃんが勤めていた頃、ばあちゃんは雨が降ると必ず駅までじいちゃんを迎えに行ってた。
ちょっとでも雨が降ると必ず迎えに行ってた。
雨を見て、じいちゃんが家に居なくて、傘を持っていこうとしたのだろう。
それだけ、じいちゃんが好きだった。
じいちゃんもばあちゃんが好きだった。

じいちゃんもしばらくして病気で天国へ行った。
ばあちゃんが持っていた傘と一緒にお墓に眠っている。

じいちゃん、ばあちゃん達は幸せだったんだろうな。

 

 

俺だけに言えばよかっただろう!

父が食道癌になりました。
ウチは癌血統ではなかったので、この告知は本当に驚きました。

私は父と、この10年ほど腹を割って話したことがなく…
何かあれば衝突ばかりで。。。
大事な話は、母を通して話してました。
喧嘩ばかりというよりは、ロクに話したことがないのです。
だから、
「お父さん、体の調子が悪いんだ」
そんな言葉を耳にしても、気にもとめずに、いつもの様に遊び歩いていたんです。

そんな父が緊急入院した時は、本当に目の前が真っ暗になりました。
食道癌のせいで、食べ物が飲み込めずに痩せ…
無理に飲み込もうとしたせいで、腫瘍から出血を起こし、血液が殆どない状態で、緊急入院となったのです。
私と母は、何とか暗い気持ちにならないように父の検査が終わるのを待ちました。
「癌な訳ないから、きっと大丈夫!」
そう言い合ってました。

が、
下された診断は、癌でした。
父は肝硬変も患っているらしく、肝臓が弱りすぎて手術は不可能らしく、放射線治療となりました。
その告知を家族と一緒に聞いていた父は、主治医に急に怒り出しました。

「何故、こんなことを家族に聞かせるんだ!
俺だけに言えばよかっただろう!?」

お父さん、普通逆だよね?(笑)
“本人に聞かせないように!”って家族が気を使うよね?
何もこんな時にまで、家族を守ろうとしなくていいんだよ。
怖い時には、震えて泣いていいんだよ。
皆の前でわざと強がって、布団に顔を隠して泣かなくていいんだよ。

お父さん、私はあなたのことをわかろうとしなかった。
事業に失敗したり、借金抱えたり…頼りにならない父親だとばかり思ってた。
こんな大人にだけはなりたくないと、思ってた。
でも、今は…
こんな家族思いな父の娘に生まれてきて本当によかった。
こんなに優しくて、思いやりのある父を心から尊敬します。
お父さん、一緒に頑張ろうね。

うまく書けなくてゴメンなさい。。。

 

 

旅行は中止だ……

高校卒業してから4年間何にもしないで家で金を使うことしかしてなかったんだ。
ネトゲやったりとかゲーム買ったりとか。
たまに親にも怒鳴り散らしたりもしたな。

そんな駄目な俺が2年くらい前かな。
カーチャンスレ見てから必死でバイトと勉強してやっとCMとかやってる大手企業に就職できたんだ。
本当にうれしかったよ。やっと親孝行ができると思ってね。

そんで去年かな。
ある程度お金が溜まったから旅行に連れて行ってやろうと思って内緒で旅行を予約したんだ。
定番だけど温泉ね。
出発の一ヶ月前に内緒で家に帰って発表したら
「ありがとう……本当にありがとう……」
と涙を流しながら喜んでくれたんだ。
この為にお金を貯めたのかってくらい嬉しかった。
そんで、それを近所とかに自慢してやがるのww
一人暮らししてるから近所のおばちゃんから帰省の時に言われたときは恥ずかしかったw

それで出発の3日前になって電話が掛かってきたんだよ。
けど仕事中だから電話に出られなくてさその時は無視してたんだ。
んで後でかけ直したら親父が出てさ
「旅行は中止だ……」
って涙声で言うわけ。

訳が分からなくて「何でだよ?風邪でも引いたの?」と聞き返したんだ。
そしたら後で
「母さんが……ひき逃げされて……それで……」
頭が真っ白になってその後はよく覚えてないけど。
気がついたら葬式の準備が進んでたんだ。

結局母さんは2日間意識不明だったんだけど容態が急変して死んじゃったんだ。
楽しみにしていた旅行が最悪の轢き逃げの所為で葬式になっちまったんだよ。
母さんの遺品を整理しながら自分を悔やんだね。
なぜもっと早く親孝行出来なかったのかと。

遺品の中にあった日記帳にはさ
「○○が旅行を予約しててくれたみたい。やったー!」
とか
「旅行まで残り3日!!前日には○○も来るだろうから一杯ご馳走を作れるようにしとかなくちゃ!」
とかギッシリ書いてる訳。
それ見てたら泣けてきてさ。
濡らしたらもう読めなくなるのに。
涙で文字が滲んで読めなくなるのにボロボロと流れてきたんだ。
その後で家から出てって犯人捜したけど結局見つからず。
たぶん捜査は殆ど終わってると思う。

だからこんな事が起こる前に恩返しできるやつは早く恩返ししろってこと
今は父さんに恩返ししてる。

あと飲酒運転とかしてるやつは絶対にするなよ!絶対にだぞ!!

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