– ほのぼの - 和む話 短編10話 【2】
日本に染まった神父
「今、クリスマスツリーの飾り付けをしてるんです。短冊を飾るんですよ。お願いごとの。
子どもたちがしようよって言うから。よければ皆さんもお願いごとを書きませんか?
一日から門の横で短冊を配ってますよ。配ってるというか、置いてるだけですけど。
あ、それとここって門松は売ってますか?
予約します。どうせなら大きいのがいいです。
いいんですよー、僕の私物を道に置いておくってことで。
神様もお怒りになりませんよ、たぶんですけど。
お正月はね、佐藤さん(仮名・神主)がおみくじを
引きにこいって言うんですよ。大吉引いてきます。大吉。根性で。
イースターで当たりを引かれましたからね、仕返しです。
お神酒も配ってくれるって言うんですよ。
うちもクリスマスに何か温かいものを配りましょうかね。
お正月といえば、このお店は破魔矢と熊手と、どっちを飾ってます?
僕は破魔矢にしようかなと思うんですけど、迷ってるんですよ。
やっぱり教会ですしね。熊手は違和感ありすぎますよね。じゃあお世話様でしたー」
と、うちの花屋の常連の神父が語っていった。
すっかり日本に染まったな、神父。
初期は布教しようと頑張ってたのに、逆に洗脳されておる。
外国人とカツカレー
昔いっしょに寮で暮らしてた英人と印人がそろって日本食好きだったな
ある日談話室に何人かたまってると寮母さんが
「カツカレーが一人前余ってるけど食べる人はおる?」
と聞いてきた上記の二人を含む数人が挙手したんだけど、この2人が凄かった(大好物らしい)
印「カレーはもともと我が国発祥のものだ、紳士らしく私に譲ったらどうだね」
英「いや、カレーを日本に伝道したのは我が国である、
君こそ非暴力主義に基づき私に譲れ」
と一歩も引かなかった
ちなみにカレーは2人が口論してる間に2階から降りてきた空腹のアメ人が美味しくいただいてました
その後、
「アメリカはいつもこうだ」
「美味しいとこだけ取りやがる」
と英・印カレー条約が結ばれました
ヨモギにハマったケニア人留学生
数年前、俺がまだ学生だった頃の話。
同じアパートに住んでたケニア人留学生のA君に近所のスーパーでばったり会ったんだ。
ふと、カゴの中を見るとパックに入った三色ダンゴが大量に…。
俺「ダンゴ好きなんだ」
A「そう!この緑のところがウマイね!」
話を聞くと、どうも草餅、よもぎ餅系の味&香が奴にクリティカルヒットしたらしい。
唯一の悩みは、三色ダンゴだと、三つに一つしかよもぎ餅が入ってない!(´Д`)と、熱く語りだす。
俺「アンコ入っててもいいなら、こんなんもあるけど…」
と、売り場にあった草大福?
(大福のよもぎVer.)を教える。
A「ナニコレ?」
俺「だから、アンタの好きな緑のダンゴのスペシャルバージョンだって!」
A「ぬぉぉぉぉぉぉ、そんなものが、そんなものが…」
と半ば半狂乱で騒いだあげく、俺の手を握ってブンブン上下に振って礼を言った後、草大福買い占めて帰っていった。
なんかイイ事したなぁ、って思ってたんだが、この日以来、そのスーパーで草大福が売切れだと、俺
「またAの仕業か…たまには俺も草大福喰いたいんだが…」
と、ため息が出たり出なかったり。
スーパーでの一件で親しくなった俺とA君。
会えば世間話をする仲になったが、相変わらず草餅にハマっているらしい。
その話を聞いた、当時の俺の彼女が
「そんなに好きなら、自分で作ったらいいのに。なんなら私が作ってあげよっか?」
とか言いだした。
で、なんやかんやあって、郊外にある河の土手にAと俺、彼女、彼女の友人でよもぎ摘みに行ったんだ。
無事に収穫?も終わり、A君の部屋で友人の持ってきた餅つき機で草餅作成。
確か一升以上の餅を作ったはず。
A君は大喜びでさ、缶詰のアンコで作った即席草大福を幸せそうな顔で喰って、俺達に言ったんだ。
A「本当にありがとう。今日の出来事は、日本に来て最高の体験だ。
日本人が他人の為に一日がかりでこんな事をしてくれるなんて、
日本にくるまで想像出来なかったよ。本当にありがとう」
俺達はなんか照れくさくて、ただ笑ってたんだが、心の中では皆うれしかったと思う。
そんな、日本びいきと言うより、草餅びいきな外人の話でした。
後日、A君の部屋で某下町のナポレオンの瓶に漬かった、よもぎを見つけた。
よもぎ酒なのか??
てか、よもぎって中毒性ないよな?
携帯のアラーム
私の携帯は子供が保育園に行く時間になるとアラームがなる設定にしてある。
ちなみに流れる曲は日本むかしばなしの
『にんげんていいな』
そんな携帯を会社に忘れてきた。
会社は専務や部長が早く出社してきて、私は最後に出社する事になるので
会社では延々私の携帯が鳴り続けてる状態になってしまいます。
会社について専務に
「すいません携帯五月蠅かったですよね?」
と聞くと
「おーなんや、あんたの携帯人間になりがたっとったぞ」
wwwwサーセンwww
町のチンピラ
どうみても街のチンピラっぽい人が、携帯灰皿を使い、幼稚園児の列が近づくとあわててタバコの火を消し、園児の邪魔にならないように、道路を渡るフリで端っこに除けてた。
なんかハートウォーミングな気分でいたら、こちらに気がついたらしく、
ガン飛ばされた……。
ダブルルームとツインルーム
ホテルのフロントとして働いてるんだが、先日上品な老夫婦が来て、ダブルの部屋は空いていますかと言ってきた。
ちょうど空きがあったのでチェックインし、部屋に行ったかと思ったら
すぐお婆さんのほうが顔を手で覆いながら小走りで戻ってきた。
「やだやだ、違うのよっツインとダブルって、ツインのほうが寝床が二つなのね?
間違えちゃったわ、やだやだわ、
こんなお婆さんとお爺さんがあんな部屋に入ったらおかしいわよね、
やだやだ、言ってくださればいいのに~」
とずっと、やだやだ、と顔を真っ赤にしてツインにルームチェンジ。
その後ろをお爺さんが
「いいじゃないか、ホッホッホッ 私は気にしないがねホッホッホッ」
とついて歩いてた。
おてつだいだいすき
先週、三女(1)インフルエンザでダウン。
タミフルで2日で回復。
ところがそれがかみさんに伝染って週末発症。
長女(5)に
「今日は大変なんだから言うこと聞いてくれよお~」
「なんでたいへんなの?」
「家事を全部……あ、えーとね、ごはんつくるでしょ、せんたくするでしょ、
そしておかあさんや◎◎ちゃん(三女)のおせわもしてあげないと」
「おとーちゃん、たいへんだね」
「だろ」
「わたし、おてつだいだいすきだから!」
と、そこへ次女(3)割り込んできて、
「わたしはもっともっとだいすきだから!」
洗濯物の仕分けや片付けと、配膳・片付けは二人がやりました。
まあいつの間にこんな立派になったのやらと一人になってから涙腺解放。
でも考えたら……。
かーちゃん、えらいぞ、娘共はこんなにいい子に育ってるから、
早く良くなって子供たちを喜ばせてやってくれ。
バレンタインデー
数日前から、冷蔵庫にラッピングされたチョコが入ってる。
母が父に買ってバレンタインまで隠しているつもりらしいが、
全く隠れてなくて父も発見した。
それから父は、毎日お菓子を食べる甘党のくせに
「お母さんのチョコをより美味しく食べる為」
にお菓子断ちし、私を相手にビックリするフリの練習をしている。
バレてないつもりの母も面白いが、そこまでやる父に萌えた。
炊事ストライキ
母ちゃんが腹立てて炊事ストライキを起こしたので、朝晩の食事を作っている。
しかし母ちゃんの大根煮を食べたい父ちゃんのフラストレーションが危険なので、
どうぞ作ってあげてくださいとお願いしてみた。
昨夜の晩ご飯、私のおかずの中にこっそり紛れた母ちゃんの大根煮。
いつもと違う切り方、違う盛り付け、味付けもアグレッシブに変えられている。
しかし一口食べた途端
(*´∀`)「うまあーい!これは母さんの大根煮だね!!」
(*´∀`)「久し振りだなあ母さんの大根煮!ウフッフヒヒッ」
(*´∀`)「それでこの中華炒めと漬物と汁物は娘だね?」
(*´∀`)「でもご飯は母さんが炊いたでしょ!お茶も母さんが淹れたでしょ!」
(*´∀`)「ウフフッ、父さん分かってますよ、全部分かってます」
父ちゃん、全て正解です。
今朝の朝ご飯が母ちゃん製だったのは、母ちゃんの怒りが解けた証拠ですよ。
当分娘の出番はなさそうですので、共々に母ちゃんのご飯を頂きましょう。
歯医者と子供
歯医者さんで順番待ちしてたら、お父さんの手を引いたちっちゃな男の子がやってきた。
精一杯背伸びして受け付けに
「すいませーん!」
と声をかけ、看護師さんが出て来ると
(´・ω・`)「あの、僕じゃないんです、僕はこないだ治療終わりました」
( `・ω・´)「今度はお父さんがお世話になります!お願いします!」
と、元気いっぱいに頭を下げていた。
看護師さんは笑いを堪えていて、お父さんは苦笑しながら診察券出してた。
なんか和んだ。
コメント